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第四章
第130話 ダンジョン騒動の犯人は
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「こんにちは。ダンジョンの異変は解決しましたので、たぶん――」
「向こうの砦からダンジョンへ向かう馬車が一気に出てきたぞ! 向こうのギルドからの連絡は!」
おお。素早い方達はもうダンジョンに向かいだしたのですね。早くここの方にも教えてあげませんと。
「あの、その事を伝えに来ました」
「あん? 少年それはどういう事だ?」
走り込んできたおじさん冒険者が僕の方を見て話しかけてきました。それに喧嘩をしていた人達もギルドにいた人達全員ですが、おっと、また止まってしまいましたね。
「はい。ダンジョンの二階層に下りる階段に集まっていたネズミ、じゃなくてウォールナットラットはいなくなりました。そして二階層から下にも大量発生していた魔物もいなくなりましたからもう大丈夫です」
「ほ、本当か! それならあの動きも分かる。おい、少年それは本当の事なんだよな? 向こうの奴らが力を合わせて······いや、あの数は無理だろ」
「いえ。僕が行ってきましたから間違いありませんよ」
「ちょっと待て、お前が行ったと? それは無いな。今あそこはお前のようなEランクは入れない。嘘は良くない、嘘の報告でギルドを混乱させたのだ、冒険者ギルドの追放もあるか······」
えっと、ギルドの追放? それは困りますけど嘘は付いていませんし。
「ライ。ギルドカードを見せてあげなさいそうすれば納得してくれるわよ」
「あ、そうだね」
ギルドのみんなが注目する中ギルドカードを収納から出して、追放と言い出した方に見せました。
「なっ! Sランクだと! それでは俺が仕掛けた魔道具は――あっ、な、何でもない······」
ちゃんと聞こえましたよ!
「あなたがあの魔道具を? 魔物を発生させたり、集めたりする魔道具を仕掛けたのですか?」
「し、知らん! 俺は何も知らん!」
「それはねえだろサブマス! なあ! みんなもサブマスが自分で仕掛けたって聞いたよな!」
おじさんがそう言うと回りの方達は口々に『俺は聞いたぞ! サブマスてめえ!』『そう言えは半年ほど前にサブマスが帝国の兵士とダンジョンに行ってたぞ』『おお、確かにそうだあの後からだもんな』『てめえのせいで俺達は!』とか色々言われ、詰め寄られています。
「サブマス。その話は本当か? 私も聞いていたが本当ならこの半年間で出た損害はサブマスと帝国に、冒険者ギルドとして請求するぞ。それだけではない。半年間の街の食料不足でやむ終えず輸入した物にかかった費用もだ」
「そ、それだと私は処刑か、良くて犯罪奴隷······」
そうなるでしょうね。もう冒険者達に囲まれて逃げ場も無さそうですし。
(ライ! サブマスってヤツ、転移の魔道具を持ってるわ! ネックレスよ! 収納しちゃいなさい、早く!)
見ると、確かにサブマスさんのネックレスは魔力があります。僕はすぐに収納。
「く、くっくっく。はぁ~。バレたら仕方がねえな。まあもらう金はいただいたし俺は消えさせてもらうぜ」
「サブマス。やはり本当のようだな。だがこの取り囲まれた状態で逃げられるとでも? 観念すれば痛い目には合わずに済むぞ」
「まあもう良いか。この作戦を立てたのはこの領地を納める辺境伯様と管理監の男爵様だ。ほらよ、その依頼書だサインも入ってるだろ?」
サブマスさんはそう言って辺境伯様と男爵様のサインがある依頼書を腰にぶら下げていた魔法の袋から出してみんなに見せるように上に掲げました。
見てみると。
◇国境のダンジョンでの階層封鎖
各階層の下り階段で使用
一階層のみ魔物集めの魔道具を使用する事
貸与する魔道具
・魔物発生の魔道具 三十六個
・魔物集めの魔道具 四個
報酬 白金貨一枚、大金貨五枚とする。
バラクーダ辺境伯
タシンサ男爵
本当ですね。サインもしっかり書かれていますし。でもこんなのバラしたらその方達からも狙われますよね?
