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第3章 淫武御前トーナメントの章
68話 ラストバトル2♥(壁と化した樽男に犯され、しまいに精液を強請るナツキ)
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68話 ラストバトル2♥(壁と化した樽男に犯され、しまいに精液を強請るナツキ)
龍司からの陵辱は、言葉通りに無理やりなもので、無理やりな快楽に、そして無理やりな絶頂だった。
入り込んでから最奥に到達するまでのあいだに、数え切れないほどの絶頂を与えてきて、無理やりであったことさえ忘れるほどに狂わせた。
戦いであることを忘れ、敵であることさえ忘れ、ナツキは考えることすら忘れるほどに逝かされてしまった。
龍司を前にして快楽に果ててしまったナツキであったが、耳を引くやり取りに、横たえていた身体をひくんっ、と跳ねさせた。
「ふぅ……、流石に疲れたねぇ。どうだい龍司さん、一回休憩にしないかい? 時間はいくらでもあるんだろう?」
「おぉん? 樽男ー。翔子が完全にものにならなくて音を上げたくなったのかぁあん?」
「はぁ……。まぁ、そんなところだよ」
「休憩は無しだ。さっさとけり付けちまうぞ。今度はおれが翔子とやる。樽男。お前はナツキをきっちり堕とせ」
……チェン……ジ? 樽男と、龍司が入れ替わる……?
あぁ……、そ、そうだった……。
龍司に…………狂わされたんだったっ……。
身体が道場の床と一体化でもしたかのように重たい。
しかしそれでも、訪れた転機に記憶の断片が集まってきて、意識がはっきりとしてくると、動く気力が沸いてくる。
だからといって、すぐには動かず、ナツキは2人のやり取りに聞き耳を立てた。
「ほう……? わたしがナツキさんをかね。……彼女とは浅からぬ因縁があるんだよ」
「堕とし損ねたくノ一なんだろ?」
「あぁ、そうだよ。身体は一度堕としているんだが心は堕とせなかった。半堕ちだねぇ」
「ナツキを任せて良いな?」
「あぁ、もう堕ちているようなものだよ。目を見れば分かる。どれだけわたしに好意をもっているかをねぇ」
……どこからそんな自信が沸いてくるんだ?
そう思ってしまうほどに自信に満ちあふれた声だった。
癇にさわるほどに。
しかしチャンスだ。
いったい樽男がどんな卑怯な手を使ってオネエを手籠めにしたかは分からない。
それでもナツキは、オネエ以上に樽男の使う手を熟知している自信があった。
……何度か肌を重ねてしまったせいではあるが。
しかし、そのときに樽男の性感帯は隅々覚えた。
……奉仕させられたせいではあるが。
そしてくノ一の性というべきか、ナツキは肌を重ねる度に、未熟なりにも魅惑の術に嵌めていたのだ。
……魅惑の術に嵌まっているから、樽男はこんなにも自信満々なのだろうか……?
それはさておき、樽男と戦えるなら現状を打開できる。
力さえ使いこなせたなら龍司にだって負けない。
刃を交えて確信した。力を発揮できれば逆転出来る。
……チャンスがやってきた。
「んぅ、あ、あぁああああああああんっ♥」
え……?
