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エウダイモニア
67話 成す
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その後、公爵家の罪(セト公爵)の罪が多く暴かれた。長年、国の財政を使い込んでいたことやトートの戸籍偽造など多くの罪が暴かれた。
公爵家は財産没収及び家門の没収が決まり、フィルナンデス家は歴史と貴族社会姿を消した。妻であったネフティスは2人子供とお腹の子を携え実家に戻った。
その後トートは無事に退院し、屋敷に戻ってきた。
「トート様」
リビングでみんな(ラズリさんは自室)と談笑していた自分を執事長が呼ぶ。
「どうしましたか?」
「お客様です」
「分かりました」
少し緊張気味に返答し客間に行くとネフティスさんがいた。
「こんにちは」
少しぎこちなく言い、ソファーに座る。沈黙が走る。
「あの・・・」
ネフティスが口を開く。
「ご存じかと思いますが子供達は私が引き取ることになりました」
「はい、知っています。あなたはそれでいいんですか?」
ネフティスがキョットンとする。
「あなたのお腹に子はともかく他の2人は・・・」
「確かにそうですね。でも愛したいと思ったんです。ラズリ様が言っていたんです。その人はその人だと。だから子供達は一人の人間として愛したいんです。不安しかないけどラズリさんが励ましてくれました」
『親が全ての責任を取る義務なんてない。親っていうのは何が正しいか間違っているかを教える存在ではなく。世界はこんなに広いんだよって教えてあげる存在なんです。与えた者が見せた世界が間違っているか正しいかは子供が勝手に決めます。チャンスを奪ってはならない』
「だから子供達が正しいっと言ってくれる母親になりたいです。あなたにも」
「(また助けてもらちゃったんだ)」
ネフティスは真っ直ぐにトートを見る。 トートは照れ臭く目線を逸らす。
「皇帝陛下が言っていました」
トートのお見舞いに皇帝が来た際、会議室で何があったのか、そしてご自身の過去について話してくれた。
「我は親に愛されなかった。当然だ。戦略結婚なんてそれが当たり前だ。だが愛されたかった我は必死に頑張った。いつか愛されると信じて、だが魔法が全ての世界でさらに皇族であった我は異孤児とされた。父は母を責め、母は我を責めた。だからこそ愛したいと思った」
リヒト皇帝が結婚をしたのは18歳の時だ。
純白のドレスに身を包んだ女性に純白のスーツを着たリヒト皇帝が近づき、女性の顔を見る。
『いいの?』
『我はそなたがいい。そなたは我を愛してくれますか?』
『ここに立っている時点で答えは分かっているでしょう?』
2人は笑顔で見つめ合う。
密かに結婚を約束した2人は密かに暗躍しこうして密かに愛を誓ったのだ。
皇帝はトートの方を向く。
『トート、許せとは言わない。だが終わったことをいつまでも引きずるのはとても惨めなものだ』
『はい。ありがとうございます』
「そう」
ネフティスが微笑む。
「これからよろしくお願いします。お母さん」
トートの顔に迷いはなかった。
「一皮抜けたね。トート」
「はい」
照れ臭く頭を掻く。ネフティスが帰った後トートはみんなの所へと戻った。無意識にラズリさんを探す。
「ラズリは部屋にいます」
察したレオが、何か話したいことがあるんでしょう、っと言ってトートを見る。
トートは頷き、行ってきます、っとその場を後にする。
ラズリさん部屋へと向かい名乗ってからノックする。
入れ、っと端的な返事が返ってくる。
「どうした?」
椅子に座ったまま顔だけこちらに顔向ける。
「謝罪と感謝をしたくて」
「必要ない。される謂れはない」
顔を戻す。
「では独り言として言わせていただきます」
「・・・」
「ストゥルティの逮捕の時、ラズリさんに酷い罵声を浴びせました。作戦の説明の時に何も言えなかった自分が悪いのに。それなのに父・・・公爵を逮捕する際、自分のために動いてくれたと聞きました。本当に感謝の・・・」
トート、ラズリがトートを見ずに名前を呼ぶ。
「成せることをやっただけだ。感謝も謝罪も不要だ」
「ですが・・・」
「成せることを成せ、お前が今成したいこと、成せなければならないことを」
「本当にラズリさんは優しいですね」
その言葉を最後にその会話を終了した。
トートは夕食を終え、部屋に戻りベットに寝転びラズリに言われたことを考える。
「(自分に出来ること・・・)」
目を閉じ考える。少し考えたのち目を開ける。
