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メガネスーツ女子と死後?の世界
頁37 :宇宙宴会とは 2
しおりを挟む「……アレ???」
即席で笑顔を作ると彼女にお礼をし、円盤を受け取る。勢い余って空に円盤投げをしてしまわない様に本気の集中だ。こんな何かにつけて全集中する飲み会はそうそう経験出来ない。
神々廻さんは思惑が外れたのか更に困惑を深めた様だ。概ねこの虚無料理を食べるのに耐えられなくなったか、どうせなら私に食べる役回りを押し付けるついでに私の狼狽する姿でも見てやろうとでも思ったのか。正解でも不正解でもこの円盤で殴りたい。爆発するかしら。
女子は嬉しそうにキャイキャイとはしゃいでいる。
うーん、元の世界で言う所の『女子高で先輩に憧れる後輩』みたいな感じだろうか。彼女の気持ちを害する訳にはいかない。
唯一助かったのは料理?にフォークと思しき棒状物体が添えられている事だった。実際にフォークかは分からないが一本だけらしいからフォークか或いはスプーン的食器である筈だ。箸だったら握ろうとしてへし折っていたかもしれない。折れるだけならともかく爆散させたりしたらドン引き再来だ。
手が震えない様に右腕の全筋肉を制し棒状食器を握る。無に無と無が重なり合った料理?の空間座標を間違えない様に脳にフルアクセルを掛け、円盤の上の虚無を引っ掛けると、自らの口の中へと牽引していく。その集中力や宇宙空間の港に巨大戦艦を停泊させる為にトラクタービームで誘導するかの如し。知らないけど。
「…どうですか…?」
女子が恐る恐る感想を聞いてくる。
感触が分からないけどとりあえず喉に引っかからない様に咀嚼する。噛めているかも分からない。普段の食事のイメージをフィードバックしてとにかく口の中で転がして噛む、という動作を繰り返す。30回くらい。そして飲み込む。無だ。虚無だ。宇宙だ。
「お料理、お上手なんですね」
「アルェーーーー????」
ニコリと微笑み健気な彼女の顔を立てる。完全に目が点の神々廻さん。
それを聞いて耳まで顔を真っ赤にすると、脳天から白い煙を本当に吹き出しながら女子は逃げていった。機関車みたい。
───と思ったら、更に複数の円盤を手にして舞い戻って来た。
「ありがとうございますっ! 嬉しいです…!! あの、あのあの! これもみんな私が作ったんですっ! ぜ、ぜひ!!」
そ う 来 た か 。
その未来は予想していなかった。迂闊。
「ええ、頂きます。ねぇ、 神 々 廻 さ ん ?」
「ヒッ!? ァ…ア…ハイ…!」
私を使って逃げようと思ったのだろうが… 逃 が す も の か 。
「いいぞシシバぁぁぁぁ!!!」
「うおおお女神様ぁぁ!!」
「ミサキちゃん様~!」
「……!!」
「…!」
「」
どうやら長い夜になりそうだ……。
(次話/38-1へ続く)
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