床に伏せって、龍司と樽男攻略の算段を練ろうとしている中でのことだった。
突然として、ナツキの視界が広がり、目の前の鏡にオネエが映し出されたのだ。
そして、樽男から犯されていたときと同じように、大の字に固定されて。そして、その後ろには龍司の姿が――。
――ぐっ……っ。
フラッシュが焚かさり、四人の立ち位置から、体勢までもが一瞬にして切り替わったのだ。
「な、なにっこ、れっ……、りゅ、龍司っ!」
「どうしたー? あぁん?」
戸惑うオネエの背後から囁きつつ、龍司が口から赤ピンクの細長い舌を伸ばしていった。まるで糸こんにゃくのような、触手にも見える舌がオネエの耳の中へと入り込んでいく。
「いう゛っ、ア゛、あぁあ゛んっ!」
「な、なにをしている!!」
舌が変化したであろう細長い触手が、戻ることを知らずに進み続けている。
脳まで浸食するかの勢いで、戻ることを知らずに。
「ア゛! ぅア゛! んぉア゛ぁあっ!」
「お、オネエ!!? やめろ! 龍司!!」
鏡を介して目の前にいるのに、ナツキの悲痛な叫びは聞こえていないようだった。
得体の知れない責め苦を味わわされているオネエはともかくとして、ナツキの悲鳴は龍司にさえ届いていない様子だった。
「ぐっ! 殺してやるっ! っえ!?」
怒り任せに鏡を叩き割ろうとして、ここに来てようやくナツキは自分の身に起こっている事態に気が付いた。
――腕が動かせない。
ブヨブヨとした感触の生ぬるく濡れ湿ったものに、腕を覆い込まれてしまっていたのだ。それも肘まで隠れるほどに。
「くっ!!」
拘束されていると気付き、すぐさま身体をバタつかせようとして、下半身までもが膝まで飲み込まれていると知った。
「なんだこれっ!?」
混乱を叫ぶ中、オネエと龍司の映った鏡が波打った。
すると、本来の役目を取り戻したように、鏡にナツキ自身の姿が映し出された。
肉に拘束されていると思った四肢は、想像よりも酷い状態だった。背中にある肉の壁に、身体が同化するように埋まっていたのだ。
しかし、置かれた状況への戸惑いよりも、自身の蕩けた顔のほうがショックが大きかった。
快楽に酔っ払って潤んだ瞳に、弛んで垂れ下がった口端からは涎を垂らしている。自分とは思えない、思いたくない紛れもない売女の顔だった。
「くっ、どういうことっ ……こ、こんな顔っ――、た、樽男っ!!!」
落ち込む間もなく、壁から浮き上がってくるように、肩越しに樽男の顔が現れたのだ。
「やぁ、ナツキさん。お久しぶりだね」
「やはりお前は殺すべきだった」
涎を啜り、平静を装い殺気を強めて言い放った。
「ほおぅ? 初めてわたしに犯されてから、今の今までわたしを殺さなかったナツキさんがかねぇ。そんなナツキさんがわたしを殺すなんてマネ出来るとは、とてもとても思えないんだがねぇ」
「生かしておく理由が無くなった。情けを掛ける必要も無い。だから容赦もしない」
「同感だ。わたしも情けを掛けないよ」
「っく……」
「それにもうすぐ、ナツキさんもまともな考えをもてなくなる。エリナや服部みたいにね。龍司に脳を犯されてしまうんだよ何も考えられなくなる」
「脳……。――さっきオネエにしていたのはなに!? 教えて!」
決勝戦で敗北した場合の罰則、くノ一チームの脳みその消去。その罰則と、龍司がオネエに仕掛けている耳穴責めとが、ナツキの中で結びつきそうになっていたのだ。
「まさか……」
「そう。脳みそを弄くりまわしてるんだよ」
「どういうことっ……? なんのためにっ……」
「孕ませるためだ。決勝戦で君たちを動物にしようとした理由もそれだ。どういった訳か脳が働きをやめたら身籠もるようなんだよ。思考力が消えるくらい犯されたエリナも孕んだからねぇ」
ドン引きするような言葉を次から次へと吐き出されて、吐き気を催してくる。
それも、吐きそうな台詞は止まることを知らない。終わりが見えないほどに。
「思考を消すだけでいいから身体に負担も掛からないみたいなんだよ。素晴らしいだろう?」
「いい加減臭い口閉じて。下手な愛撫もやめて」
ドン引きする台詞を吐きつつ、身体を弄くってくる樽男にナツキは言い捨てた。
過去に二度犯された時よりは、樽男の愛撫は巧みにはなっていた。
それでもオネエが堕ちるようなテクニックとは思えない。
溺れるリスクの無い愛撫ならば、いっそ受け入れて体力の回復時間に利用すべき。
……龍司との再戦を考えたなら尚のこと。
しかし、樽男の台詞は聞き流せないほどに我慢のならないもので、ナツキは黙っていられなかったのだ。
「そうかい? それなら愛撫はやめて本番に移ろうか。ねぇナツキさん」
そういう意味で愛撫をやめろと言ったわけでは無い。
しかし、手足が動かせない以上、膣で精液を搾り取って養分にしてしまったほうが、弄られつつ回復するより早い。
搾り取りつつ、龍司を倒す策を練ろう。
