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我が家の常識は世間の非常識

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「弱いですね」
「そうだな」

マリアーナの問い掛けにユリアスが遠い目をしながら頷けばハモンドが更にキラキラした目でマリアーナを見詰める。
一応、3人とも戦闘中なのだが緊迫感に欠ける。

ヒュン、と風を切る水晶鞭が最後の1人を気絶させた時、漸く救援弾を見た方達がやって来たようです。

「何やってんだ」

うわー、騎士団の方が来た。しかも第二騎士団の制服着てます。
てっきり警備隊の方が来ると思ってたのに。

「ガーネット子爵令嬢、久しぶりだな」

サクサクと戦意を喪失している破落戸達に縄を掛ける騎士団の方達の中から団長がマリアーナ達の方に歩いて来た。

「ジェイド団長、お久しぶりです」

出来れば顔を合わせたくなかったのですが、文句は言えません。

「やっと諜報部に入る気になった、訳じゃ無さそうだな」

私がそこに入ったらルシルお兄様が暴れます。

兎に角、破落戸達の逮捕を終わらせていただきたいのですが。

「ガ、ガーネット子爵令嬢。なんでジェイド第二騎士団長と……」
「義理ですが、親族なので」
「あと、騎士団の諜報部に勧誘してんだが、うん、と言ってくれなくってね」

それを今言います?
あ、ユリアス様の目が怖くなってます。

「諜報部の件はおいおい聞くが、まずは何故、君が水晶鞭を持っていてそこまで使えるのか説明してくれるよな」

はい。ユリアス様の目がめちゃくちゃ怖いです。

「……エインお祖父様やシルヴィお祖母様に、私は剣の才能が無いから、と言われたのでアーネストお祖父様が教えて下さいました」

鞭を使うのって、悪役っぽくって抵抗があったのですが、鍛えておいて良かったです。

「で、その水晶鞭はどうした?」
「ラピスの牙が生え変わった時、一本貰いました」

あ、ユリアス様が固まった。
ですが、ウォータードラゴンの牙って、10年から15年周期で生え変わるんですよ。

ラピスも「一本で良いの?」と聞いてくれたから内緒でもう一本貰ったんだけど不味いかな?

「ラピスって……。もしかして魔獣王の側近のウォータードラゴンの事か?」

あら、ラピスって有名なんですね。

「そうです。子供の頃からの友達なので」

後、精霊王様の側近のフェニックスのクースとも友達です、と言ったら騎士団の人達も固まった。
すみません。だからうちって普通じゃないんですよ。
特にお祖母様絡みになると……。

それより少し気になる事があります。

「ジェイド団長様。暫くタガー子爵令息を騎士団で匿っていただけますか?」
「理由は?」
「今回の件。命を狙われたのは私ではなく、タガー子爵令息だからです」

呼び出された場所に都合よく破落戸達が集団で現れるのは、偶然では無いでしょう。

「ほう、騎士団の見習いを狙うとは穏やかじゃ無いな」

ジェイド団長がギロリと破落戸達を見ています。すみません、ついでに取り調べもお願いしますね。

破落戸達を連行する準備の為、騎士団の方達が仕事をしているとタガー子爵令息が走り寄って来た。

「ガーネット子爵令嬢。俺、鍛錬を積んで、必ず貴女に相応しい男になってみせます」

はい?タガー子爵令息、何処で頭、打ちました?
私、殴ってませんよ。

「えっ?」
「俺、貴女みたいな人、好きです」

どうしよう。タガー子爵令息が完全に壊れたんですけど。

「ほう。あれ程学園ではガーネット子爵令嬢を罵っていたのに、ですか」

ユリアス様、その無表情、めちゃくちゃ怖いです。そして、何故その情報を持っていらっしゃるのです?

タガー子爵令息は、絶対相応しい男になるので待っててくださいって叫んでましたが、騎士団の方達に引き摺られるように連れていかれ、私は頭痛のタネに頭を抱えたくなりました。
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