「(やっぱりこれしかないな)」
トートが成したいことそれはパイロンのように強くなり彼らと肩を並べること、である。
公爵家は財産没収及び家門の没収が決まり、フィルナンデス家は歴史と貴族社会姿を消した。妻であったネフティスは2人子供とお腹の子を携え実家に戻った。
その後トートは無事に退院し、屋敷に戻ってきた。
「トート様」
リビングでみんな(ラズリさんは自室)と談笑していた自分を執事長が呼ぶ。
「どうしましたか?」
「お客様です」
「分かりました」
少し緊張気味に返答し客間に行くとネフティスさんがいた。
「こんにちは」
少しぎこちなく言い、ソファーに座る。沈黙が走る。
「あの・・・」
ネフティスが口を開く。
「ご存じかと思いますが子供達は私が引き取ることになりました」
「はい、知っています。あなたはそれでいいんですか?」
ネフティスがキョットンとする。
「あなたのお腹に子はともかく他の2人は・・・」
「確かにそうですね。でも愛したいと思ったんです。ラズリ様が言っていたんです。その人はその人だと。だから子供達は一人の人間として愛したいんです。不安しかないけどラズリさんが励ましてくれました」
『親が全ての責任を取る義務なんてない。親っていうのは何が正しいか間違っているかを教える存在ではなく。世界はこんなに広いんだよって教えてあげる存在なんです。与えた者が見せた世界が間違っているか正しいかは子供が勝手に決めます。チャンスを奪ってはならない』
「だから子供達が正しいっと言ってくれる母親になりたいです。あなたにも」
「(また助けてもらちゃったんだ)」
ネフティスは真っ直ぐにトートを見る。 トートは照れ臭く目線を逸らす。
「皇帝陛下が言っていました」
トートのお見舞いに皇帝が来た際、会議室で何があったのか、そしてご自身の過去について話してくれた。
「我は親に愛されなかった。当然だ。戦略結婚なんてそれが当たり前だ。だが愛されたかった我は必死に頑張った。いつか愛されると信じて、だが魔法が全ての世界でさらに皇族であった我は異孤児とされた。父は母を責め、母は我を責めた。だからこそ愛したいと思った」
リヒト皇帝が結婚をしたのは18歳の時だ。
純白のドレスに身を包んだ女性に純白のスーツを着たリヒト皇帝が近づき、女性の顔を見る。
『いいの?』
『我はそなたがいい。そなたは我を愛してくれますか?』
『ここに立っている時点で答えは分かっているでしょう?』
2人は笑顔で見つめ合う。
密かに結婚を約束した2人は密かに暗躍しこうして密かに愛を誓ったのだ。
皇帝はトートの方を向く。
『トート、許せとは言わない。だが終わったことをいつまでも引きずるのはとても惨めなものだ』
『はい。ありがとうございます』
「そう」
ネフティスが微笑む。
「これからよろしくお願いします。お母さん」
トートの顔に迷いはなかった。
「一皮抜けたね。トート」
「はい」
照れ臭く頭を掻く。ネフティスが帰った後トートはみんなの所へと戻った。無意識にラズリさんを探す。
「ラズリは部屋にいます」
察したレオが、何か話したいことがあるんでしょう、っと言ってトートを見る。
トートは頷き、行ってきます、っとその場を後にする。
ラズリさん部屋へと向かい名乗ってからノックする。
入れ、っと端的な返事が返ってくる。
「どうした?」
椅子に座ったまま顔だけこちらに顔向ける。
「謝罪と感謝をしたくて」
「必要ない。される謂れはない」
顔を戻す。
「では独り言として言わせていただきます」
「・・・」
「ストゥルティの逮捕の時、ラズリさんに酷い罵声を浴びせました。作戦の説明の時に何も言えなかった自分が悪いのに。それなのに父・・・公爵を逮捕する際、自分のために動いてくれたと聞きました。本当に感謝の・・・」
トート、ラズリがトートを見ずに名前を呼ぶ。
「成せることをやっただけだ。感謝も謝罪も不要だ」
「ですが・・・」
「成せることを成せ、お前が今成したいこと、成せなければならないことを」
「本当にラズリさんは優しいですね」
その言葉を最後にその会話を終了した。
トートは夕食を終え、部屋に戻りベットに寝転びラズリに言われたことを考える。
「(自分に出来ること・・・)」
目を閉じ考える。少し考えたのち目を開ける。
「(やっぱりこれしかないな)」
トートが成したいことそれはパイロンのように強くなり彼らと肩を並べること、である。
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