憎たらしい男の侵入を許すことを最善策と己に言い聞かせるナツキ。
その膣内へと、肉壁から盛りあがるように浮かび上がってきた樽男の剛直がヅヂュ……ヂュ……、と入り込んでくる。
「お、おぉおっ……。す、凄いねぇ……。前に犯したときとは、ぜんぜん違うねぇ。中が愛液で泥濘んでヌルヌルしてるのに、キツキツでピチピチのまんこだねぇ……」
――き、きもいっ……。
ジメジメした声で吐かれた台詞は気持ち悪いものの、久々に受け入れた樽男の肉棒はあまりにも力強かった。
どっくん、どっくん、と寿命を削って鳴らしているような鼓動を、膣壁全体に響かせてきたのだ。
そして最奥まで入り込んで来るなり、ズニュルルッ! ズニュルルッ! と背中に密着したまま性器だけが激しく出入りしてくる。
淫魔が行う、女を狂わすことに特化した刺激の強いところを狙ったピストンとはあまりにも違う。
自らの刺激を優先した、快楽を貪る為の素早いピストン。
良くも悪くも精を吐き出し、種を植えつけるための、人間のオスらしいピストン運動だった。
壁男と化しても、その貪欲なまでに快楽貪るピストンは変わりなかった。
しかし、ぴったり隙間なしに抱き付いたままピストンされるのは、何とも不可思議な感覚だった。何も無いところからいきなり肉棒が現れては消えるような、そんな経験の無い刺激を与えてくる。それでいて、壁肉に埋められた手足が、内部のスライムのような泥濘に揉みくちゃに捏ねられる。
樽男にしか出来ない立ちバックセックスは、快感が皆無な訳ではない。
むしろ、思っていたよりもずっと気持ちが良い。
それでも、ナツキには十分過ぎる余裕があった。
ズニュッ! ズニュッ! と繰り返される油送運動が、射精をゴールにしていると分かるがために生まれた余裕。
魅惑の術が思っている以上に深く掛かっていると知った余裕だった。
ズヂュウッ! ズヂュウッ! とペース配分無視して、樽男は全力疾走とばかりにピストン速度を上げてくる。
「はぁ、はぁ、た、たまらないねぇ、は、服部よりも良いかもしれないねぇ! はっ、はぁ!」
オネエ……。そうだった。遊んでいる余裕はない。
いつ龍司の矛先がナツキ自身に向くかは分からないのだ。
いつまで、樽男から養分を奪えるかは分からないのだ。
それにオネエの脳が壊されてしまったら、もう取り返しが付かない。
ギュギュッ……、射精を早めるために、ナツキはおへそのあたりに力を込めて締め付けを強める。
「んぅ、はぁ♥」
性器の絡み合いが強くなり、隙間なしの密着に膣壁が削られ甘い声が漏れた。
瞬間、肉棒がビクンッ、と跳ね、サイズを増す。
さらに性器同士が深く抱き合った。
密接に絡み合った中でンボッ、と膣内から丸々消えると、嫌でも喪失感を覚えさせられる。そこからグブッ、と入り込んでくると、充足感を覚えさせられる。
密着が強まれば強まった分だけ、喪失感と充足感が増していく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、すごい、ドロドロしてるのに、締め付けてきてっ、逝きそうだっ……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
樽男の吐息が細かく浅くなり、肉棒の痙攣もドクドクドクドク、激しくなる。
はぁはぁはぁはぁ――、耳孔に激しい息遣いを当てられて、ドクンドクンと密着しすぎた樽男の心音が身体全体を震わせてくる。
一体化したような密着感の中で与えられる快楽。
感化されて、ナツキも昂ぶっていた。
「はぁ♥ あっ、はぁ、あっ、はぁ、うっ♥ あっ♥ はぁんっ♥」
ピストンに合わせて小刻みな喘ぎが漏れると、同調するようにさらに肉先が熱を籠もらせた。
熱に膨張させられたような肉棒に快感が強まった。
「っあ♥ あ、あっ、あ、あ、んっ♥ あっ♥」
いつ逝ってもおかしくないくらいに、ビグンビグンと暴れてくる肉棒に、不本意ながらもナツキは興奮させられていた。
――もう少し、もう少しで逝かせられる。
中に……、出される…………♥
ドグンッ……。射精間際での射精の想像に、なぜか子宮がゾクンッ、と跳ねた。
悪寒に竦み上がるように脈打ち、そこから鈍痛伴う動悸が始まりナツキは戸惑う。
樽男に射精されることに、興奮しているの……?
なんで……?
子宮に放出される想像をしてから、狂おしい程の興奮に襲われた。
まるで子種を注ぎこまれることを子室が望んでいるような興奮に、恐怖を覚えた。
「あっ♥ なんでっ、う、あっ、あ! あっ、うっ!?」
危機感を覚えたナツキは、無意識に逃げるように壁樽男から腰を浮かした。
「おや? まだそんなこと出来るくらい力が残っていたのかな?」
離れたのも束の間。壁から生え出てきた腕が、ナツキの腰を逃がさぬようにがっちりと掴んでズヂュンッ!!