「くははっ! なんだ? 俺がこのまま捕まるとでも思っているのか? 俺は逃げるぜ、そうだな帝国じゃなければ適当に暮らせるだけの金は稼いだからな。あばよ、転移!」
だからできないですよ。
「おいサブマス。お前は転移などできるとは思ってもいなかったが魔力不足か? どこにも転移してないが? まあ良い。サブマスをこうそくしろ、報酬は一人大銅貨一枚だがここにいる全員に渡すぞ」
「な! なぜ転移できない! 何度も試して確実に転移できる事は確認していたのだぞ!」
そう言って胸元からネックレスを出し、確かめようとしているのか首から手を入れ、まさぐっていますけれど僕が持っていますからありませんよ。
「無い! 俺の転移の魔道具が無いなぜだ、今朝は確かに有ったのだぞ······」
「ふむ、転移の魔道具か、それは想定していなかったが無いようだな。よしみんな、良いぞだがまだ他に魔道具や武器、そうだな薬なんかも持っているかも知れんな、全部脱がせて拘束だ」
「くっ、くそ! 離しやがれ! 俺はこんなところで! 待てそれは俺の金が入ってるんだ触るな!」
サブマスは数人で手足を持たれ、ナイフなどで服なんかはスパスパと切り裂かれあっという間にパンツだけになりました。
やっぱりパンツは残すんだね。
(そうよ。だからライも気を付けなさいよね)
そうして、手足をロープで縛られ床に転がされたサブマスさんは、誰かに殴られたのか鼻血を出していました。
「よし今いるヤツはカウンターで報酬をもらってくれ。全てコイツの給与から差し引いてやるから遠慮するな」
ギルドマスターさんがそう言った途端みんなは我先にとカウンターに並び出しました。
「なんだ少年。君はもらわないのかね?」
「後で大丈夫です。それよりこれをお渡ししないといけませんでした」
僕はギルドマスターさんに父さんからの手紙を渡しました。
「ふむ。なっ! サーバル男爵様の! 剣聖様からいったい何が!」
ギルドマスターさんは慎重にナイフで封を開け、中身を取り出し読み始めました。
「向こうの砦からダンジョンへ向かう馬車が一気に出てきたぞ! 向こうのギルドからの連絡は!」
おお。素早い方達はもうダンジョンに向かいだしたのですね。早くここの方にも教えてあげませんと。
「あの、その事を伝えに来ました」
「あん? 少年それはどういう事だ?」
走り込んできたおじさん冒険者が僕の方を見て話しかけてきました。それに喧嘩をしていた人達もギルドにいた人達全員ですが、おっと、また止まってしまいましたね。
「はい。ダンジョンの二階層に下りる階段に集まっていたネズミ、じゃなくてウォールナットラットはいなくなりました。そして二階層から下にも大量発生していた魔物もいなくなりましたからもう大丈夫です」
「ほ、本当か! それならあの動きも分かる。おい、少年それは本当の事なんだよな? 向こうの奴らが力を合わせて······いや、あの数は無理だろ」
「いえ。僕が行ってきましたから間違いありませんよ」
「ちょっと待て、お前が行ったと? それは無いな。今あそこはお前のようなEランクは入れない。嘘は良くない、嘘の報告でギルドを混乱させたのだ、冒険者ギルドの追放もあるか······」
えっと、ギルドの追放? それは困りますけど嘘は付いていませんし。
「ライ。ギルドカードを見せてあげなさいそうすれば納得してくれるわよ」
「あ、そうだね」
ギルドのみんなが注目する中ギルドカードを収納から出して、追放と言い出した方に見せました。
「なっ! Sランクだと! それでは俺が仕掛けた魔道具は――あっ、な、何でもない······」
ちゃんと聞こえましたよ!
