【R-18】『対魔のくノ一・ナツキ』~人間、忍者、魔物から犯され、セックス依存になるまで堕ちる少女~

文々奈

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第3章 淫武御前トーナメントの章

46話 葉月

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 46話 葉月

『準々決勝、風魔忍軍チームVS魔化粧チーム! またもや大波乱が起きてしまいました!!』

 コート上に転がる淫魔3人を見下ろしつつ、葉月は開けた白無垢を整える。
 仮にも準々決勝まで勝ち進んだ淫魔3人を相手に、葉月は1人コートに上がり倒して退けたのだ。
 受けたダメージを溜めこみ、それを纏めて跳ね返す。
 予選ブロックから準々決勝まで、この【反鏡の術】一辺倒で勝ち上がってきた。
 術の正体も知られ、対戦相手も対策を練ってはいる。
 だがそれでも、淫魔達は突破口を見出すに至っていなかった。

「まだ戦うんですの?」

「あ、あたりぃ、ま、えだあっ」

 魔化粧チームの1人が、今にも燃え尽きそうな命から精根を振り絞るように立ち上がった。しかし、立ち上がったからといって何か出来るわけでもない。
 葉月との力の差は明らかだった。
 だからと言って、華々しく散る武士道精神があるわけでもなかった。
 ふらふらになりながらも立ち上がる理由は一つ。

「ど、どうせ、全員、罰ゲームでっ…………し、死刑にするんだろ、う……」

 決勝トーナメント1回戦から今の今まで、葉月は対戦相手の命を絶ってきた。
 逃すことなく、罰ゲームを用いて公開処刑を行ってきたのだ。
 翔子と違って抜かりなく。
 ――降参する。
 その選択肢は、男には用意されていなかったのだ。
 
「えぇ、もちろん死刑ですわ」

 そう答え終えたときには葉月は男の眼前に立っており、生命力を感じさせない死神のような指先で男の唇を撫でた。

「あ、あが、あが、が、……が、あ……」

「吸精鬼に力を吸われると、こんな気分になるんですのよ? ウフフフフッ……」

 細く、それでいて長い指先が、口端から口端をすー……っ、すー……っ、と行き来する。滑るにつれて、男の肌から血の気が失せていった。

「お、おぇ……お、おぇ……め、め、まいがあ、うぁ……あぁ……」
 
 葉月が元々持ち合わせる吸精の力なのか……。
 はたまた葉月が過去に体験した吸精の追体験なのか……。
 それは葉月にしか分からない。
 指撫でが五回往復し終える前に、――ガクンッ。
 男は膝頭をコートに落下させて精根尽き果てるのであった。

『風魔、忍軍チームしょ、勝利です!!!』

 ざわざわ……ざわざわ……がやがやがやがや……。
 まるで胸騒ぎを声にしたようなどよめきが館内に木霊する。それもその筈、観客は淫魔との共存を選んだ人間ばかりなのだ。
 善戦、一時の勝利に拍手を送ったりはする。しかし、葉月のように罰ゲームで淫魔を見せしめに殺す女を心から応援する者など、この場には1人もいないのだ。

 ギャッ!? ギャビッ! ギャ!! 

 怨念のような観客のどよめきと、敗北者を肉片へと変える加工作業を背中にして、葉月は味方陣営と合流する。

「相変わらずに容赦ないのー」
 
「奴らに容赦なんていりませんわ。――コタロー様。ナツキ達との席を用意してあります。――決着が近いですわね」

 試合を傍観していたナツキの祖父であり、自身の父にあたるコタローに葉月は言った。

「長い戦いだったのぉ」

「……えぇ。半年くらいですか」

 *****
 
「ほんとうに風魔のくノ一は名器揃いだっ、はぁ、はぁ! はぁあ!」

 今より半年ほど前のこと。
 くノ一・葉月の幻術に堕ちた政治家・金田樽男は、丸めた掛け布団を葉月だと思い込んで腰を振るっていた。
 その背後に立って、葉月が問い掛ける。

「はっあっ、あっ、い、伊賀の、子たちもっ、こうやって堕としたんですのっ?」

 目元は冷めているも、口元だけを演技のために緩ませて、切羽詰まった声で聞く。

「そうだ!!」

「どこに連れてっ、いっ、たんですのっ? 私もそこで飼われるんですのおおっ」

「そうだっ!!」

 樽男に取り入って情報を得た葉月は、単独で茂にまで辿り着くのであった。
 伊賀の頭領・翔子と共同戦線を張っていた葉月の潜入の鮮やかさは、樽男から情報を盗みきれなかった翔子以上に敏腕だった。

