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助左よ、戦の予感やなぁ⁈
しおりを挟むバーン!!
と、轟音が敷地内へ鳴り響く。筋肉隆々の大男が鉄砲を撃った感触に酔いしれていた。男は26歳。髭を蓄え迫力のある面構えで、身なりは良く烏帽子を被っている。
屋敷の縁側に立つ雲球はニコニコしていた。
「いかがじゃ、小六……」
「悪くねぇな、兄ィ」
「天海さま、この者は私の縁者で蜂須賀小六と申してな、種子島の名手なんですわ」
「ほう……」
小六は続けて撃つ。弾は皿の的へと命中した。
「この種子島、是非ともこの雲球にお譲りくださいませ」
「雲球殿の主人は、種子島がお好きか?」
「私どもは代々、織田信清さま(犬山城主)にお仕えしておりますが、あまり興味を持っておられませぬ。……しかし那古野の上総介(信長)さまは、とてもお好きでございます」
「上総介……?」
「亡き、信秀さまのお跡を継がれた御方です」
天海の目が光る。
「信秀殿は、尾張にその名を轟かした武将であったと聞く。……して、倅はいかがじゃ?」
雲球は少し迷う。「うつけ」を装うのは信長の戦略だ。部外者にうっかり喋る訳にはいかない。
「さぁ、継がれたばかりで……今の所はなんとも……ただ鉄砲には執着されているようで……」
「マロは根来の鉄砲鍛冶に顔が効く。もっと沢山の種子島を用意しても良い。まあ倅のうつわ次第じゃがのう」
小六が口を挟む。
「近々、戦がある。その時、自分の目で確かめるがよかろう!」
「こ、これ小六!」
「ふふん。……そうか、戦があるのか……そりゃ楽しみじゃ」
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