千夜一夜

 教会を兼ねた孤児院で育てられた青年アベルは、今日も貴族嫌いのシスター・エルのせいで仕事をひとつ潰されてしまう。

 吟遊詩人をやって生計を成り立てている彼にとって、貴族も裕福な金持ちも大事なお得意様だ。

 しかし貴族嫌いのシスターのせいで、彼はよく仕事を潰される。

 運命の岐路を迎えたこの日もそうだった。

 運命の運び手の少女と出逢ったときも、彼は仕事を潰され時間を持て余していたのだ。

 深い意味のないような、どこにでも転がっている出逢い。

 それが自分の運命を根底から変えてしまうとも知らずに。

 彼はひとつの出逢いを体験する。

 その出逢いが次の出逢いを呼び、アベルの運命は急速に変わっていくのだった。

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