「ンォヒッ!!?」
引き寄せながらの打ち据えピストンに、喘ぎを鳴かされた。
零距離ピストンしか受けていなかった身体が、身体全てを使ったピストンを待ち望んでいたのだ。
「龍司から嵌め倒されたのに、一度も精子をもらえなかったんだ。欲しくなるのも当然だろう? ナツキさん」
「……なッ……」
こ、こうなることを……、知って……、いたのっ……。
身体を苛む飢餓状態は、絶頂よりも子種に飢えている反応ではあった。
樽男から言われるまで気付かなかったが、言葉にされてはっきりと自覚した。
だからとて、いまさら対抗できる手立ては何も無かった。
射精の想像に喜び、たった一度の打ち据えピストンにさえ喜ばされた。
精液を出される想像に、身体全体が期待に打ち震えている。
期待への震えは、膣内射精から逃れる方法を思いついたとしても実行してくれないと、優に物語っていた。
勝てない……。
ナツキの身体から戦意が抜け落ちると、身体から力も抜け落ちた。壁により掛かる人形のように。
にもかかわらず、男を射精させるための膣の力だけは媚びるように強くなる。
バヂュンバヂュンバヂュンバヂュンバヂュンッ!
「っあ! あっ、あ♥ あぁっ! あぅ、うあ゛! んあっ!?」
堕とせることを確信したような、ラストスパートを掛けてのピストンだった。
快楽を貪るためのピストンよりも、大量の子種を注ぐためのピストンに、ナツキはいつ逝ってもおかしくない激感に襲われていた。
今のナツキにとって生殖のためのピストン運動は、最高の快楽をもたらした。
「ア゛っ、あ! だ、だめっ、い、逝っちゃうっ、ま、まだ、っだされてもないのにっ、出されて無いのにッ、あ、あ゛っい、いいぐっ、い゛っいぐぅうううううっ!? ンォヒィイイイイイッ!?」
高速ピストンによって、目玉が上転して白目を剥いてしまうほどの強烈な絶頂の中、とどめとばかりの射精が始まった。
ドビュルドブドブユッ、ドブビュルルルッ!
「ひゃめっ! らしゃないれっ! しぇいしやめてぇえええっ!! ひゃぁう! アァアアああああっ!!」
ビュルッ、と吐き出される度に、子宮がゴクンゴクンと精液を飲み込もうとうねって、樽男のおちんぽにおまんこが絡み付く。
肉棒に付着した精液まで余すところなく欲しがった膣肉が、グニュリグニュリと捩れ、肉肌を舐め回すように絡み付く。カリのくびれに隠れた精液まで逃し無しに。
「んぁああ…………あっ、あふぁあ……あぁ……」
びゅ……、びゅ……びゅぐ………………。
射精が終わるも尿道内にある精子を搾り取ろうとしてギュッ、ギュッ、と絞り付ける。
尿道内の精子を欲して生まれた残滓を吸い上げる摩擦によって、ナツキは精液を飲んだ直後だというのに疼いて仕方がなかった。
ほ、ほしいっ……。…………精子……。もっと……。
子宮の疼きを初めて知った。膣やクリトリスとは比較にならない、生殖本能からの疼きにナツキは苛まれていた。
ゴロンッ……。
まるで心の中を覗き込まれているように、ナツキは壁拘束から解放されて、重力に従って地べたに転がった。
「あ…………ぅ、あ……あ……ぅ……」
背後にいた樽男に振り向くと、樽男は余裕たっぷりにくつろいでいた。
大の字に寝そべっての無防備な体勢で。
「はぁ……はぁ…………はぁ……」
「ナツキさん。まだ精子が欲しいんだろう? 欲しくてたまらないんだろう?」
身体の中で唯一天を指している肉棒。
溶かしたチーズに塗れたような、固形混じりの精液に塗れた肉棒。
「はぁ……はぁ…………はぁ……、はぁ……」
戦わないとならない。
逝かせないとならない。
セックスしないとならない。
ナツキが自己弁護するための言い訳はいくらでもあった。
なのに、ナツキは樽男によじ登っておちんちんを丸飲みし、あろうことか腰を振りながら言い訳吐かずに本心を叫ぶ。
「せ、精子ちょうらいっ、あっあ♥ 精子子宮にくらさいっ! あっ、あっ、あ♥ あんっ♥」
ナツキは精子を求めて、精子を注いでもらうための騎乗位を、樽男の腰の上で繰り返してくのであった。
龍司からの陵辱は、言葉通りに無理やりなもので、無理やりな快楽に、そして無理やりな絶頂だった。
入り込んでから最奥に到達するまでのあいだに、数え切れないほどの絶頂を与えてきて、無理やりであったことさえ忘れるほどに狂わせた。
戦いであることを忘れ、敵であることさえ忘れ、ナツキは考えることすら忘れるほどに逝かされてしまった。
龍司を前にして快楽に果ててしまったナツキであったが、耳を引くやり取りに、横たえていた身体をひくんっ、と跳ねさせた。
「ふぅ……、流石に疲れたねぇ。どうだい龍司さん、一回休憩にしないかい? 時間はいくらでもあるんだろう?」
「おぉん? 樽男ー。翔子が完全にものにならなくて音を上げたくなったのかぁあん?」
「はぁ……。まぁ、そんなところだよ」
「休憩は無しだ。さっさとけり付けちまうぞ。今度はおれが翔子とやる。樽男。お前はナツキをきっちり堕とせ」
……チェン……ジ? 樽男と、龍司が入れ替わる……?
