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第五章
第181話 魔大陸に上陸ですよ
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「そうだ! ねえテラ、サタナキアはあそこで何していたのかな?」
「え? 今頃? もう一年近く前よ?」
「うん。すっかり忘れてました。サーバル領の領民が倍以上の大人数になって、住むところがなくて開拓して、土魔法でお家を建てたり、畑を作ったり、教国がなくなったり、バタバタしている内にね」
「はぁ。まあそうね、私も色々作物を育てたし。ああ、サタナキアだったわね、アイツは戦争を起こして、この世界を混乱させようとしていたようね、邪神達の力の源でもあるからよ。悪い心を持った人間の想いは邪神に流れ込んじゃうの。ほら、それよりそろそろ着岸するから降りる準備ね。ムルムル、魚はもう良いから上がってらっしゃい」
(は~い。かいもいっぱいとれたよ。おおきいさかなも)
念話でそう答えたので僕は船縁の外に手を出しました。
すると、下の海からみにょ~んとムルムルが伸びて絡まると、体を縮め、僕の手をつたって肩に戻ってきました。
「貝があったのですね、楽しみです♪ 海岸で焼いて食べちゃいましょうか」
「リントはエビが食べたいにゃ。でも夕食には戻らにゃいとプシュケ達に怒られるからにゃ~」
リントは昼間、フィーアにティ、プシュケは学院に行ってるので、たまにナインテールの子供達と遊んだり、イシェのところにも一人で行っていたそうですが、やっぱり暇をもて余して、時々僕達の冒険にも昼間の時間だけ付いてくるようになったのです。
「じゃあムルムル。リントやみんなの分のエビはあるかな?」
(あるよ。りんとのしゅうのうにうつしておくね)
「ありがとうにゃ、フィーアのパパさんに焼いてもらうにゃ! そうと決まればリントは帰るにゃよ、また来るにゃ! てーんいーにゃ!」
パッ
「リントったら。まあ良いわ、下船の列に並びに行きましょう」
「うん」
船縁の一か所が開くようになっていて、そこに港から階段の高さを合わせて、くっ付けられます。
今は満潮で階段までは板が渡され、そこそこ急な下り坂を数メートル下って後は階段です。
僕はテラの手を引きながら階段を下り、最後の段から『せーの』で飛び降りて。
「魔大陸に到着です!」
「船旅もしばらくやりたくないわね、ほらライ、あそこで入国の手続きみたいよ」
テラの指差す方向に、港と街を隔てる壁があり、開かれた門の両脇に槍を持った門番さんがいて、その奥に机を置いて、持ち物検査をするようです。
「言われた通り、鞄を持ってないと、収納の中に大量に入ってる物を全部調べられるそうだから、こんな鞄を持っての移動、面倒だわね」
「カリーアお義母さんに教えてもらいましたから中身も完璧ですよ。じゃあ並んじゃいましょう」
テラと手を繋ぎながら列の最後尾に並び、順番を待ちます。
入国ですから冒険者ギルドみたいに、絡まれる事はないですよね~、後で魔大陸の冒険者デビューもしますから、期待できるのはそっちですね。
流石に荷物を調べられるので、中々時間はかかりますが、受け付けも八人の受け付けおじさんとお姉さんが二人一組で見てますから、お昼には僕達の番が回ってきそうです。
船をチラリと見ると、やっと馬車も荷下ろしされてます。
「あんなの運ぶよりこっちで新しいの買った方が安くないの? まあ、貴族っぽいから見栄もありそうだけど」
「そうだね、馬車で場所を取られて交易品とか少なくなっちゃいますし。ん? そろそろ前が空きそうですよ」
前の組が一度に検査を終えたようで、一気に前に進み、僕達も、流れのまま検査を受けられるみたいです。
「身分証を見せてもらえるかな。それと荷物はこちらに鞄を広げてもらいます」
「はい。身分証は冒険者のギルドカードで、鞄もどうぞです」
「なんだと!」
僕とテラのギルドカードを見て。······惜しいですね『えぇぇぇ~!』じゃありませんでしたが、驚いてくれました。
「何事だ! 乗客名簿に無い密入国か!? それとも持ち込み禁止の品を持っていたのか!?」
受け付けの奥にいた角が生えていて、身長も二メートルを超えるおじさんが、こちらにやって来ました。
「い、いえ、このお二人のギルドランクがSでしたので、驚きのあまり。申し訳ありません」
「何! この少年と少女がだと!」
「はい。この通り。それにムルムルは従魔ですよ。ほら見て下さい」
ムルムルを手首に乗せ、見やすいようにギルドカードを前に出してあげました。
「ぬぬぬっ、本当のようだな。荷物はどうだ?」
「はい。着替えや、保存食などですので問題ありません」
「よし。では問題ないな。ようこそ魔大陸へ。楽しんでもらえると嬉しく思う」
「はい。おもいっきり楽しませてもらいますね♪ では」
「ライ、荷物を持ちなさい、手ぶらでどうするのよ。まったく」
「くくくっ、Sランクだがやはりまだまだ子供だな。後は忘れ物はないか?」
「あはは、ありがとうございます。そうだ、冒険者ギルドはどの辺りにありますか?」
「まっすぐ大通りを進めば、この街の南門があるからその門前の広場にあるからすぐに分かるぞ」
「ありがとうございます。では行きますね」
