20 / 210
第2章
第18話
しおりを挟む
次の日から、特訓と言う名の地獄が始まった。ようやく2年間修行した麦わ○の一味の苦労がわかった。
とりあえず朝早くに叩き起こされ、昨日もらった服に着替えアイナさんの作った飯を食べて、城の中庭へと呼ばれた。
「おう来たか。寝過ぎはいかんぞ?」
「…ジジィは早起きだな。」
「誰がジジィだって…?」
「はいはい悪かったよ。おっさん、その後ろにいるのは誰?」
おっさんの後ろには来た時から、何やらアイナさんとに似た白髪の子が隠れてチラチラこちらを見ていた。
「紹介しうよ!儂の娘のエレナじゃ!エレナは人見知りでな。昨日は怖くて話しかけられなかったらしいが、今日はわざわざ来てくれたんじゃぞ?ほれ、エレナ挨拶しとき。」
「………エレナです。よろしくお願いします…」
最後の方は聞き取れなかったが、目線を合わせて自己紹介をして頭を撫でると少し笑ってくれた。
「よし、じゃあ始めるぞ!」
「はいはい。それで何をするの?」
「そうじゃな。魔法と体術・武術に関してはあの山から見ていた感じ、儂らより遥かに強いようだったし大丈夫じゃろ。むしろ教えて欲しいくらいだ。」
「えへへ、だろ~?まぁ俺も割と魔物倒してきてグハッ!」
素直に喜んでるといきなりグーで殴られて俺は後ろに吹っ飛んだ。見ろ、エレナがびっくりしているぞ。
「いでぇ!…ぶったね!オヤジにもぶたれたことないのに!」
「そんなこと知った事か!慢心は命取りじゃ、忘れるな!」
(くそ、元ネタが分からん人に言ってもこっちが虚しいな…)
「わかってよ。そういう時に隙をついてやられやすいからな。」
「わかってるのならいいんじゃ。それじゃ今度こそ始めるぞ。お前に、はまず飛行しながら戦う事に慣れてもらう訓練をする。」
「飛行しながら?確かにあんまりした事ないけど…」
「おそらく奴とはドラゴンの姿にしろ人間の姿にしろ、飛びながら戦う事になるだろう。だからまず先にそれに慣れる訓練をするというわけじゃ。」
「なるほどねじゃあ早速…」
「待て。」
飛行魔法で飛ぼうとしたらいきなり肩を掴まれた。そしてその場で詠唱を始めると、俺の背中に赤いガラスのような羽が4枚生えた。
(え、なにこれ。リンクスタート!とか言ったらALO始まりそうな感じなんですけど。)
「これはこの世界の東にある王国の、妖精達の羽を模したものじゃ。」
「あ、マジで妖精なのね…。」
「人間にはドラゴンのごつい羽よりこっちの方が見栄えがいいだろ?よし、じゃあまずそこに立っておれ。」
そう言うとおっさんはエレナを連れて、俺から少し距離をとった。
「レイ、両手を少し上げろ!」
「なんで?」
「いいから言われた通りにせい!」
とりあえず言われた通りに手をあげる。
「なんかこれ元気が集まりそうだな…」
俺が手を挙げたのを確認すると、おっさんが俺の上に向かって手を掲げ「****」と短く唱えると、俺の上にどでかい立方体の石が降ってきた。
「お、なんかきたな。よしこい!」
降ってきた石を受け止めると、あまりの重さに俺の足が少し地面にめり込んだ。
「なんだこれおっも!おいおっさん!これあんたの千倍くらい重いぞ!」
「がはははは!そうだろうな!それはこの世界で1番重いペザンテ鉱石じゃからな。それを持って今日一日全速でこの辺りを飛んでこい!」
「はぁ?!1日?!嘘だろ!」
「何ぬるい事を言っておる。わかったならさっさと行ってこい。」
「いやいやいや…」