あぁ……、そ、そうだった……。
龍司に…………狂わされたんだったっ……。
身体が道場の床と一体化でもしたかのように重たい。
しかしそれでも、訪れた転機に記憶の断片が集まってきて、意識がはっきりとしてくると、動く気力が沸いてくる。
だからといって、すぐには動かず、ナツキは2人のやり取りに聞き耳を立てた。
「ほう……? わたしがナツキさんをかね。……彼女とは浅からぬ因縁があるんだよ」
「堕とし損ねたくノ一なんだろ?」
「あぁ、そうだよ。身体は一度堕としているんだが心は堕とせなかった。半堕ちだねぇ」
「ナツキを任せて良いな?」
「あぁ、もう堕ちているようなものだよ。目を見れば分かる。どれだけわたしに好意をもっているかをねぇ」
……どこからそんな自信が沸いてくるんだ?
そう思ってしまうほどに自信に満ちあふれた声だった。
癇にさわるほどに。
しかしチャンスだ。
いったい樽男がどんな卑怯な手を使ってオネエを手籠めにしたかは分からない。
それでもナツキは、オネエ以上に樽男の使う手を熟知している自信があった。
……何度か肌を重ねてしまったせいではあるが。
しかし、そのときに樽男の性感帯は隅々覚えた。
……奉仕させられたせいではあるが。
そしてくノ一の性というべきか、ナツキは肌を重ねる度に、未熟なりにも魅惑の術に嵌めていたのだ。
……魅惑の術に嵌まっているから、樽男はこんなにも自信満々なのだろうか……?
それはさておき、樽男と戦えるなら現状を打開できる。
力さえ使いこなせたなら龍司にだって負けない。
刃を交えて確信した。力を発揮できれば逆転出来る。
……チャンスがやってきた。
「んぅ、あ、あぁああああああああんっ♥」
え……?
床に伏せって、龍司と樽男攻略の算段を練ろうとしている中でのことだった。
突然として、ナツキの視界が広がり、目の前の鏡にオネエが映し出されたのだ。
そして、樽男から犯されていたときと同じように、大の字に固定されて。そして、その後ろには龍司の姿が――。
――ぐっ……っ。
フラッシュが焚かさり、四人の立ち位置から、体勢までもが一瞬にして切り替わったのだ。
「な、なにっこ、れっ……、りゅ、龍司っ!」
「どうしたー? あぁん?」
戸惑うオネエの背後から囁きつつ、龍司が口から赤ピンクの細長い舌を伸ばしていった。まるで糸こんにゃくのような、触手にも見える舌がオネエの耳の中へと入り込んでいく。
「いう゛っ、ア゛、あぁあ゛んっ!」
「な、なにをしている!!」
舌が変化したであろう細長い触手が、戻ることを知らずに進み続けている。
脳まで浸食するかの勢いで、戻ることを知らずに。
「ア゛! ぅア゛! んぉア゛ぁあっ!」
「お、オネエ!!? やめろ! 龍司!!」
鏡を介して目の前にいるのに、ナツキの悲痛な叫びは聞こえていないようだった。
得体の知れない責め苦を味わわされているオネエはともかくとして、ナツキの悲鳴は龍司にさえ届いていない様子だった。
「ぐっ! 殺してやるっ! っえ!?」
怒り任せに鏡を叩き割ろうとして、ここに来てようやくナツキは自分の身に起こっている事態に気が付いた。
――腕が動かせない。
ブヨブヨとした感触の生ぬるく濡れ湿ったものに、腕を覆い込まれてしまっていたのだ。それも肘まで隠れるほどに。
「くっ!!」
拘束されていると気付き、すぐさま身体をバタつかせようとして、下半身までもが膝まで飲み込まれていると知った。
「なんだこれっ!?」
混乱を叫ぶ中、オネエと龍司の映った鏡が波打った。
すると、本来の役目を取り戻したように、鏡にナツキ自身の姿が映し出された。
肉に拘束されていると思った四肢は、想像よりも酷い状態だった。背中にある肉の壁に、身体が同化するように埋まっていたのだ。