鞄を担いで、テラの手を取り、門を抜けました。
さて、どんな楽しい事が起こるかワクワクですね。
「え? 今頃? もう一年近く前よ?」
「うん。すっかり忘れてました。サーバル領の領民が倍以上の大人数になって、住むところがなくて開拓して、土魔法でお家を建てたり、畑を作ったり、教国がなくなったり、バタバタしている内にね」
「はぁ。まあそうね、私も色々作物を育てたし。ああ、サタナキアだったわね、アイツは戦争を起こして、この世界を混乱させようとしていたようね、邪神達の力の源でもあるからよ。悪い心を持った人間の想いは邪神に流れ込んじゃうの。ほら、それよりそろそろ着岸するから降りる準備ね。ムルムル、魚はもう良いから上がってらっしゃい」
(は~い。かいもいっぱいとれたよ。おおきいさかなも)
念話でそう答えたので僕は船縁の外に手を出しました。
すると、下の海からみにょ~んとムルムルが伸びて絡まると、体を縮め、僕の手をつたって肩に戻ってきました。
「貝があったのですね、楽しみです♪ 海岸で焼いて食べちゃいましょうか」
「リントはエビが食べたいにゃ。でも夕食には戻らにゃいとプシュケ達に怒られるからにゃ~」
リントは昼間、フィーアにティ、プシュケは学院に行ってるので、たまにナインテールの子供達と遊んだり、イシェのところにも一人で行っていたそうですが、やっぱり暇をもて余して、時々僕達の冒険にも昼間の時間だけ付いてくるようになったのです。
「じゃあムルムル。リントやみんなの分のエビはあるかな?」
(あるよ。りんとのしゅうのうにうつしておくね)
「ありがとうにゃ、フィーアのパパさんに焼いてもらうにゃ! そうと決まればリントは帰るにゃよ、また来るにゃ! てーんいーにゃ!」
パッ
「リントったら。まあ良いわ、下船の列に並びに行きましょう」
「うん」
船縁の一か所が開くようになっていて、そこに港から階段の高さを合わせて、くっ付けられます。
今は満潮で階段までは板が渡され、そこそこ急な下り坂を数メートル下って後は階段です。
僕はテラの手を引きながら階段を下り、最後の段から『せーの』で飛び降りて。
「魔大陸に到着です!」
「船旅もしばらくやりたくないわね、ほらライ、あそこで入国の手続きみたいよ」
テラの指差す方向に、港と街を隔てる壁があり、開かれた門の両脇に槍を持った門番さんがいて、その奥に机を置いて、持ち物検査をするようです。
「言われた通り、鞄を持ってないと、収納の中に大量に入ってる物を全部調べられるそうだから、こんな鞄を持っての移動、面倒だわね」
「カリーアお義母さんに教えてもらいましたから中身も完璧ですよ。じゃあ並んじゃいましょう」
テラと手を繋ぎながら列の最後尾に並び、順番を待ちます。
入国ですから冒険者ギルドみたいに、絡まれる事はないですよね~、後で魔大陸の冒険者デビューもしますから、期待できるのはそっちですね。
流石に荷物を調べられるので、中々時間はかかりますが、受け付けも八人の受け付けおじさんとお姉さんが二人一組で見てますから、お昼には僕達の番が回ってきそうです。
船をチラリと見ると、やっと馬車も荷下ろしされてます。
「あんなの運ぶよりこっちで新しいの買った方が安くないの? まあ、貴族っぽいから見栄もありそうだけど」
「そうだね、馬車で場所を取られて交易品とか少なくなっちゃいますし。ん? そろそろ前が空きそうですよ」
前の組が一度に検査を終えたようで、一気に前に進み、僕達も、流れのまま検査を受けられるみたいです。
「身分証を見せてもらえるかな。それと荷物はこちらに鞄を広げてもらいます」
「はい。身分証は冒険者のギルドカードで、鞄もどうぞです」
「なんだと!」
僕とテラのギルドカードを見て。······惜しいですね『えぇぇぇ~!』じゃありませんでしたが、驚いてくれました。
「何事だ! 乗客名簿に無い密入国か!? それとも持ち込み禁止の品を持っていたのか!?」
受け付けの奥にいた角が生えていて、身長も二メートルを超えるおじさんが、こちらにやって来ました。
「い、いえ、このお二人のギルドランクがSでしたので、驚きのあまり。申し訳ありません」
「何! この少年と少女がだと!」
「はい。この通り。それにムルムルは従魔ですよ。ほら見て下さい」
ムルムルを手首に乗せ、見やすいようにギルドカードを前に出してあげました。
「ぬぬぬっ、本当のようだな。荷物はどうだ?」
「はい。着替えや、保存食などですので問題ありません」
「よし。では問題ないな。ようこそ魔大陸へ。楽しんでもらえると嬉しく思う」
「はい。おもいっきり楽しませてもらいますね♪ では」
「ライ、荷物を持ちなさい、手ぶらでどうするのよ。まったく」
「くくくっ、Sランクだがやはりまだまだ子供だな。後は忘れ物はないか?」
「あはは、ありがとうございます。そうだ、冒険者ギルドはどの辺りにありますか?」
「まっすぐ大通りを進めば、この街の南門があるからその門前の広場にあるからすぐに分かるぞ」
「ありがとうございます。では行きますね」
鞄を担いで、テラの手を取り、門を抜けました。
さて、どんな楽しい事が起こるかワクワクですね。
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