【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

文字の大きさ
129 / 241
第四章

第129話 帝国に入りますよ

しおりを挟む
 確か母さんも父さんもだね、左手の薬指に嵌めていました。

 手を広げてもらい、薬指に嵌めたのですが。

「え? ライその指は!」

 テラに嵌めた後僕も左手の薬指に嵌めました。するとテラに嵌めた時もスルスルとちょうど良い大きさに調節してくれました。

「え? この指は駄目だったの? 父さん達はこの指に嵌めていましたからここにしたのですが」

「この指はね、結婚した者同士が嵌める場所なの。後は婚約者······? そっか、良いのかな? それにこれパパとママのと同じのだ······」

「そうなんだね♪ じゃあ問題ないよ、テラは僕のお嫁さんになってくれるんだし、そうすると、みんなにも欲しいけど、ガルさんに教えてもらおうかな。ムルムルとリントはどうしようか? 嵌められるかな?」

「そ、そうよね。お嫁さんになっちゃうんだからこの指でも良いんだよね。でも綺麗。ずっと憧れてたのよこの指輪」

 テラは薬指に嵌まった綺麗な指輪をうっとりする笑顔で見つめています。

 右手で押さえていたシーツが、下に落ちてますがまあ良いですよね。

 その後また顔を真っ赤にしたテラは服を出したのですが。

「なんで服を出すと小さくなるのよ! せっかく大きくなったのにぃー!」

 また元の大きさに戻ってしまいました。残念ですが、今はまだ仕方がないので肩に乗っていて下さいね。

 持ち運びハウスをしまい、一応階層を一つずつ上がりながらダンジョンの一階層に到着しました。

「ここも大量発生はしてないみたいね。しばらく様子は見ないといけないだろうけど、たぶん大丈夫ね」

「うん。じゃあ戻って冒険者ギルドに報告ですね」

 走って戻る途中に何匹かネズミを倒しましたが、まばらにいるだけで、採取の護衛にもそう苦労する事は無さそうです。

 ダンジョン出て砦街に入門。そのまま冒険者ギルドに向かいます。

 そして中に入ると昨日と同じような感じで食事処に沢山の冒険者がいますが依頼の掲示板のところにはほとんどいません。

 まあ報告がすんで、ダンジョンがもとに戻ったと分かれば皆さんのお仕事ももとに戻るでしょうね。

「こんにちは。ダンジョンの件で報告に来ました」

「え? あっ! こ、これはどうもありがとうございます。それでいかがでしたか? 二階層の階段付近を埋め尽くすウォールナットラットは」

「はい。全て倒して、魔物を発生させる魔道具と集める魔道具を見付け、回収しています。その後の二階層から九階層も同じ様に仕掛けてありましたのでそちらも回収済みですね」

「え? 魔物発生の魔道具なんてどの国でも使用を禁止されていますよ! それが仕掛けられていたのですか!」

 お姉さんはカウンターから身を乗り出す勢いです。

「はい。それから十階層のワイバーンを倒して先に進むと金銀銅オリハルコンにアダマンタイト、ヒヒイロカネ。そして二十階層にはジュエルとゴーレムばかりでしたね。そして二十一階層には海がありましたからもしそこまで行けるようになれば塩を手に入れることが出きると思います」

「あの六属性ワイバーンを倒したその先! これは大問題ですよ! いえ、大手柄ですよ! みなさーん! ダンジョンの異変は解消されました! 半年ぶりにダンジョンを正常にしてくれたのはSランク冒険者のライ様です!」

「おい! その話は本当か! 間違いないのか!?」

 僕はダンジョンカードを取り出し見せるとお姉さんは魔道具に通し内容を確かめます。

「ギルドマスター、これを」

 ギルドマスターもお姉さんの手元を覗き込んでいます。

「この夥しい数の魔物と、二十階層だと! ワイバーンも全て倒しているとは間違いは無さそうだな、うちからも確認のため何人か出てもらおう。よーしみんな聞け! 暇な冒険者達は今すぐダンジョンへ向かえ! どんどん買取りするぞ!」

 お姉さんの声を聞いてから、静かになって、じっとこちらを見ていた冒険者の皆さんは、ギルドマスターの声で一気に我に返りました。

「「おおー!おおー!」」

 それからは『昨日のちびっ子Sランク君が! Sランクの可愛いさだけじゃなかったわ!』『ありがとう! やるじゃねえか!』『でかした! 後少しで資金が底をつくところだったぜ!』『ありがとうね少年君! 急いで馬車を手配しなきゃ!』と口々にお礼を言いながらギルドから走り出ていきました。

 その後、ダンジョンの調査、と問題解決の報酬をもらい、買取カウンターで、採取してきた物を出して『えぇぇぇー!』と驚いてもらい、代金はギルドに預ける形でどの冒険者ギルドでも引き出せるそうです。

 そして僕達は今帝国側の国境砦の門に並んでいます。

「門の出入りは帝国も変わらないようね」

「うん。お昼前だから少し少ないけど朝は凄く並んでいそうだよね。あっ、僕達の番ですよ」

 前が空いて、進むと門番さんにギルドカードを見せます。

「なっ! Sランク! こ、これはこれは帝国へようこそ。通って下さい」

「はい。冒険者ギルドはすぐ分かりますか?」

「はい。門を抜けると広場があります、その広場の一番大きな建物です。ここをくぐり抜けてもらえばすぐ分かりますよ」

「すぐそこなのですね、ありがとうございます」

 門番さんにお礼を言った後、分厚い壁をくりぬいたようなトンネルみたいな通路をくぐり抜けて広場に出ました。

「あれね。剣と盾の看板があるし」

「そうだね、早速手紙を届けて次の村か街に出発かな」

「ダンジョンの回復も一応知らせておいたら? たぶんまだ知らないと思うわよ」

「だね♪ よし行こう」

 広場をギルドに向けて歩きだし、中央にある屋台で、オーク肉の串焼きと腸詰めもありましたので、その二つを買い、ギルドに入りました。

「喧嘩は止めないか! そんな事をしてもダンジョンには入れん! 違う依頼を請けてランクを上げろ!」

 ん~と、早めに教えた方が良さそうですね。





しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

処理中です...