上 下
14 / 39

何かの流行りでしょうか?

しおりを挟む
王宮で仕事をしていた私に、また呼び出しの手紙です。

最近、私を呼び出す事が元攻略対象者達で流行っているのでしょうか?

少々面倒ですが、アイテムの影響や精神干渉魔法の事が聞ければラッキーです。

今回の相手はハモンド・タガー子爵令息ですね。
確か、学園を卒業してから騎士団へ見習いとして入団された筈です。

騎士団……。あそこもおいそれと近づくのは不味いのですが。
まぁ、呼び出された場所は騎士団の関係箇所では無いので、大丈夫かな。



呼び出された場所に向かおうと廊下を小走りくらいのスピードで歩いていると

「おい、何処に行くんだ?」

ユリアス様がもの凄い目で睨んでます。
如何してこんなに広い王宮で遭遇するんでしょうか?
誤魔化しは……。無理ですね。

「ハモンド・タガー子爵令息が会いたい、と」
「そんな奴、会う必要なんか無いだろ」

必要は無いですが、アイテムの影響や精神干渉魔法の事が聞ければラッキーですよ、多分。

「無いですが」
「どうせ君の事だ、アイテムの影響や精神干渉魔法の事が聞ければラッキー、と思ってんだろ」

鋭いな。あれだけ仲が悪かったのに、私の考えを正確に把握してますね。

「はい」
「まったく。君みたいな奴を無鉄砲と言うんだ」

心外です。ちゃんと勝算はあります。
無駄な事はしたく無いですから。

「俺も行く」

どうしてそうなるんですか?
仕事はどうしました?そんなに宰相補佐って暇なんですか。


断る事も出来ないまま、指定された場所に向かった。

街外れの寂れた建物が疎に点在している様な広場にハモンド・タガーは居た。

「お前、何様のつもりで俺を呼び出した」

はい?呼び出したのはそちらでは?
口から泡を飛ばして叫ぶハモンドにマリアーナは呆れていたが、ユリアスはこめかみをひくつかせ、マリアーナの前に出た。

「呼び出したのはそちらでは?」
「なんで俺が!」

これって……。

「解除」

精神干渉魔法解除の魔法陣を水晶の簪で描くと発動させた。

「えっ?俺……なんで、此処に?」
「やはりそうでしたか。タガー子爵令息、貴方は精神干渉魔法に掛かっていたようです」

マリアーナの言葉に、ハモンドは呆然とした。

「精神干渉魔法……」
「頭の芯の痺れは取れましたか?」
「えっ、如何してそれを。ほ、本当に俺は……」
「はい。同じ様に攻撃的になっていた方を知ってますので、もしかしたら、と思いました」

フローラさんの時に使った魔法陣ですから、同じ術者が掛けていたと見て正解でしょう。

精神干渉魔法が解けたハモンドがオロオロしながらマリアーナ達に目を向けた。

「俺は……。俺はなんて事を。タガー家の恩人であるクリスタル子爵夫人の縁者である貴女に……」

おや?お祖母様に恩が?初めて聞きました。
それよりも……。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【完結】転生悪役っぽい令嬢、家族巻き込みざまぁ回避~ヒドインは酷いんです~

鏑木 うりこ
恋愛
 転生前あまりにもたくさんのざまぁ小説を読みすぎて、自分がどのざまぁ小説に転生したか分からないエイミアは一人で何とかすることを速攻諦め、母親に泣きついた。 「おかあさまあ~わたし、ざまぁされたくないのですー!」 「ざまぁとはよくわからないけれど、語感が既に良くない感じね」  すぐに味方を見つけ、将来自分をざまぁしてきそうな妹を懐柔し……エイミアは学園へ入学する。  そして敵が現れたのでした。  中編くらいになるかなと思っております! 長い沈黙を破り!忘れていたとは内緒だぞ!? ヒドインが完結しました!わーわー!  (*´-`)……ホメテ……

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです

神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。 そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。 アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。 仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。 (まさか、ね) だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。 ――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。 (※誤字報告ありがとうございます)

【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。

五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」 オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。 シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。 ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。 彼女には前世の記憶があった。 (どうなってるのよ?!)   ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。 (貧乏女王に転生するなんて、、、。) 婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。 (ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。) 幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。 最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。 (もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)

【完結】妹が欲しがるならなんでもあげて令嬢生活を満喫します。それが婚約者の王子でもいいですよ。だって…

西東友一
恋愛
私の妹は昔から私の物をなんでも欲しがった。 最初は私もムカつきました。 でも、この頃私は、なんでもあげるんです。 だって・・・ね

念願の婚約破棄を受けました!

新野乃花(大舟)
恋愛
オレフィス第二王子はある日、一方的に婚約者エレーナに対して婚約破棄を告げた。その瞬間エレーナは飛び上がって喜んだが、オレフィスはそれを見て彼女は壊れてしまったのだと勘違いをし、なぜ彼女が喜んだのかを考えもしなかった…。 ※カクヨムにも投稿しています!

処理中です...