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メガネスーツ女子と死後?の世界
頁37 :宇宙宴会とは 1
しおりを挟む先程の子が気にはなっていたけれど、今はひとまず盛り上がる人達に水を差さない様に騒乱の輪の中に混じる事にした。
まあ騒乱の中心は予想通りと言うか…おや?
「いいぞシシバぁーーー! もう一杯どっこいしょーーー!!」
「お…おーーーう…、ドンとこーーーーい……」
「シシバさぁぁぁぁん❤ コレも食べてぇぇ❤」
「は…はーーーーい…、イタダキ…マーーース…」
案の定もみくちゃにされている。けれど彼の性格ならその状況を大喜びで楽しんでいる筈なのに、なんだか顔が引きつっている様に見える。
もしかして何かあったのか…大丈夫かしら。
余程の事が無い限り死なないとは言え、一応心配はしておく。
「あ!!!!!!!!」
近付く私に気付いた彼がひと際大きく声を発した。物凄く嫌な予感。
「ほらほらほらほらほらどこ行ってたのサ女神ミサキ様!! ささささささこちらへ!!!!」
誰が女神だ。だけど今度ばかりは彼の目が本気だった。今すぐにでも逃げたい。
しかし彼に煽られた村人さん達から親愛と尊敬?の眼差しを向けられ、逃げるに逃げられない。
予め覚悟を決めておこうと決意しその輪の中へ。歓喜に沸き立つ人々。
「あの、この度は誠に御愁傷様で…」
「ミサキ様、そーゆーのはいいから!」
ダメ神が弔辞を遮る。
「さささ、女神様もお疲れでしょう、グイっとどうぞ!」
「え、え?」
村人男性から木製のジョッキに見える食器?を手渡される。持ったのはいいけど持った気がしない。先程の料理の時みたいに粉砕しない様に全力で感覚をフル動員する。神々廻さんも同じに見える物を握っているが上手く扱えている様だった。器用だな。
そしてそのジョッキらしき物に注がれる酒と思しき液体。液体なのか不明だけどサラサラと流れて溜まっていく様子を見るに恐らくは液体で、酔った感じの村人を見るに多分酒に近い成分を持っているのだろう。
こんな意味不明な飲み会はそうそう経験出来ない。
「「「 そ~れ、イッキ! イッキ! イッキ! イッキ! 」」」
本気な目で必死にターゲットを逸らせようという魂胆が見え見えの神々廻さんが村人を煽って盛大に一気コールをする。後で殴ろう。
私は力加減を間違えない様に慎重にジョッキっぽい物のふちを口に付けると、中身の物体を言われた通り一気に飲み干す。口内の粘膜に触れた感じがしない空気の様な何かを、嚥下する動作を思い出しながら食道に導いていく。胃が何物かに満たされて膨らむ感覚はあるが、のど越しやら満腹感やらは皆無だった。
「「「 うおおおおおおおおお女神様あああああああ!!!! 」」」
「……アレ?」
狂乱する村人、困惑する神々廻さん。
飲み込んだ物体に不安が無いと言えば嘘になるが、日常的に口にしているであろう村の人達が平気そうだし名称未設定による認識不可で恐らくは摂取した我々には何の影響も及ぼす事は無いだろうと予想した。…感覚的には無を通り越して虚無だけど。
「ミサキちゃん様、『 』を吹き飛ばした時はびっくりしたけど女神様だったのね!(キラキラ) あの、これ…私が作ったんだけど…口に合うかしら…///(トゥンク)」
お願いだからその件は掘り起こさないで下さい…。それと『ちゃん様』ってあなた。
妙に瞳が潤んだ女子が妙にもじもじしながら木製のお皿の様な円盤状の物体に妙な何かを盛って差し出す。何だろうコレは…。
素材が予想不可、匂い無し、温度も不明、料理名もきっと無音。ヤケクソで命名するなら『ああああのああああ風ああああ』だ。この流れ、本文中に明文化していない幕間も含めて何回目だろう。
「ありがとうございます、頂きます」
(次頁/37-2へ続く)
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