 樽男から、茂の情報を得てからは圧巻だった。もともと面識があったのを良いことに茂を籠絡して、淫魔化した経緯を入手したのだ。
 葉月達が淫魔の全容を明らかにするまで、そこまで時間は要しなかった。

「……マモンと呼ばれている淫魔が、人間が淫魔になるきっかけ、と言うことになりますわね。――コタロー様。念のため、茂からも淫魔絡みの情報を第三者に渡した記憶を消しておいてください」

「これで長年追っていた、人間が淫魔になるメカニズムに辿りつけそうじゃなぁ……」

 ナツキの祖父コタローは、興奮に震えた声で言いながら、茂から奪った淫魔の種を呪術で守られた巾着袋に入れた。
 しかし、マモンに辿り着いた頃には、コタローの興奮は焦りへと変わっていた。

 見せしめのための淫武御前トーナメント? 淫魔を生ませる男?
 規模がでかすぎる。
 調べれば調べるほどに、なぜ今まで誰1人として気付けなかった? 
 そう思ってしまうほどにこの国が侵食されていた。

「もう一度翔子に援護をお願いしますわ」

「……今翔子を巻き込んだら、ナツキまで来るぞ。こんな恐ろしい大会になぁ……」

「……ええ」
 
「葉月。お主は、ナツキを巻き込まないように人の倍以上も任務をこなしてきたんじゃろう? 約束破って片足突っ込ませたわしが言えた義理じゃないが……。――全て水の泡じゃぞ?」

「魔と触れずに普通の女の子として幸せに生きて欲しい。この考えは未だに変わりませんわ」

「……じゃあなぜ」
 
「綺麗事を言っていられないからですわ。――普通の女の子として生きて欲しいと願ったら、あの子は長生きさえ出来ない」

 ――淫魔の蔓延る世の中では生きることさえ出来ない。それなら私と同じくノ一で構わないから、私より長く生きて欲しい。


 準決勝にコマを進めた葉月が、昔を思い出しながらこれまでのいきさつを話していた。

「……それでマモンをそそのかして私達を大会に呼んだわけ? ――淫魔と決着を付けるために」

「……ええ。そうよ」

 ナツキの問いに、葉月は重々しく返した。
 
「淫魔を倒す目的は一緒。だからそれは百歩譲って飲み込むとして……。なんでいまさら現れて、親ぶった話をするの? どういうつもり」

 いつもと変わらない淡々とした口調で聞いたナツキであったが、怒気が強まっていくのを隠しきれないほど声の節々に力が籠もっていた。

 ナツキからすれば、死んだと聞かされていたお母さんが突然現れた。
『お母さんは死んだ』と言い続けてきたおじいちゃんは、そんな嘘を吐いた記憶さえないと言わんばかりの面持ちで、腰に巻いていたひょうたんに口付けてお酒を飲んでいる。

「――決勝戦での協力を扇ぐために、全てを話しておこうと思いました」

「目的のために、利用したい……ってこと。それが今まで一度も顔を合わせなかったのに突然目の前に現れて、全てを洗いざらい話した理由。――死んでたことをなかったことにしても良い理由なの? それが……」

 ――お母さんは黙ったままだった。いつもなら茶化してきそうなエリナも、そしてオネエもだんまりしていた。

 大人の事情と呼ばれるやつなのも分かるし、おかあさんも、そしておじいちゃんも腐ってこんなことをしたわけじゃないのも分かる。
 ぐぅ……ぐぅ……、と舌が気道に嵌まったようないびきをかき始めたおじいちゃんは、腐っているのかどうかちょっと分からないところがあるけれど……。

 だからといって、簡単に水に流したり、簡単に良いよとは言えなかった。
 別に良いよって言ったら、お母さんが生きていても、死んでいても別に良いよ、って言っているのと同じだから。
 お母さんも、おじいちゃんも水に流していいような存在ではない。
 だからこっちも言葉に困る。
 そのせいで凄く苦手な沈黙が長くなってしまった。おじいちゃんのヒュクッ、ヒュクッ、と寝ながら繰り返しているしゃっくりがなかったら耐えられなかっただろう。

「決勝戦で協力して欲しいって、――不正でもするの?」

 意を決してナツキは切り出した。

「いいえ、決勝リーグはサバイバルマッチになりますわ」

「サバイバルマッチ?」

「えぇ。四チームが入り乱れて戦いますの。そして、決勝戦にコマを進めるのは、私達風魔忍軍チームとあなた達かぜチーム。そして、補欠としてマモンが加入した金田樽男チームに、主催者擁するVIPチーム。この4チームが入り乱れて戦うことになります――」
 
 ……金田……樽男チーム?

