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第2章
第18話
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次の日から、特訓と言う名の地獄が始まった。ようやく2年間修行した麦わ○の一味の苦労がわかった。
とりあえず朝早くに叩き起こされ、昨日もらった服に着替えアイナさんの作った飯を食べて、城の中庭へと呼ばれた。
「おう来たか。寝過ぎはいかんぞ?」
「…ジジィは早起きだな。」
「誰がジジィだって…?」
「はいはい悪かったよ。おっさん、その後ろにいるのは誰?」
おっさんの後ろには来た時から、何やらアイナさんとに似た白髪の子が隠れてチラチラこちらを見ていた。
「紹介しうよ!儂の娘のエレナじゃ!エレナは人見知りでな。昨日は怖くて話しかけられなかったらしいが、今日はわざわざ来てくれたんじゃぞ?ほれ、エレナ挨拶しとき。」
「………エレナです。よろしくお願いします…」
最後の方は聞き取れなかったが、目線を合わせて自己紹介をして頭を撫でると少し笑ってくれた。
「よし、じゃあ始めるぞ!」
「はいはい。それで何をするの?」
「そうじゃな。魔法と体術・武術に関してはあの山から見ていた感じ、儂らより遥かに強いようだったし大丈夫じゃろ。むしろ教えて欲しいくらいだ。」
「えへへ、だろ~?まぁ俺も割と魔物倒してきてグハッ!」
素直に喜んでるといきなりグーで殴られて俺は後ろに吹っ飛んだ。見ろ、エレナがびっくりしているぞ。
「いでぇ!…ぶったね!オヤジにもぶたれたことないのに!」
「そんなこと知った事か!慢心は命取りじゃ、忘れるな!」
(くそ、元ネタが分からん人に言ってもこっちが虚しいな…)
「わかってよ。そういう時に隙をついてやられやすいからな。」
「わかってるのならいいんじゃ。それじゃ今度こそ始めるぞ。お前に、はまず飛行しながら戦う事に慣れてもらう訓練をする。」
「飛行しながら?確かにあんまりした事ないけど…」
「おそらく奴とはドラゴンの姿にしろ人間の姿にしろ、飛びながら戦う事になるだろう。だからまず先にそれに慣れる訓練をするというわけじゃ。」
「なるほどねじゃあ早速…」
「待て。」
飛行魔法で飛ぼうとしたらいきなり肩を掴まれた。そしてその場で詠唱を始めると、俺の背中に赤いガラスのような羽が4枚生えた。
(え、なにこれ。リンクスタート!とか言ったらALO始まりそうな感じなんですけど。)
「これはこの世界の東にある王国の、妖精達の羽を模したものじゃ。」
「あ、マジで妖精なのね…。」
「人間にはドラゴンのごつい羽よりこっちの方が見栄えがいいだろ?よし、じゃあまずそこに立っておれ。」
そう言うとおっさんはエレナを連れて、俺から少し距離をとった。
「レイ、両手を少し上げろ!」
「なんで?」
「いいから言われた通りにせい!」
とりあえず言われた通りに手をあげる。
「なんかこれ元気が集まりそうだな…」
俺が手を挙げたのを確認すると、おっさんが俺の上に向かって手を掲げ「****」と短く唱えると、俺の上にどでかい立方体の石が降ってきた。
「お、なんかきたな。よしこい!」
降ってきた石を受け止めると、あまりの重さに俺の足が少し地面にめり込んだ。
「なんだこれおっも!おいおっさん!これあんたの千倍くらい重いぞ!」
「がはははは!そうだろうな!それはこの世界で1番重いペザンテ鉱石じゃからな。それを持って今日一日全速でこの辺りを飛んでこい!」
「はぁ?!1日?!嘘だろ!」
「何ぬるい事を言っておる。わかったならさっさと行ってこい。」
「いやいやいや…」
するとおっさんの後ろに隠れていたエレナがガレアスのズボンを引っ張った。
「…ねぇパパ。レイ辛そうだけど大丈夫なの?」
「あぁ大丈夫じゃ。レイは儂ほどとは言わんが割と強い方じゃからのぉ。」
「ほんと?!」
そして俺の方を向くと、期待に満ちた眼差しを向け小さめに手を振った。
「レ、レイー頑張って!」
(な、なんだ本当にこの娘がジジイの娘なのか?尊すぎる…)
「くっそぉ、俺の方が断然強いのに!わかったよ飛べばいいんだろ?!」
「おう、行ってこい!」
仕方なく俺はクソ重い石を持ちながら羽ばたいた。
3時間くらい飛んでいると、昼休憩の時間となりアイナさんが昼ごはんのサンドイッチを持ってきてくれた。
「レイ君、お疲れ。でもすごいわね、私あの石持てた事ないのに…」
「ありがとうございます。まぁ確かにこれなら結構いい特訓になりますね。」
アイナさんと談笑していると、誰かに肩をツンツンと突かれた。
観るとと、エレナがもじもじしながらサンドイッチを持っていた。
「あら、エレナが初対面の人に珍しいわね。年が近いからかしら。」
「どうかした?」
「…えっと、その…これ!」
そう言って持っていたサンドイッチを俺の顔の前に突き出した。
(これは…あーんってやつかな?)
