最愛の敵

ルテラ

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アデリア戦

17話 パーティー

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 食堂に行く。
「皆様お待ちしておりました。お席に御座りくださいませ」
 メイド長が一礼する。
 皆、席に着く。
 フィールさんの前がアイシャさん。セリアさんの横がレオさんその前にラズリさんセリアさんの前がライ。そして僕はライの隣に座ろうとした。
「トートどうしたの?」
 アイシャさんが聞く。
「えっ?」
「主役はここだろう」
 フィールさんが一番前の席を指す。
「そうだぜ。早く座れ」
 ライが揶揄うように言う。
「し、失礼します」
 自分は座る。
「ではメイド長お願いします」
 レオさんが言う。
「畏まりました」
 食事が運ばれてくる。会話をしながら美味しい食事を食べる(ラズリは目元のみ覆う仮面を着用)。最後にケーキを食べ、食後のお茶を飲みながら会話は続く。
「どうだった?トート」
「とても美味しかったです。メイド長ありがとうございます」
「お褒めに預かり光栄でございます」
 一礼すると食堂から去って行き自分達だけとなった。
「そうだ」
 ライが思い出したように言う。
「トートに渡したいものがあったんだ」
 ライはいつの間にか持ってきていた。2つ箱を渡す。
「もしかして、さすがやることが早いな」
 フィールさんが関心する。
「いや、ラズリに頼まれたから早く持ってこれたんだ」
「流石、気が効きますね」
「あの・・・これらは?」
 自分は戸惑いながら聞く。
「みんなからのプレゼントだ。開けてみろ」
 自分はラズリさんの言われた通りに箱を開ける。
 1つ目の箱には目元だけの仮面、2つ目は青色の片耳イヤリングが入っていた。
「本当は昨日渡すはずだったんだけど仮面の色塗りが終わらなくってね」
「えっ?ライが作ってるの?」
「いや、仮面は特注だけど色塗りとかデザインは僕が描いてんだ」
「すごいね。でもどうして・・・」
「俺たちの仲間である証明です。だからと言って俺たちのようにいつも仮面を着けなければならないということはありません」
「着けたい時に自由につける」
「何ならインテリヤとして部屋に置いとくのもいいしね」
「まずは着けてみろよ。トート」
 自分は仮面を着ける。
「まぁ、似やってるはトート君」
 セリアさんが笑顔で言う。
「うん。改めてよろしくねトート」
 ライが言う。
「トートこれからよろしくお願いします」
 レオさんが言う。
「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします」
 涙が溢れそうになるのを抑えてず自分は感謝を述べる。

 自分は部屋に戻ってからも何回も仮面を着けたり眺めてうっとりとしていた。嬉しくて心臓がバクバク言う。
「(嬉しいすぎる)」
 自分はそう思い。改めて頑張ろうと誓った。

ー深夜ー
 静まり帰ったら屋敷で3つの影が動く。影は同じ所へと向かう。
 1階の奥の部屋、ラズリの部屋だ。
コンコンコン
「入れ」
「遅くなりました」
「いや時間通りだ」
 全員が座る沈黙が走る。
 フィールが口を開く。
「なぁ、これでいいんだよな」
 フィールは重々しく言う。
「そう思うより他ありません」
「辛いなら関わらなくていい。知らん顔していろ。勝ってにやる」
 再び沈黙が走る。
「いや・・・そう言う訳じゃ・・・」
 フィールはバツが悪そうに頭を掻く。
「トート、人を殺したことがまだないんだって」
 アイシャが歯切れ悪く言う。
 2人は目を大きく見開く。しかし、「あぁ、知ってる」ラズリが静かに言う。
 3人が驚きの顔する。
「何ですって!?」
 驚きと怒りの混じって顔でアイシャがラズリを見る。
 今にも突っかかりそうな所をフィールが制し、
「いつから?」
「あいつと出会った日を覚えているな」
「えぇ」
「まさかその時から?」
 ラズリは頷く。
「あいつの目を見てわかった」
「ならなんで?」
 アイシャが顔を歪ませる。
「だからですか・・・」
 黙っていたレオが口を開く。
「どういうこと?」
「アイシャ、10人殺した人間と誰も殺していないし奴どちらがいい奴だと思う?」
 ラズリの質問に考える。
「そんなの0人に決まってるじゃない」
「なぜ?」
「10人も殺してるのよ。いい奴じゃ・・・」
 自信なさそうに言う。
 パイロン4人全員、100人いや1000人以上は殺している。なのでこの手の話しには抵抗がある。
「一旦置いておけ」
 ラズリは察して言う。
「いい奴じゃないは」
「そうだ。英雄とは“いい奴”のことを指す。物語の英雄は魔物を倒し、魔王を倒す。だが現実は違う魔王もいなければ魔物もいない。争うのはいつだって人だ。我々は人を殺し過ぎた。英雄にはなれない。英雄とは人を守り救うのが仕事だ。そして軍人とは人を殺して人を助けるのが仕事だ」
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