するとおっさんの後ろに隠れていたエレナがガレアスのズボンを引っ張った。
「…ねぇパパ。レイ辛そうだけど大丈夫なの?」
「あぁ大丈夫じゃ。レイは儂ほどとは言わんが割と強い方じゃからのぉ。」
「ほんと?!」
そして俺の方を向くと、期待に満ちた眼差しを向け小さめに手を振った。
「レ、レイー頑張って!」
(な、なんだ本当にこの娘がジジイの娘なのか?尊すぎる…)
「くっそぉ、俺の方が断然強いのに!わかったよ飛べばいいんだろ?!」
「おう、行ってこい!」
仕方なく俺はクソ重い石を持ちながら羽ばたいた。
3時間くらい飛んでいると、昼休憩の時間となりアイナさんが昼ごはんのサンドイッチを持ってきてくれた。
「レイ君、お疲れ。でもすごいわね、私あの石持てた事ないのに…」
「ありがとうございます。まぁ確かにこれなら結構いい特訓になりますね。」
アイナさんと談笑していると、誰かに肩をツンツンと突かれた。
観るとと、エレナがもじもじしながらサンドイッチを持っていた。
「あら、エレナが初対面の人に珍しいわね。年が近いからかしら。」
「どうかした?」
「…えっと、その…これ!」
そう言って持っていたサンドイッチを俺の顔の前に突き出した。
(これは…あーんってやつかな?)
とりあえず、1口もらうとエレナは嬉しそうな顔でどこかへ走っていった。
微笑ましい気持ちで見送ると、背後からかなりの殺気を感じた。
ゆっくり振り返ると、おっさんが静かに笑って赤いオーラを放っていた。
「儂の娘に手を出すとは…いい度胸じゃな小僧。」
「ちょっ、誤解だ誤解!」
「よーし再開するぞ。レイもう1回手あげろ。」
だがこの時に気付くべきだった。俺の上に浮かんだ魔法陣が三重になっている事に。
その後俺は3個の石を積んで、日が暮れるまで飛び続けた。
とりあえず朝早くに叩き起こされ、昨日もらった服に着替えアイナさんの作った飯を食べて、城の中庭へと呼ばれた。
「おう来たか。寝過ぎはいかんぞ?」
「…ジジィは早起きだな。」
「誰がジジィだって…?」
「はいはい悪かったよ。おっさん、その後ろにいるのは誰?」
おっさんの後ろには来た時から、何やらアイナさんとに似た白髪の子が隠れてチラチラこちらを見ていた。
「紹介しうよ!儂の娘のエレナじゃ!エレナは人見知りでな。昨日は怖くて話しかけられなかったらしいが、今日はわざわざ来てくれたんじゃぞ?ほれ、エレナ挨拶しとき。」
「………エレナです。よろしくお願いします…」
最後の方は聞き取れなかったが、目線を合わせて自己紹介をして頭を撫でると少し笑ってくれた。
「よし、じゃあ始めるぞ!」
「はいはい。それで何をするの?」
「そうじゃな。魔法と体術・武術に関してはあの山から見ていた感じ、儂らより遥かに強いようだったし大丈夫じゃろ。むしろ教えて欲しいくらいだ。」
「えへへ、だろ~?まぁ俺も割と魔物倒してきてグハッ!」
素直に喜んでるといきなりグーで殴られて俺は後ろに吹っ飛んだ。見ろ、エレナがびっくりしているぞ。
「いでぇ!…ぶったね!オヤジにもぶたれたことないのに!」
「そんなこと知った事か!慢心は命取りじゃ、忘れるな!」
(くそ、元ネタが分からん人に言ってもこっちが虚しいな…)
「わかってよ。そういう時に隙をついてやられやすいからな。」
「わかってるのならいいんじゃ。それじゃ今度こそ始めるぞ。お前に、はまず飛行しながら戦う事に慣れてもらう訓練をする。」
「飛行しながら?確かにあんまりした事ないけど…」