とりあえず、1口もらうとエレナは嬉しそうな顔でどこかへ走っていった。
微笑ましい気持ちで見送ると、背後からかなりの殺気を感じた。
ゆっくり振り返ると、おっさんが静かに笑って赤いオーラを放っていた。
「儂の娘に手を出すとは…いい度胸じゃな小僧。」
「ちょっ、誤解だ誤解!」
「よーし再開するぞ。レイもう1回手あげろ。」
だがこの時に気付くべきだった。俺の上に浮かんだ魔法陣が三重になっている事に。
その後俺は3個の石を積んで、日が暮れるまで飛び続けた。
とりあえず朝早くに叩き起こされ、昨日もらった服に着替えアイナさんの作った飯を食べて、城の中庭へと呼ばれた。
「おう来たか。寝過ぎはいかんぞ?」
「…ジジィは早起きだな。」
「誰がジジィだって…?」
「はいはい悪かったよ。おっさん、その後ろにいるのは誰?」
おっさんの後ろには来た時から、何やらアイナさんとに似た白髪の子が隠れてチラチラこちらを見ていた。
「紹介しうよ!儂の娘のエレナじゃ!エレナは人見知りでな。昨日は怖くて話しかけられなかったらしいが、今日はわざわざ来てくれたんじゃぞ?ほれ、エレナ挨拶しとき。」
「………エレナです。よろしくお願いします…」
最後の方は聞き取れなかったが、目線を合わせて自己紹介をして頭を撫でると少し笑ってくれた。
「よし、じゃあ始めるぞ!」
「はいはい。それで何をするの?」
「そうじゃな。魔法と体術・武術に関してはあの山から見ていた感じ、儂らより遥かに強いようだったし大丈夫じゃろ。むしろ教えて欲しいくらいだ。」
「えへへ、だろ~?まぁ俺も割と魔物倒してきてグハッ!」
素直に喜んでるといきなりグーで殴られて俺は後ろに吹っ飛んだ。見ろ、エレナがびっくりしているぞ。
「いでぇ!…ぶったね!オヤジにもぶたれたことないのに!」
「そんなこと知った事か!慢心は命取りじゃ、忘れるな!」
(くそ、元ネタが分からん人に言ってもこっちが虚しいな…)
「わかってよ。そういう時に隙をついてやられやすいからな。」
「わかってるのならいいんじゃ。それじゃ今度こそ始めるぞ。お前に、はまず飛行しながら戦う事に慣れてもらう訓練をする。」
「飛行しながら?確かにあんまりした事ないけど…」
「おそらく奴とはドラゴンの姿にしろ人間の姿にしろ、飛びながら戦う事になるだろう。だからまず先にそれに慣れる訓練をするというわけじゃ。」
「なるほどねじゃあ早速…」
「待て。」
飛行魔法で飛ぼうとしたらいきなり肩を掴まれた。そしてその場で詠唱を始めると、俺の背中に赤いガラスのような羽が4枚生えた。
(え、なにこれ。リンクスタート!とか言ったらALO始まりそうな感じなんですけど。)
「これはこの世界の東にある王国の、妖精達の羽を模したものじゃ。」
「あ、マジで妖精なのね…。」
「人間にはドラゴンのごつい羽よりこっちの方が見栄えがいいだろ?よし、じゃあまずそこに立っておれ。」
そう言うとおっさんはエレナを連れて、俺から少し距離をとった。
「レイ、両手を少し上げろ!」
「なんで?」
「いいから言われた通りにせい!」
とりあえず言われた通りに手をあげる。
「なんかこれ元気が集まりそうだな…」
俺が手を挙げたのを確認すると、おっさんが俺の上に向かって手を掲げ「****」と短く唱えると、俺の上にどでかい立方体の石が降ってきた。
「お、なんかきたな。よしこい!」
降ってきた石を受け止めると、あまりの重さに俺の足が少し地面にめり込んだ。
「なんだこれおっも!おいおっさん!これあんたの千倍くらい重いぞ!」
「がはははは!そうだろうな!それはこの世界で1番重いペザンテ鉱石じゃからな。それを持って今日一日全速でこの辺りを飛んでこい!」
「はぁ?!1日?!嘘だろ!」
「何ぬるい事を言っておる。わかったならさっさと行ってこい。」
「いやいやいや…」
するとおっさんの後ろに隠れていたエレナがガレアスのズボンを引っ張った。
「…ねぇパパ。レイ辛そうだけど大丈夫なの?」
「あぁ大丈夫じゃ。レイは儂ほどとは言わんが割と強い方じゃからのぉ。」
「ほんと?!」
そして俺の方を向くと、期待に満ちた眼差しを向け小さめに手を振った。
「レ、レイー頑張って!」
(な、なんだ本当にこの娘がジジイの娘なのか?尊すぎる…)
「くっそぉ、俺の方が断然強いのに!わかったよ飛べばいいんだろ?!」
「おう、行ってこい!」
仕方なく俺はクソ重い石を持ちながら羽ばたいた。
3時間くらい飛んでいると、昼休憩の時間となりアイナさんが昼ごはんのサンドイッチを持ってきてくれた。
「レイ君、お疲れ。でもすごいわね、私あの石持てた事ないのに…」
「ありがとうございます。まぁ確かにこれなら結構いい特訓になりますね。」
アイナさんと談笑していると、誰かに肩をツンツンと突かれた。
観るとと、エレナがもじもじしながらサンドイッチを持っていた。
「あら、エレナが初対面の人に珍しいわね。年が近いからかしら。」
「どうかした?」
「…えっと、その…これ!」
そう言って持っていたサンドイッチを俺の顔の前に突き出した。
(これは…あーんってやつかな?)
とりあえず、1口もらうとエレナは嬉しそうな顔でどこかへ走っていった。
微笑ましい気持ちで見送ると、背後からかなりの殺気を感じた。
ゆっくり振り返ると、おっさんが静かに笑って赤いオーラを放っていた。
「儂の娘に手を出すとは…いい度胸じゃな小僧。」
「ちょっ、誤解だ誤解!」
「よーし再開するぞ。レイもう1回手あげろ。」
だがこの時に気付くべきだった。俺の上に浮かんだ魔法陣が三重になっている事に。
その後俺は3個の石を積んで、日が暮れるまで飛び続けた。
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