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第1章 始まりの章

4話 精密検査♥(オネエ忍者からホールドキスをされ、無理やり絶頂させられる)

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 ドラッグをやっていたとしか思えないエリナに疑われたあげく、タイプでもない男を寝取ったかのような目で見られて、ナツキはついつい検査を受諾してしまった。


 ――それからかれこれ3時間。
 校医の先生に連れられて来たのは、無菌を強く思わせる近未来的な施設。
 そこで大げさな検査が行われたのだ。
 夜通しオナニーしてしまうくらいの発情っぷりだったこともあって、ナツキ自身絶対に引っ掛かるだろうと思っていた。
 だが、意外にも毛髪からは規定量を超えたMARSが検出されなかった。


 ただ、毛包。
 つまり髪の毛の根元から、信じられないくらいに強い薬が検出されてしまった。
 それでも常用していないことが証明出来て、晴れて自由の身ではあった。


 検査を終え、薬害を気にした校医から、タオルで身体を拭いてもらっている最中のことだった。


「よく色狂いにならないでいられたわね。感情を見せない子だとは思っていたけど……。MARSって、史上最凶最悪のセックスドラッグ、な~んて呼ばれかたしてるのよ? 処女でもヤリマンになるってね」


「そうですね」


 もともと淫乱の気があるのか不安になるほど、手淫に没頭してしまったのだ。
 それゆえ発情してしまった訳を聞いて安心した。


 MARS。ここら一帯で流行っている薬物の名前だ。
 流行っていると噂で耳にはしていたが、しかし想像以上の威力だ。
 オナニー狂いになるドラッグなんてありえない。少なくともくノ一の修練を終えた以上、ドラッグなんかで狂いはしない、そうナツキは高を括っていた。


 しかし、これはくノ一としての修練を受けていなかったら、オナニー狂いになっても不思議ではない。中毒になっても仕方がない。
 考えを改めさせられるほどにMARSは強い催淫性をもっていた。


「検査も終わって、一応の潔白は証明されたんでそろそろ帰っても良いですか?」


 一通り拭き終えた頃合いを見計らって、ナツキは横たえていた身体を起こしつつ尋ねた。検査を受けた方が早いと思って受けたは良いが、やらないとならないことがそっちのけになっている。
 侮れない薬効と身をもって知ったが、それでも学生が作ったMARSなんてセックスドラッグはっきり言って専門外だ。


「だめよぉ……。さっきも言ったけど、まだ地肌から催淫性の強い汗が漏れている状況なの。とっても危険よぉ」


「それは分かるんですけど、一日過ごせたから大丈夫です」


 ここにいる方がよっぽど危険な気がする。
 先生の目がうっとりしたものになっていて、悪寒がした。


 ――MARSを吸って作られた代謝物が、おそらく私の汗に混じって漏れている。
 それをずっと吸い続けているせいか、先生の目がすごく遠くなっていた。


「だめよぉ。急性薬物中毒なのよぉ。ねぇ?」


 ち、近いっ……。


 蒸しタオルで湿らされたままの敏感になっている肌に、ねっとりとした吐息を当てられて背筋がざわついた。湿った肌に鳥肌が浮かび上がった。


「あの、ほんとに大丈夫です」


 おじいちゃんはどこに行ったか分からないまま、オネエ忍者だって見つけられていない。こんなことをしている場合じゃない。
 先生には悪いけど、検査をスルー出来た以上ここにいる必要性は皆無だ。
 それに最悪レズに発展しかねない、そんな嫌な予感からナツキは女医を背中に立ち上がった。


「え……」


 くらっ、と視界が傾いた。
 ゆっくり、ゆっくりと視界が傾き続けて、グルン、と目の前がひっくり返った。


「あ、れ……」


「ほら、言ったでしょ。……急性薬物中毒だって」


 唇が触れかねない距離で囁かれた。それだけで、心臓のリズムが乱される。
 昨日の夜ピークを迎えたと思っていた発情が、抱え上げられたときにはドクン、ドクン、と跳ねてベッドに寝かしつけられたときにはさらに酷く乱れた。
 忍びの修練を終えていても耐え難かった疼きが、蘇ってしまったようにだ。


「ナツキさんいいかしらぁ? 薬が抜けるまでのあいだ、しっかり先生の言うこと聞くのよぉ?」


 なんでだろう。この問いに答えるのはすごく危険な気がする。
 返事をしないまま、手の平でベッドを押し返すように力を込めて、どうにかこうにか起き上がる。


「うっ……」


 座ったまではいいものの、くらん……くらん……と視界が傾き、それをどうにかしようと傾いたほうへと顔も傾ける。
 まず、ぃ……。
 絶対に立てないと知らしめられるくらいに視界が湾曲した。
 片手で額を支えて、なんとかバランスをとる。
 そんな中で、また囁かれた。


