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 ラファエルは何度も繰り返した。

──アナリスはその囁きに酔いしれるように、身を委ねていた。

(ああ……この時間が永遠に続けばいいのに)

 アナリスは心の底からそう願った。

 それから二人は時間を忘れて愛を語り合った。

──まるでこの世界に二人だけしか存在しないかのように、お互いだけを見つめ合い、愛の言葉を繰り返したのだ。

 だが、やがて夜も更けてきた頃、ラファエルはアナリスの手を取って立ち上がった。

「そろそろ戻ろうか?」

 ラファエルは、少し寂しそうに言った。

 アナリスは、彼の手をぎゅっと握り返すと、

「はい」

と言って微笑む。

 二人は手を取り合って歩き出した。

──その足取りは自然と速まる。

 やがて、ラファエルはアナリスを馬車に乗せると、自身も乗り込み、屋敷へと戻っていった。

──その間も二人の手はしっかりと握られたままだった。


☆☆☆


 邸宅に帰り着いた頃には、日付が変わっていた。

 馬車から降りると、ラファエルは名残惜しそうにアナリスの髪を撫でる。
 
──その手つきはとても優しかった。

「アナリス」

 ラファエルが口を開いた。

 その瞳には熱がこもっているように見える。

「はい?」

 アナリスは、ぼんやりとした頭で聞き返した。

「すまない。また王宮に戻らないとならない。明日も会えるかな? 二人で出かけたいところがあるんだ」

 ラファエルは、少し不安そうな面持ちで尋ねる。

 その声色からは切実な思いが感じられた。

「もちろんよ」

 アナリスは笑顔で答えた。

 ラファエルの表情がぱっと明るくなる。

「よかった」
 
 彼は安堵したように息をつくと、優しく微笑みかけてきた。

──それだけで、アナリスの心は喜びで満たされていくのだった。
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