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助左よ、食われたんか⁈
しおりを挟む天海一行(約20人)が山道を進んでいく。
助左衛門は首に縄がくくられ、天海の馬の口を取っていた。そして隙あれば馬上の娘をチラチラと見る。
か、可愛いな♡……。
お、お友だちになりたい。何か話がしたい……。いやいや、今そないなこと考えてる場合やないで。ワイはこの先、一体どないなんねん……。
天海は酒を飲みながら、後ろから娘の身体を撫で回している。
──クソッ! このスケベじじィが!!
天海のいやらしい手つきに娘が嫌がり、もじもじとする仕草をみせた。
助左衛門は目をそらしながらつぶやく。
「や、やめとけや」
「んん? ボク、なんか言うたか?」
「い、いやその……や、やめた方がええんちゃいますか……ほら娘はんも、嫌がってはるしィ……人前で、そないなこと」
「そないなことって?」
天海が胸元に手を入れる。
「コラァー! 乳さわんなーっ!!」
「ふふふ! うらやましいんか?」
「なっ! そ、そ、そんなんちゃうわー!!」
助左衛門は恥ずかしさのあまり真っ赤になって走り出す。しかし縄に引っ張られてコケる。粗末なムシロがはだけてフルチンになった。
「かーっはっはっはっはっ」
「さ、最悪や……かっこ悪いやん」
「ところでボクよ……お前の仲間はその後どうなると思う?」
助左衛門は不機嫌そうにムシロを直す。
「……売れ残れば、ポルトガル船に積まれて、どっかに売り飛ばされるんやないスかね」
「ほ~う……よく知ってるな」
──さらば、作次郎よ……お前にはよくいじめられたな。
助左衛門は作次郎に意味なく叩かれたこと、寝てる間に顔に落書きされたこと、店先で娘たちの前でフルチンにされたことを思い浮かべた。
「バテレンから聞いたか、ボク?」
「バテレンさまは日本人が奴隷として国外に連行されることに、深い悲しみを感じておられます!」
「ふふん! 布教の妨げになるからじゃろう……じゃが貿易の主力商品は奴隷じゃ。ポルトガル商人も喜んでおるし、マロも儲かる」
「……せやけど戦が無くなれば、奴隷は生まれにくくなるはず。いつか、そんな貿易は無くなるんとちゃいますか⁈ 」
「バ~~~カ ! ピョ~~~ン! 戦は無くならんわ!」
──ぐっ、ムカつくじじィや!!
「今の農業生産力では、全員が食うていくことはできん。侍も百姓も戦で人や財産を奪い、売り、みんなどうにか生きておる。戦争はこの世の必要悪なのじゃ!!」
助左衛門の足が止まる。
「それは、ちゃうで! ワイは今に戦と人身売買を封じ込める……そう、天下人が現れはると思います!」
「なっ!! なんと天下人じゃと⁈」
天海と手下どもは驚き、やがて大爆笑する。
「かーっはっはっはっはっはっはっははは……」
「な、なにがおかしい⁈ 」
「ははは……実はマロも天下人にふさわしい男を探しておる」
「なにっ?」
「ボクよ、気に入ったぞ! 食おうと思っておったが、まずそうじゃしやめにしてやる!」
「え?」
「これから尾張に参る。連れてってやろう」
「ち、ちょっと待て? 食おうって何や……⁈ 」
天海が馬を進める。 助左衛門は縄に引っ張られた。
──ワ、ワイ、食われるとこやったんか!! な、な、なんちゅー人らやねん!!
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