最愛の敵

ルテラ

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アデリア戦

51話 奴らの正体

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 世界には5つのワープ装置があり、スイマール帝国は3つあるが戦争を仕掛けた日に他国との関係は遮断したため国内を行き来することにしか使われていなかった。セルシアルに設置することは驚きべきことなのだ。
 ここからは会議に参加した人のみが知ること。
 アデリアの壁にある大砲は全てスイマールによって回収された。
 地下にいた人達が着けられていた鎖は、ラズリの言う通り精神系の魔法が込められていた。人を人形のようにしてしまう効果があった。皮肉なことに鎖は吸い取られた魔力で補っていたそうだ。
 そして神聖イニティーム帝国の民の行方。ラズリの話ではアデリア民とは違う服装をした者達がいたそうだ。生き残りの者達の話も聞いた結果アデリアの民もいたが服装の違う者達が確かにいたそうだ。地下にある死体の山を調べた結果、服装の違う者達が発見された。調査の結果ずっと気掛かりだった神聖イニティーム帝国の民であると結論づけられた。
 神聖イニティーム帝国の推定人口と連れ去られた人の数が死体の数と合わなかったため捜査をした所、海に向かって道が延びていたことから死体は海に捨てられていたとこちらも結論づけられた。アデリアの民も同様に行方不明の者は海に捨てられてしまったっと結論付けられた。
 ここからはリヒト皇帝とパイロン(トートは除く)、ライしか知らないこと。
 民の魔力を吸収した魔力がなくなっていたこと。
 そして皇帝とその重臣が行方をくらましたこと。恐らく“奴ら”、オムニブスと共に行方をくらました思われる。

 会議は開かれた場所には今リヒト皇帝、パイロン(トートを除く)、ライが残っていた。
「ごめん!僕のせいだ」
 ライが頭を下げる。
「ライのせいじゃない」
 レオが言う。
「そうだよ。完璧に統制するなんて無理よ」
 アイシャが言う。
「落ち着け。奪われた情報とかは?」
 フィールが言う。
「今の所ない。行方をくらました『影』は情報を探るための奴だったから情報操作・・・」
「最初からスパイだったのか?」
 ラズリが質問する。
「どういう事?」
「『影』になる前に身辺調査は徹底する。それにそいつに異変はなかったんだろう?寝返るとは思えない」
「まあ」
「ではいつ?」
「そいつに直接会ったのは?」
「この戦いが始まる1ヶ月くらい前かな?」
「ならその後、変わったんだろう」
「何のために?」
「情報操作でしょう。現に俺たちはアデリアの都市を見るまで都市も現状を知らなかったですから」
「まんまと嵌められた訳だ」
 フィールはため息を吐く。
「ともかく現状、被害はない。本題に移る」
 全員が言い緊張が走る。
「確かなんだろうな」
「間違いない黒マントと奴の口から直接聞いた」
 フィールが答える。
「それにラズリだった聞いたんだろう?」

ー約10日前ー
「やはりお強い」
 ラズリはNo.2、No.3を磔にし拷問していた。
「質問に答えろ。お前達は何者だ。『エクリプス計画』とはなんだ?黒幕は誰だ。(ソロモンとはあのソロモンなのか)」
「お答えしかねます」
 グシャっ
「・・・グッ・・・ヴ」
 No.2の指を切断する。
 続いてNo.3の方を見る。
「お答え・・・ぎいぃぃ」
 今度は待たずに切る。
「さすが『冷徹の英雄』だ」
 声がした方に即座に構える。
「何者だ?」
 そこは例の黒騎士がいた。
「『セイレ』っとだけ名乗っておこう」
「貴様らの目的はなんだ。答えろ」
 No.2、No.3の首に刃物を向ける。
「あー、それやっても意味ないよ。もうそいつら、いらないから」
 パチン
 セイレが指を鳴らすと2人の首が180度まわる。
「速く、行ってあげなよ」
「何?」
「気づいているんでしょ?全員死にかけてるよ。いやー、あの新入りの子は死んじゃうかもな」
 ラズリは睨めつける。
「大丈夫。また会えるよ」

「で、トートを助けに行ったと?」
「ああ」
「何が目的だ?敵を助けるような真似して?」
「それに奴らの言う『エクリプス計画』とはなんなんだ」
 全員が沈黙する。
「ねぇラズリ、その後その死んだ2人どうしたの?」
「?」
「ほら死体は割とキレイに残ったんなら解剖とか」
「あの後、トートを助けに向かった後、爆発した」
「え?」
「証拠隠滅ですか・・・」
「証拠を残したり、消したり、何なんだ!!」
 イライラしながらフィールが言う。
「やる事が山ほどあり過ぎて、何から手をつけるべきか、分かりませんね」
「はぁー、どうしたものか」
 皇帝が頭を抱える。
 コンコンコン
「入れ」
 皇帝が言う。
「失礼します」
 セリアが入ってきた。
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