知識0から創る異世界辞典(ストラペディア)~チャラ駄神を添えて~

degirock/でじろっく

文字の大きさ
77 / 114
メガネスーツ女子と死後?の世界

頁37 :宇宙宴会とは 2

しおりを挟む
       






「……アレ???」

 即席で笑顔を作ると彼女にお礼をし、円盤を受け取る。勢い余って空に円盤投げをしてしまわない様に本気の集中だ。こんな何かにつけて全集中する飲み会はそうそう経験出来ない。
 神々廻ししばさんは思惑おもわくが外れたのか更に困惑を深めた様だ。おおむねこの虚無料理を食べるのに耐えられなくなったか、どうせなら私に食べる役回りを押し付けるついでに私の狼狽ろうばいする姿でも見てやろうとでも思ったのか。正解でも不正解でもこの円盤で殴りたい。爆発するかしら。
 女子は嬉しそうにキャイキャイとはしゃいでいる。
 うーん、元の世界で言う所の『女子高で先輩に憧れる後輩』みたいな感じだろうか。彼女の気持ちを害する訳にはいかない。
 唯一助かったのは料理?にフォークと思しき棒状物体が添えられている事だった。実際にフォークかは分からないが一本だけらしいからフォークかあるいはスプーン的食器であるはずだ。はしだったら握ろうとしてへし折っていたかもしれない。折れるだけならともかく爆散させたりしたらドン引き再来だ。
 手が震えない様に右腕の全筋肉を制し棒状食器を握る。無に無と無が重なり合った料理?の空間座標xyzを間違えない様に脳にフルアクセルを掛け、円盤の上の虚無を引っ掛けると、自らの口の中へと牽引けんいんしていく。その集中力や宇宙空間の港に巨大戦艦を停泊させる為にトラクタービームで誘導するかのごとし。知らないけど。

「…どうですか…?」

 女子が恐る恐る感想を聞いてくる。
 感触が分からないけどとりあえず喉に引っかからない様に咀嚼そしゃくする。噛めているかも分からない。普段の食事のイメージをフィードバックしてとにかく口の中で転がして噛む、という動作を繰り返す。30回くらい。そして飲み込む。無だ。虚無だ。宇宙だ。

「お料理、お上手なんですね」
「アルェーーーー????」

 ニコリと微笑み健気な彼女の顔を立てる。完全に目が点の神々廻ししばさん。
 それを聞いて耳まで顔を真っ赤にすると、脳天から白い煙を本当に吹き出しながら女子は逃げていった。機関車みたい。
 ───と思ったら、更に複数の円盤を手にして舞い戻って来た。

「ありがとうございますっ! 嬉しいです…!! あの、あのあの! これもみんな私が作ったんですっ! ぜ、ぜひ!!」

 そ う 来 た か 。
 その未来は予想していなかった。迂闊うかつ

「ええ、頂きます。ねぇ、    さ ん ?」
「ヒッ!? ァ…ア…ハイ…!」

 私を使って逃げようと思ったのだろうが… 逃 が す も の か 。

「いいぞシシバぁぁぁぁ!!!」
「うおおお女神様ぁぁ!!」
「ミサキちゃん様~!」
「……!!」
「…!」
「」


 どうやら長い夜になりそうだ……。







   (次話/38-1へ続く)




      
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

処理中です...