しかし、置かれた状況への戸惑いよりも、自身の蕩けた顔のほうがショックが大きかった。
快楽に酔っ払って潤んだ瞳に、弛んで垂れ下がった口端からは涎を垂らしている。自分とは思えない、思いたくない紛れもない売女の顔だった。
「くっ、どういうことっ ……こ、こんな顔っ――、た、樽男っ!!!」
落ち込む間もなく、壁から浮き上がってくるように、肩越しに樽男の顔が現れたのだ。
「やぁ、ナツキさん。お久しぶりだね」
「やはりお前は殺すべきだった」
涎を啜り、平静を装い殺気を強めて言い放った。
「ほおぅ? 初めてわたしに犯されてから、今の今までわたしを殺さなかったナツキさんがかねぇ。そんなナツキさんがわたしを殺すなんてマネ出来るとは、とてもとても思えないんだがねぇ」
「生かしておく理由が無くなった。情けを掛ける必要も無い。だから容赦もしない」
「同感だ。わたしも情けを掛けないよ」
「っく……」
「それにもうすぐ、ナツキさんもまともな考えをもてなくなる。エリナや服部みたいにね。龍司に脳を犯されてしまうんだよ何も考えられなくなる」
「脳……。――さっきオネエにしていたのはなに!? 教えて!」
決勝戦で敗北した場合の罰則、くノ一チームの脳みその消去。その罰則と、龍司がオネエに仕掛けている耳穴責めとが、ナツキの中で結びつきそうになっていたのだ。
「まさか……」
「そう。脳みそを弄くりまわしてるんだよ」
「どういうことっ……? なんのためにっ……」
「孕ませるためだ。決勝戦で君たちを動物にしようとした理由もそれだ。どういった訳か脳が働きをやめたら身籠もるようなんだよ。思考力が消えるくらい犯されたエリナも孕んだからねぇ」
ドン引きするような言葉を次から次へと吐き出されて、吐き気を催してくる。
それも、吐きそうな台詞は止まることを知らない。終わりが見えないほどに。
「思考を消すだけでいいから身体に負担も掛からないみたいなんだよ。素晴らしいだろう?」
「いい加減臭い口閉じて。下手な愛撫もやめて」
ドン引きする台詞を吐きつつ、身体を弄くってくる樽男にナツキは言い捨てた。
過去に二度犯された時よりは、樽男の愛撫は巧みにはなっていた。
それでもオネエが堕ちるようなテクニックとは思えない。
溺れるリスクの無い愛撫ならば、いっそ受け入れて体力の回復時間に利用すべき。
……龍司との再戦を考えたなら尚のこと。
しかし、樽男の台詞は聞き流せないほどに我慢のならないもので、ナツキは黙っていられなかったのだ。
「そうかい? それなら愛撫はやめて本番に移ろうか。ねぇナツキさん」
そういう意味で愛撫をやめろと言ったわけでは無い。
しかし、手足が動かせない以上、膣で精液を搾り取って養分にしてしまったほうが、弄られつつ回復するより早い。
搾り取りつつ、龍司を倒す策を練ろう。
憎たらしい男の侵入を許すことを最善策と己に言い聞かせるナツキ。
その膣内へと、肉壁から盛りあがるように浮かび上がってきた樽男の剛直がヅヂュ……ヂュ……、と入り込んでくる。
「お、おぉおっ……。す、凄いねぇ……。前に犯したときとは、ぜんぜん違うねぇ。中が愛液で泥濘んでヌルヌルしてるのに、キツキツでピチピチのまんこだねぇ……」
――き、きもいっ……。
ジメジメした声で吐かれた台詞は気持ち悪いものの、久々に受け入れた樽男の肉棒はあまりにも力強かった。
どっくん、どっくん、と寿命を削って鳴らしているような鼓動を、膣壁全体に響かせてきたのだ。
そして最奥まで入り込んで来るなり、ズニュルルッ! ズニュルルッ! と背中に密着したまま性器だけが激しく出入りしてくる。
淫魔が行う、女を狂わすことに特化した刺激の強いところを狙ったピストンとはあまりにも違う。
自らの刺激を優先した、快楽を貪る為の素早いピストン。
良くも悪くも精を吐き出し、種を植えつけるための、人間のオスらしいピストン運動だった。