「おそらく奴とはドラゴンの姿にしろ人間の姿にしろ、飛びながら戦う事になるだろう。だからまず先にそれに慣れる訓練をするというわけじゃ。」
「なるほどねじゃあ早速…」
「待て。」
飛行魔法で飛ぼうとしたらいきなり肩を掴まれた。そしてその場で詠唱を始めると、俺の背中に赤いガラスのような羽が4枚生えた。
(え、なにこれ。リンクスタート!とか言ったらALO始まりそうな感じなんですけど。)
「これはこの世界の東にある王国の、妖精達の羽を模したものじゃ。」
「あ、マジで妖精なのね…。」
「人間にはドラゴンのごつい羽よりこっちの方が見栄えがいいだろ?よし、じゃあまずそこに立っておれ。」
そう言うとおっさんはエレナを連れて、俺から少し距離をとった。
「レイ、両手を少し上げろ!」
「なんで?」
「いいから言われた通りにせい!」
とりあえず言われた通りに手をあげる。
「なんかこれ元気が集まりそうだな…」
俺が手を挙げたのを確認すると、おっさんが俺の上に向かって手を掲げ「****」と短く唱えると、俺の上にどでかい立方体の石が降ってきた。
「お、なんかきたな。よしこい!」
降ってきた石を受け止めると、あまりの重さに俺の足が少し地面にめり込んだ。
「なんだこれおっも!おいおっさん!これあんたの千倍くらい重いぞ!」
「がはははは!そうだろうな!それはこの世界で1番重いペザンテ鉱石じゃからな。それを持って今日一日全速でこの辺りを飛んでこい!」
「はぁ?!1日?!嘘だろ!」
「何ぬるい事を言っておる。わかったならさっさと行ってこい。」
「いやいやいや…」
するとおっさんの後ろに隠れていたエレナがガレアスのズボンを引っ張った。
「…ねぇパパ。レイ辛そうだけど大丈夫なの?」
「あぁ大丈夫じゃ。レイは儂ほどとは言わんが割と強い方じゃからのぉ。」
「ほんと?!」
そして俺の方を向くと、期待に満ちた眼差しを向け小さめに手を振った。
「レ、レイー頑張って!」
(な、なんだ本当にこの娘がジジイの娘なのか?尊すぎる…)
「くっそぉ、俺の方が断然強いのに!わかったよ飛べばいいんだろ?!」
「おう、行ってこい!」
仕方なく俺はクソ重い石を持ちながら羽ばたいた。
3時間くらい飛んでいると、昼休憩の時間となりアイナさんが昼ごはんのサンドイッチを持ってきてくれた。
「レイ君、お疲れ。でもすごいわね、私あの石持てた事ないのに…」
「ありがとうございます。まぁ確かにこれなら結構いい特訓になりますね。」
アイナさんと談笑していると、誰かに肩をツンツンと突かれた。
観るとと、エレナがもじもじしながらサンドイッチを持っていた。
「あら、エレナが初対面の人に珍しいわね。年が近いからかしら。」
「どうかした?」
「…えっと、その…これ!」
そう言って持っていたサンドイッチを俺の顔の前に突き出した。
(これは…あーんってやつかな?)
とりあえず、1口もらうとエレナは嬉しそうな顔でどこかへ走っていった。
微笑ましい気持ちで見送ると、背後からかなりの殺気を感じた。
ゆっくり振り返ると、おっさんが静かに笑って赤いオーラを放っていた。
「儂の娘に手を出すとは…いい度胸じゃな小僧。」
「ちょっ、誤解だ誤解!」
「よーし再開するぞ。レイもう1回手あげろ。」
だがこの時に気付くべきだった。俺の上に浮かんだ魔法陣が三重になっている事に。
その後俺は3個の石を積んで、日が暮れるまで飛び続けた。
137
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる