奴隷少年♡助左衛門

鼻血の親分

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助左よ、あいつぅの登場やで⁈

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 しかしその浪人たちは信長を襲う賊らに斬りかかった。
「味方か!!」
 形勢が逆転した。浪人と合わせば賊とほぼ同等の人数である。さらに浪人の党首らしき男は身軽で忍者のように飛び跳ね、次々と斬り倒していく。
 やがて賊たちが敗走する。党首がその1人を捕らえ、信長へ突き出した。

「……誰に雇われた?」
 男は答えない。党首が浪人の指を切り落とす。
「ウギャーーーーッ!!」
 のたうちまわる浪人は観念した。
「わ、わかった……言う……言うから」
「誰だ?」
「き、清洲の坂井大善様の御指図……」
 信長は無言。それを見て党首が男の首をねる。男は絶命した。

 浪人たちが笠を外し、信長に対して片膝をつき頭を垂れる。
「主らは、生駒の浪人か?」
「違いまする。悪党(傭兵)でござる」
「悪党か、うむ、面を上げよ」
 党首が顔を上げた。色黒で眼球が若干左右に離れ不気味な風貌である。
「……若いな。で、誰に仕えておる?」
「目下、失業中。なれど近々、清洲へ乱入する所存でござる」
「清洲との戦が始まると、申すか?」
「坂井大善なる男、織田伊賀守(松葉城主)と通じ深田へ乱入する動き、これあり!!」
 信長の顔色が変わった。
 近習が大きな声を上げる。
「まことか⁈ 伊賀守様が裏切ると申すか⁈ 」
「御意!!」
「と、殿!!」

 信長がサッと馬に乗る。
「もし本当ならお主らを雇ってやる。名を申せ」
「藤吉郎と申す」
 信長は軽くうなずき、馬を走らせ去っていく。

 その姿を藤吉郎は、不気味な笑みを浮かべながら見つめていた。

──あれが、上総介信長か。

 ◎ 藤吉郎 
 後の関白『豊臣秀吉』はこの時、弱冠16歳。歴史の表舞台にはまだ立っていない。

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