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メガネスーツ女子と死後?の世界

頁35:後の祭とは 1

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 んだ花束をにぎめながら轟音ごうおんがした方へ走る。場所の予想はついていた。というより彼の居場所以外は考えられない。
 不規則に並んだ統一感の無い建物の間を縫い、先程までいたひつぎの並ぶ路地裏へ───なんだか大騒ぎしているような声が聞こえた。まさか神々廻ししばさんが何かやらかして袋叩きにでも…!?

「な…!?」

 最終コーナーを曲がり切り視界に飛び込んだ光景は───

『『『『シ・シ・バ!! シ・シ・バ!!!』』』』

 すりばち状に深くえぐられた地面、そしてその穴の底で興奮した村の男性陣に囲まれて胴上げされている彼の姿だった。
 なにこの状況。

「みっ、みさッ、さっピー! たすっ、たすけっ! オタスケっピ!!」

 助けてっピと言われましても。楽しそうですし。
 と言うかこの大穴…何が起きたのだろうか。この人数でこれだけの穴を掘るには時間的にまだまだ足りないはずだが。まあ神々廻ししばさんが何かしらからんでいるのは間違いないだろうな。取り敢えずは話を聞かない事には始まらない。

「あの! すいません!!」
『『『『 !!! 』』』』

 ヒッ!?
 私の声にそれまで歓声を上げながら胴上げをしていた男性陣が、ほぼ同時に動きを止めて私の方を見た。ギラっと。

「おぎョぐぇッ!」

 放り上げられた後に受け止めてもらえなかった神々廻ししばさんが変な姿勢で地面に落下した。どうして着地の時だけ変な姿勢になるんだろうこの人。

「あ、あのですね…その…落ち着いて……」
「『  』のシシバが付き従っているって事は…」

 誰かが不穏な発言をした。つかいって? どうしてそういう事に??
 まさか我々の正体がバレたのか。

「まさか…」「そのまさ…か…?」「おいィ…」

 え…ちょ、何ですか。
 あ、分かった。これは絶対にだ!

『『『『ああああ女神様あああああああ!!!!!!』』』』
「いやああああああああああああああああああ!!!!!!」

 目が爛爛らんらんと輝いた男性陣が、傾斜角度のきついすり鉢穴を物ともせずに駆け上がってこちらに突進してくる。
 本能的な恐怖を感じて私は一目散に逃げだした。女性陣の陣地へ。

「ちょっと! オレは!?」

 そんなの自分で何とかして下さい!!







   (次頁/35ー2へ続く)






      
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