壁男と化しても、その貪欲なまでに快楽貪るピストンは変わりなかった。
しかし、ぴったり隙間なしに抱き付いたままピストンされるのは、何とも不可思議な感覚だった。何も無いところからいきなり肉棒が現れては消えるような、そんな経験の無い刺激を与えてくる。それでいて、壁肉に埋められた手足が、内部のスライムのような泥濘に揉みくちゃに捏ねられる。
樽男にしか出来ない立ちバックセックスは、快感が皆無な訳ではない。
むしろ、思っていたよりもずっと気持ちが良い。
それでも、ナツキには十分過ぎる余裕があった。
ズニュッ! ズニュッ! と繰り返される油送運動が、射精をゴールにしていると分かるがために生まれた余裕。
魅惑の術が思っている以上に深く掛かっていると知った余裕だった。
ズヂュウッ! ズヂュウッ! とペース配分無視して、樽男は全力疾走とばかりにピストン速度を上げてくる。
「はぁ、はぁ、た、たまらないねぇ、は、服部よりも良いかもしれないねぇ! はっ、はぁ!」
オネエ……。そうだった。遊んでいる余裕はない。
いつ龍司の矛先がナツキ自身に向くかは分からないのだ。
いつまで、樽男から養分を奪えるかは分からないのだ。
それにオネエの脳が壊されてしまったら、もう取り返しが付かない。
ギュギュッ……、射精を早めるために、ナツキはおへそのあたりに力を込めて締め付けを強める。
「んぅ、はぁ♥」
性器の絡み合いが強くなり、隙間なしの密着に膣壁が削られ甘い声が漏れた。
瞬間、肉棒がビクンッ、と跳ね、サイズを増す。
さらに性器同士が深く抱き合った。
密接に絡み合った中でンボッ、と膣内から丸々消えると、嫌でも喪失感を覚えさせられる。そこからグブッ、と入り込んでくると、充足感を覚えさせられる。
密着が強まれば強まった分だけ、喪失感と充足感が増していく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、すごい、ドロドロしてるのに、締め付けてきてっ、逝きそうだっ……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
樽男の吐息が細かく浅くなり、肉棒の痙攣もドクドクドクドク、激しくなる。
はぁはぁはぁはぁ――、耳孔に激しい息遣いを当てられて、ドクンドクンと密着しすぎた樽男の心音が身体全体を震わせてくる。
一体化したような密着感の中で与えられる快楽。
感化されて、ナツキも昂ぶっていた。
「はぁ♥ あっ、はぁ、あっ、はぁ、うっ♥ あっ♥ はぁんっ♥」
ピストンに合わせて小刻みな喘ぎが漏れると、同調するようにさらに肉先が熱を籠もらせた。
熱に膨張させられたような肉棒に快感が強まった。
「っあ♥ あ、あっ、あ、あ、んっ♥ あっ♥」
いつ逝ってもおかしくないくらいに、ビグンビグンと暴れてくる肉棒に、不本意ながらもナツキは興奮させられていた。
――もう少し、もう少しで逝かせられる。
中に……、出される…………♥
ドグンッ……。射精間際での射精の想像に、なぜか子宮がゾクンッ、と跳ねた。
悪寒に竦み上がるように脈打ち、そこから鈍痛伴う動悸が始まりナツキは戸惑う。
樽男に射精されることに、興奮しているの……?
なんで……?
子宮に放出される想像をしてから、狂おしい程の興奮に襲われた。
まるで子種を注ぎこまれることを子室が望んでいるような興奮に、恐怖を覚えた。
「あっ♥ なんでっ、う、あっ、あ! あっ、うっ!?」
危機感を覚えたナツキは、無意識に逃げるように壁樽男から腰を浮かした。
「おや? まだそんなこと出来るくらい力が残っていたのかな?」
離れたのも束の間。壁から生え出てきた腕が、ナツキの腰を逃がさぬようにがっちりと掴んでズヂュンッ!!