「先生の言ったとおりでしょ? 立つことも出来ない。先生の言うことを聞いて」


「あ、はぁ、はぁ……、うっ……」


「言うことを聞いて」


 しつこい……。しかしどのみちこのふらついた足じゃ、ここから帰れない。
 しかたないっ……。


「……は、……いっ」


 カチャリッ、と首輪でも付けられたような音が鳴って、不自由さを覚えた。
 ……忍……術? 
 いや、MARSのせい、か……。


                  ※


 横になってから少し経ち、さっきよりは身体が楽になっていた。
 頭の隣に置かれたプラスチックの洗面器。
 そのなかで、ぴちゃ……、ぴちゃ……、とタオルが泳がされていた。


 ぼーっと眺めていると、ぬるま湯を滴らせたままのタオルを足首に乗せられた。


「ちょ、……っ、と、せんせいっ……、全然絞れて、な、いっ……」


 男のようなギラつく目で見下ろしてきて、返事もくれずに膝へと滑らせてくる。
 聞こえていないではなく、そもそも声が出せていないんじゃないか。
 そう思ってしまうくらいに返事をもらえる様子さえなく、そのまま濡れタオルが丈の短いスカートの中まで入りこんでくる。


「あのっ、べちゃべちゃにっ……」


 当然のことながら、紺色のプリーツスカートまで水浸しになっていた。
 一回り色が濃くなったスカートをそのままに、太ももの生え際まで滑ってくる。


 これ、結構まずいっ……。


 思ったところでタオルがスカートから抜け出ていったものの、それでもショーツはぬるま湯に濡らされてしまった。


「せ、せんせいっ……、べちょべちょです……」


 そのことを注意すると、ギュッ、と洗面器の上でタオルを絞ってもらえた。
 タオルがもう片方の足へと移ったときには、ヌメヌメとした感触から解放されていた。それなのに太ももの際まで進んでくると、ゾクゾク、と鳥肌が迫ってくるような刺激を覚えてしまう。


「ふぅ、っ……、ぁれっ……、なん、でっ…………、あ、洗面、器っ……」


 MARSが染み込んだ濡れタオルの絞り汁、それが顔のすぐ近くにあるせいか、身体が少し敏感になってしまっていた。
 重たい腕を伸ばしてズズッ……、と洗面器を押し退ける。


 だからといって多量に吸い込んだMARSによる発情は、全然治まりそうにない。横になって楽になったのは気怠さだけで、熱感はさらに酷いものへとなっていた。


「だめよぉ……。ちゃんと言うこと聞かなきゃ……」


 言いながら、伸ばした手首をキュッと軽く握られて、そのままワキへと滑り込まれるとゾクゾクッ、と鳥肌が迫ってきて、そのまま乳房の表面を這い回られる。


「っう、……あ、…………あ、はぁ、……あ、……はぁ、…………あはぁあ」


 乳輪の回りを舐められているような、もぞ痒い刺激がへばり付いてくる。
 甘えるような声が漏れてしまいそうで、口を大きめに開いたまま舌を出し、どうにか喘ぎ声を押し止めた。


「っ、はぁ、……ん、はぁ、ん、はぁ……んむっ? ……っふ……ふぇえっ!?」


 軽く突き出していた舌に、舌を巻きつけられて愕然とさせられる。


(え? う、うそっ……。き、キス、されてるっ……!?)


 わずかな混乱の後、ナツキは黒目が点になるくらいに見開いた。驚く間もなく、味覚が狂ってしまうくらいに甘い唾液を絡められて唾液の分泌が加速する。
 痺れるような甘さに、ついつい流されてしまいそうになる。


 ねちゅ……、ねちゅ……、ねちゅ……、と極度の甘さに舌が麻痺していく。
 舌のザラザラを、舌裏の柔らかさに絡められて溶かされそうになる。
 口の中に収まりきらない量の唾液が流れ込んできて、溺れそうになっていた。


「あ、あはぁ、んっ、んちゅ、あ、はぁああ、あっ……んっ……」


 や、ばいっ……。……と、溶けて、流され、て、溺れそうっ……。お、お、お、おとこ、ほ、ほしくっ、な、るっ……、まって、ん、はぁ、あ、、、えっ。


 ここで異変に気付いた。


 こ、これっ……MARSっ……うんぅううっ!!?


