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助左よ、元気出さんかい⁈
しおりを挟む半月後。
生駒屋敷の敷地内で天海の手下らが博打をしている。その横で助左衛門と娘が馬を洗っていた。相変わらず首に縄がくくられている助左衛門は、隙あれば娘をチラチラと見る。
可愛いな♡……。うふふん。
い、いやいや、そないなこと考えたら不謹慎や。……せやけど娘はん、悲しげな目やな。戦に巻き込まれ乱捕りされたんや、無理もない。彼女も一生奴隷なんやろか?
娘を見つめる助左衛門に罵声が飛んだ。
「コラッ、ボク!! 娘のケツばっか見てねぇで、しっかり洗わんかい!!」
源六が助左衛門をからかう。40歳は超えたであろう彼は、片目に傷がある天海一味の若頭である。
「い、いやワイ、見てまへん!!」
助左衛門は真っ赤になっている。
「わはははは、若頭よ、奴隷だって発情はするさ。許したれ!」
──は、発情て⁈
「じゃがこの娘は、いずれ天海様の御手つきになるんじゃろ」
──お、お手つきて⁈
助左衛門は嫌がる娘に天海がスケベな行為をすることを想像し「わーっ」と叫ぶ気持ちを抑え頭を抱えた。
源六がニャっと笑う。
「まぁボク、元気を出せ! 近いうち俺らは、奴隷狩りに出掛ける。おもろいもん見せてやろう!」
ふん! 奴隷狩りのどこがおもろいんや!
「あー早よう、戦が起きんかのーっ。奴隷が恋しいにゃ~ん!」
何が「にゃ~ん」じゃ! クソボケカスがぁ! こいつらイカれとるわ!
助左衛門は苛立ちながら馬をゴシゴシと洗い、心の中で手下どもを殴り倒していた。そして手下をやっつけた風の気持ちとなって落ち着いたのか、娘をまたチラ見する。
ねぇ、娘はん。ひどい連中やねぇ。
ヒューっと風が吹いた。
それにしても、娘はん。
ええ匂いがするにゃん。
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