「ンォヒッ!!?」
引き寄せながらの打ち据えピストンに、喘ぎを鳴かされた。
零距離ピストンしか受けていなかった身体が、身体全てを使ったピストンを待ち望んでいたのだ。
「龍司から嵌め倒されたのに、一度も精子をもらえなかったんだ。欲しくなるのも当然だろう? ナツキさん」
「……なッ……」
こ、こうなることを……、知って……、いたのっ……。
身体を苛む飢餓状態は、絶頂よりも子種に飢えている反応ではあった。
樽男から言われるまで気付かなかったが、言葉にされてはっきりと自覚した。
だからとて、いまさら対抗できる手立ては何も無かった。
射精の想像に喜び、たった一度の打ち据えピストンにさえ喜ばされた。
精液を出される想像に、身体全体が期待に打ち震えている。
期待への震えは、膣内射精から逃れる方法を思いついたとしても実行してくれないと、優に物語っていた。
勝てない……。
ナツキの身体から戦意が抜け落ちると、身体から力も抜け落ちた。壁により掛かる人形のように。
にもかかわらず、男を射精させるための膣の力だけは媚びるように強くなる。
バヂュンバヂュンバヂュンバヂュンバヂュンッ!
「っあ! あっ、あ♥ あぁっ! あぅ、うあ゛! んあっ!?」
堕とせることを確信したような、ラストスパートを掛けてのピストンだった。
快楽を貪るためのピストンよりも、大量の子種を注ぐためのピストンに、ナツキはいつ逝ってもおかしくない激感に襲われていた。
今のナツキにとって生殖のためのピストン運動は、最高の快楽をもたらした。
「ア゛っ、あ! だ、だめっ、い、逝っちゃうっ、ま、まだ、っだされてもないのにっ、出されて無いのにッ、あ、あ゛っい、いいぐっ、い゛っいぐぅうううううっ!? ンォヒィイイイイイッ!?」
高速ピストンによって、目玉が上転して白目を剥いてしまうほどの強烈な絶頂の中、とどめとばかりの射精が始まった。
ドビュルドブドブユッ、ドブビュルルルッ!
「ひゃめっ! らしゃないれっ! しぇいしやめてぇえええっ!! ひゃぁう! アァアアああああっ!!」
ビュルッ、と吐き出される度に、子宮がゴクンゴクンと精液を飲み込もうとうねって、樽男のおちんぽにおまんこが絡み付く。
肉棒に付着した精液まで余すところなく欲しがった膣肉が、グニュリグニュリと捩れ、肉肌を舐め回すように絡み付く。カリのくびれに隠れた精液まで逃し無しに。
「んぁああ…………あっ、あふぁあ……あぁ……」
びゅ……、びゅ……びゅぐ………………。
射精が終わるも尿道内にある精子を搾り取ろうとしてギュッ、ギュッ、と絞り付ける。
尿道内の精子を欲して生まれた残滓を吸い上げる摩擦によって、ナツキは精液を飲んだ直後だというのに疼いて仕方がなかった。
ほ、ほしいっ……。…………精子……。もっと……。
子宮の疼きを初めて知った。膣やクリトリスとは比較にならない、生殖本能からの疼きにナツキは苛まれていた。
ゴロンッ……。
まるで心の中を覗き込まれているように、ナツキは壁拘束から解放されて、重力に従って地べたに転がった。
「あ…………ぅ、あ……あ……ぅ……」
背後にいた樽男に振り向くと、樽男は余裕たっぷりにくつろいでいた。
大の字に寝そべっての無防備な体勢で。
「はぁ……はぁ…………はぁ……」
「ナツキさん。まだ精子が欲しいんだろう? 欲しくてたまらないんだろう?」
身体の中で唯一天を指している肉棒。
溶かしたチーズに塗れたような、固形混じりの精液に塗れた肉棒。
「はぁ……はぁ…………はぁ……、はぁ……」
戦わないとならない。
逝かせないとならない。
セックスしないとならない。
ナツキが自己弁護するための言い訳はいくらでもあった。
なのに、ナツキは樽男によじ登っておちんちんを丸飲みし、あろうことか腰を振りながら言い訳吐かずに本心を叫ぶ。
「せ、精子ちょうらいっ、あっあ♥ 精子子宮にくらさいっ! あっ、あっ、あ♥ あんっ♥」
ナツキは精子を求めて、精子を注いでもらうための騎乗位を、樽男の腰の上で繰り返してくのであった。
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