「あなたがあの魔道具を? 魔物を発生させたり、集めたりする魔道具を仕掛けたのですか?」
「し、知らん! 俺は何も知らん!」
「それはねえだろサブマス! なあ! みんなもサブマスが自分で仕掛けたって聞いたよな!」
おじさんがそう言うと回りの方達は口々に『俺は聞いたぞ! サブマスてめえ!』『そう言えは半年ほど前にサブマスが帝国の兵士とダンジョンに行ってたぞ』『おお、確かにそうだあの後からだもんな』『てめえのせいで俺達は!』とか色々言われ、詰め寄られています。
「サブマス。その話は本当か? 私も聞いていたが本当ならこの半年間で出た損害はサブマスと帝国に、冒険者ギルドとして請求するぞ。それだけではない。半年間の街の食料不足でやむ終えず輸入した物にかかった費用もだ」
「そ、それだと私は処刑か、良くて犯罪奴隷······」
そうなるでしょうね。もう冒険者達に囲まれて逃げ場も無さそうですし。
(ライ! サブマスってヤツ、転移の魔道具を持ってるわ! ネックレスよ! 収納しちゃいなさい、早く!)
見ると、確かにサブマスさんのネックレスは魔力があります。僕はすぐに収納。
「く、くっくっく。はぁ~。バレたら仕方がねえな。まあもらう金はいただいたし俺は消えさせてもらうぜ」
「サブマス。やはり本当のようだな。だがこの取り囲まれた状態で逃げられるとでも? 観念すれば痛い目には合わずに済むぞ」
「まあもう良いか。この作戦を立てたのはこの領地を納める辺境伯様と管理監の男爵様だ。ほらよ、その依頼書だサインも入ってるだろ?」
サブマスさんはそう言って辺境伯様と男爵様のサインがある依頼書を腰にぶら下げていた魔法の袋から出してみんなに見せるように上に掲げました。
見てみると。
◇国境のダンジョンでの階層封鎖
各階層の下り階段で使用
一階層のみ魔物集めの魔道具を使用する事
貸与する魔道具
・魔物発生の魔道具 三十六個
・魔物集めの魔道具 四個
報酬 白金貨一枚、大金貨五枚とする。
バラクーダ辺境伯
タシンサ男爵
本当ですね。サインもしっかり書かれていますし。でもこんなのバラしたらその方達からも狙われますよね?
「くははっ! なんだ? 俺がこのまま捕まるとでも思っているのか? 俺は逃げるぜ、そうだな帝国じゃなければ適当に暮らせるだけの金は稼いだからな。あばよ、転移!」
だからできないですよ。
「おいサブマス。お前は転移などできるとは思ってもいなかったが魔力不足か? どこにも転移してないが? まあ良い。サブマスをこうそくしろ、報酬は一人大銅貨一枚だがここにいる全員に渡すぞ」
「な! なぜ転移できない! 何度も試して確実に転移できる事は確認していたのだぞ!」
そう言って胸元からネックレスを出し、確かめようとしているのか首から手を入れ、まさぐっていますけれど僕が持っていますからありませんよ。
「無い! 俺の転移の魔道具が無いなぜだ、今朝は確かに有ったのだぞ······」
「ふむ、転移の魔道具か、それは想定していなかったが無いようだな。よしみんな、良いぞだがまだ他に魔道具や武器、そうだな薬なんかも持っているかも知れんな、全部脱がせて拘束だ」
「くっ、くそ! 離しやがれ! 俺はこんなところで! 待てそれは俺の金が入ってるんだ触るな!」
サブマスは数人で手足を持たれ、ナイフなどで服なんかはスパスパと切り裂かれあっという間にパンツだけになりました。
やっぱりパンツは残すんだね。
(そうよ。だからライも気を付けなさいよね)
そうして、手足をロープで縛られ床に転がされたサブマスさんは、誰かに殴られたのか鼻血を出していました。
「よし今いるヤツはカウンターで報酬をもらってくれ。全てコイツの給与から差し引いてやるから遠慮するな」
ギルドマスターさんがそう言った途端みんなは我先にとカウンターに並び出しました。
「なんだ少年。君はもらわないのかね?」
「後で大丈夫です。それよりこれをお渡ししないといけませんでした」
僕はギルドマスターさんに父さんからの手紙を渡しました。
「ふむ。なっ! サーバル男爵様の! 剣聖様からいったい何が!」
ギルドマスターさんは慎重にナイフで封を開け、中身を取り出し読み始めました。
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