 甘さの中に隠しきれない男の臭いが広がった。
 昨日知ったMARSの臭いだった。
 昨日狂わされたMARSの味だ。


 ――ど、どういう、ことっ、――こっ、こ、こいつっ!


 目を見開いて、視界全てを樽男の秘書に塞がれていると知った。
 目縁をへの字に歪めたオネエ忍者の顔を見るが早いか、肩を掴んで引き剥がす。


「んぅぶっん、ンもぁアアッ!?」


 しかし正体が発覚したことで、容赦がなくなったオネエの舌がヌボオッ! と口の中を埋め尽くしてきた。んぐっ! ぐ、ぐるし、い、ん、うぅう゛!? 


 グブッ、と餌付くくらいに入りこんできた舌に、目の前を掠れさせられてしまう。
 遠のく意識、その間に、ツポッ……ツポッ……と唾液なのかMARSなのか分からないものが流れこんでくる。


「んぅ、く、んっこ、ふ、……んっ、う゛」


 飲み込む度に力が……、抜けて……。
 ま、ずっ……いっぃ゛……。


 2度喉を鳴らして、置かれている危機的状況を思い出す。
 嚥下の度に、ごっそり抵抗する力が削がれていると気付く。


 い、今どうにかしないとっ、んぐぅうんぽはぁあああっ!?


 抵抗が出来る内に抵抗しないと取り返しの付かないことになる。
 それを分かって暴れるも、アメフト選手がボールでも抱えこむように頭をがっちりホールドされての激しいキスに圧倒されてしまう。


 ――じゅぽっじゅぽっじゅぽっじゅぽっ!


 ま、まずいっ、こっ、こっ、このままだとっ……。き、きすで、きすなんかでい、逝かされるっ……。ほ、ほんとにっ、い、逝かされ、るっ……。


 どうにかしたくてもどうにもならないところにまで来ていた。
 逝くのを堪えられないところにまで来ていた。


 キスの抵抗さえも、ほとんど出来なくなっていた。
 への字に歪んだ笑みのオネエの顔を睨みつけることしか出来ない。
 その睨みつけた瞳からも、いつ零れておかしくないほど涙が溜まっていく。


 く、くそっ……。こ、これ以上は……。


 絶頂が見え始めて、弱音が漏れた。
 もう抵抗なんて出来ない。被害を少しでも減らすことしか出来ない。
 逝く瞬間の弱々しく男に媚びる女の目を見せない。
 そんな消却的な対処しか生み出せない。


 っんじゅんっ、う゛ンッ、う゛じゅ!? ンジュ、ジュプオッ!


 細めて睨みつけていた目を、悔しさ惜しみつつゆっくり重ねていく。
 逝かされる顔を隠す以外の抵抗が、何一つと思い浮かばなかった。
 抵抗する力がなくなると、さらにディープキスがエスカレートしていった。


 ンジュポジュポッ、……ンチュボッ、チュプォ、ンチュ゛ジュプッ――、
 口の中から唾液を掻き出すような荒々しいキスに、も、もう――。
 もう限界っ、い、いくっ……。い、いくっ、う、う、うっ……。


「んぶぅうううっ!? ぐ、ん、んぅ、んぅ!? ングゥウウウウ!?」


 細い喉が折れそうなくらいに反り返って、絶頂を迎えてしまっていた。


「んはぁんっ!? んぶ、あ、あぱぁっ、あ、んぅううっ!?」


 逝ったばかりの口の中で、千切られたミミズのようにオネエの舌が暴れ狂った。
 だ、めっ、、、ま、またっ、またいくっう、ん、う、あぁああっ!?


 ジュボッジュボ、ジュボッ、ジュボォオッ!
 ま、またっ、またいくぅう、またい、いンブゥウウ!?


 ジュボジュボジュボジュボ――、掻き毟るように口の中を責めたてられての絶頂を、幾度となく強制されてしまった。


 意識が定まってきたときには、トプッ……、トプッ……、と射精の余韻を楽しむ肉棒のような舌が、ねっとりと口の中で蠢いていた。


「っうぷ、は、はぁ……、あ、はぁ……、っ、はぁ……、はぁ……ぅ……」


 舌をねっとり抜いていって、唾液の糸をそのままにしているオネエを、ナツキはすぐには睨めなかった。


「うふふ。おいしかったわナツキちゃん。じゃ、続けましょうか……」


 口惜しさを隠さずに睨みはした。
 しかし、身体は不覚にも、これから待ち受けるであろう恥辱の想像に、さらに熱く火照らされてしまっていた。

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