「淫魔2チームは恐らく協力してあたってくるでしょう。そこで私達は――……」

 何でいきなりサバイバルマッチなのか気になったがそのあと出てきたパワーワードだ。
 金田樽男チーム? 
 インパクトが強過ぎて、葉月の話が全然耳に入ってこないくらいに頭の中でその名前がグルグル巡った。
 助けを求めてきた金田樽男? が敵? は?
 くよくよなよなよしていた悩みを忘れてしまうほどのインパクトだった。

「金田樽男って、あの金田樽男?」

「えぇ。……そうですわ。どうかしたんですの?」
 
「――なんでちゃっかり金田樽男が出場しているの? 大体マモンって、マモンチームのオーナーだよね? 一度負けた奴だよね? それってありなの? また不正?」

「ナツキちゃん、なぜか今回に限ってあいつら正規の手続き踏んでいるのよねぇ。……逆に気色が悪いくらいよ」

「助けを求めてきた樽男がちゃっかり大会に出場していて、淫魔と組んでいるほうが気色が悪いんだけど」
 
「気色が悪くても樽男チームは順当にトーナメントを勝ち進んでいたのよ。マモンの加入も、負傷死亡による欠員を提出してメンバーに加えている。正式な手続きでね」

 何か企んでいるのだろう。
 それにしても金田樽男。面の皮が緩々なだけではなく、何て分厚いんだ。
 泣きついてきておいて寝返り?
 いいや、樽男は土下座したばかりのエリナの目の前で、「頭を下げて損をした」と言ってしまうような男だ。

「サバイバルマッチなのは分かったんだけど、協力する必要ある? 樽男には誰も負けないと思うし、マモンにもエリナが快勝している」

 恐るるに足らず、そう思って素朴に聞いたところでピッ――! オネエが控え室にあるモニターの電源を入れた。
 すると、今終えたばかりであろう準々決勝の中継が映し出された。

『ええ。わたしは過去に彼女たちに散々利用されて、煮え湯を飲まされ続けてきました。それがこのような形でお返しできるなんて思ってもみませんでした。――決勝戦では会場のみなさんの声援に応えられるように努力します! これからは淫魔として身を粉にして働きます!』
 
『――樽男選手のヒーローインタビューでした!』
 
 この世界が淫魔一色になったとしても、人間一色になったとしても、生物が絶滅したとしても生き延び続けるであろうゴキブリ男がガッツポーズをしていた。
 オネエはこんなものを見せたかったのだろうか? それを聞こうとしたところで、会場の空気が変わった。

 大会主催者で白スーツに金髪の男。
 毎度毎度現れる度に会場を静寂で覆い隠す男が映し出された。
 主催にもかかわらず、この男も選手登録していたのか。並々ならぬ実力者なのは分かっていたが、運営と選手がズブズブなのがまる見えだ。

 ――なるほどね。
 樽男チームは置いて置くとして、VIPチームは協力してでも倒してしまったほうがいい。必勝を期すための協力、か。
 そう思っていたナツキであったが、続いて武舞台に上がった男を見て協力の必然性を知らされる。

「ナツキちゃん。主催の後ろにいる男を見て」

 オネエが指を差す前から、ナツキの視線は既にそこにあった。
 麦わら帽子にアロハシャツに短パン、といったふざけた格好をした男。
 ふざけ過ぎていて、明らかに場違いだった。
 
 ただ、ふざけた格好をしていても、腐った人間性を隠し切れていない。人間を熟して腐らせたような臭さが漂ってくる。
 ――人間以上に人間くさい。
 それらをカモフラージュするための格好なのかも知れないが、体臭が滲んで、身体を囲うように蜃気楼の帯が見えている。

「龍司。あたしの兄、そして淫魔達の生みの親。ナツキちゃん、感想は?」

「……さっきと意見を180度変えるのは悔しいけど、……協力して戦うべきだと思う」

 モニター越しに目が合った男・龍司に身体を芯から震わされてしまい、ナツキは喉から声を押し出すように言ったのだった。
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