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番外編
宰相のその後のその後*
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「ふふ、叔父上……覚悟はいいですか?」
あれから三年。
エドモン・コルリアーヴは自分の甥っ子、否、伴侶にベッドの上で組み敷かれていた。
シメオストル・ロワ・ソレイユルヴィルはあれからするすると背が伸び、ノンノワールみたいに華奢なのは変わらないのにやたらと背が高くなっていた。
彼は長かった銀髪も成人と同時に短くした。
するとたちまち雰囲気は一変して好青年へと変貌したのだった。「怜悧な瞳が美しい」などと若いノンノワールの視線を集めているらしい。
エドモンにとって自分の背丈を抜かれたことは屈辱であった。自分だって普通の男として成長期を過ごしたはずなのに。小さくて弱々しいと思っていた甥に背を抜かれるなんて。
王国には初夜の慣例はないが、それとは別にシメオストルは式を挙げたその日の内にエドモンを自分のベッドに連れ込んだのだった。エドモンに抗えるはずもなかった。
花婿衣装のまま二人は向かい合う。
「お、叔父上はおやめください、殿下……」
これから大人の関係になるというのに、叔父上などと呼ばれるのはインモラルに過ぎた。
叔父上呼びだけでもやめてもらおうと、潤んだ目で訴える。
「それならば叔父上も殿下呼びをやめて下さい。名前を呼んでくれないと気分が出ないでしょう?」
「う、うぅ……」
エドモンは口ごもった。
それでも甥御を名前呼びするのは躊躇われた。
それこそ何かに負けたような気がしてしまうからだ。下らぬ意地だった。
それを見て彼はくすりと笑みを零す。
「まったく、叔父上は強情ですねぇ」
彼は白い手袋の指先を歯で噛んで外し、それから首元を緩めた。
次にエドモンの花婿衣装に手を伸ばす。
ジャケット、ジレ、シャツ、スラックス……と脱がしていき、最後に下着を脱がせた。
なよなよしい身体が露わになり、エドモンは頬が熱くなるのを感じた。
「思った通り、叔父上は色っぽい身体をしていますね」
「なっ、何を言ってるんですか……!?」
彼の言葉にエドモンは驚愕する。
「いつも服の上から叔父上の裸体を想像していましたから」
「いつもって……」
具体的に何歳ごろから、とは聞けなかった。
なんだか空恐ろしかったからだ。
「ここにも触れてみたいと、ずっと思っていました」
彼の指が小さな胸の尖りを抓んだ。
「っ!」
ビクリと身が震える。
「おや、もしかして感じました?」
「ち、違います吃驚しただけです!」
エドモンは慌てて否定する。
「へえ、本当ですかねぇ?」
彼はニヤリと笑うと、両の手で両方の乳首を弄り始めた。
「ン……ッ!」
小さな実を抓まれ、指の腹で圧される。
くにくにと刺激されているうちに快感のような甘い感覚が伝わってくるようになる。
ノンノワールになったために身体の作りが変わったのだろうか。
胸で快感を感じられる身体になってしまったのかもしれない。
「やっぱり感じてるじゃないですか」
「か、感じてなんかない……っ!」
「へえ、ならここはどうしてこうなってるんですか?」
彼はエドモンの下肢を示す。
エドモンの中心は兆して半ば頭を擡げていた。
「え、ぁ……」
「叔父上はえっちですね」
「私が、えっち……?」
甥の言葉に衝撃を受けて復唱する。
そんな訳がない。感じてしまっているのはノンノワールになってしまったせいだ。
「ええ、叔父上はえっちな身体をしていますよ」
囁きながら彼は胸の尖りを抓った。
「あぁ……ッ!」
思わず声が漏れ出てしまう。
「ほら、乳首がピンと勃っててこんなにえっちじゃないですか」
彼に指摘されて胸を見下ろすと、ぷっくりと乳首が腫れていた。
まるで淫乱なノンノワールのようだ。自分の身体の一部だという気がしなかった。
「乳首だけでイケそうですね」
「待っ、やめてください……っ!」
彼はニヤリと笑む。
その表情が何故だか自分に酷似している気がした。
「あっ、ぁ、あぁ……っ! あぁっ!」
乳首を抓られ、捏ねられるだけで甘い声が出てしまう。
自分がこんな声を出せるなんて知らなかった。
「ああ、すごく可愛いですよ叔父上……!」
「ンっ、かわいくなんか、っ、あ……っ!」
三十路の男が喘ぐ姿など可愛らしいはずがない。
なのに甥は可愛いですよなどと囁くのだ。
その褒め言葉は蜜のように甘く、頭の中のどこかが蕩けていく気がした。
「叔父上より可愛い人なんていません」
「~~~~~~っ!!!」
囁き声と共にぐりっと乳首を押し潰され、頭の中が真っ白になった。
どろりと脳が溶けていくのを感じる。何も考えられない。
不思議な充足感に満たされていくのを感じた。
「叔父上、乳首だけでイっちゃいましたね」
「ひ……ぁ……」
いつの間にか放心してしまっていた。
快感の余韻に身体が震えている。
「え、ぁ……なにが……?」
「訳が分からないって顔してますね叔父上、可愛い。叔父上はノンノワールとしての絶頂を経験したんですよ」
「い、今のが……?」
ノンノワールの絶頂は何倍も気持ちいいと聞くが……確かにその通りだった。
「叔父上の身体のどこを触ってもイケるように開発していきたいですね」
甥の浮かべたほくそ笑みにゾクゾクと肌が粟立つ。
背筋を這い上ってくるこの感覚は、期待?
期待してしまっているというのだろうか……彼に滅茶苦茶にされることを。
「そ、そんなのごめんです!」
「はいはい、次は後ろを向いて下さいね叔父上」
渾身の抵抗も軽く流され、エドモンはうつ伏せにさせられる。
「叔父上はお尻も可愛いですね」
「ひっ!?」
尻たぶを遠慮なく揉む手の感触に小さく悲鳴が漏れる。
すっかり優男に成長したと評判の甥っ子にこんなにスケベな一面があるだなんて知らなかった。
「おっさんの尻なんて揉んで何が楽しいんですか……」
「叔父上はおっさんなんかじゃないですよ? 僕の愛しい人です」
「ぐ……」
愛しい人、などと言われてしまうと強くは言えなくなってしまう。
何故だか頬が熱くなるのを感じた。
顔が熱いのは甥に尻を揉まれているという状況のせいだ、エドモンはそう思うことにした。
「ほーら、叔父上の綺麗なピンク色のアナルが丸見えです」
尻たぶを両側に引っ張られ、尻の穴にひんやりと空気を感じる。
その入り口を湿ったものべろりと舐め上げた。
「っ!?」
入口を舌で直接舐め上げられた驚きに声も出なかった。
「ちょっと待ってて下さいね叔父上」
彼の手が離れる。
その間にエドモンは少しでも体勢を楽にするために枕を手に取って、抱き締めた。
もう年だからうつ伏せだと腰が辛いのだ。
「叔父上、じっとしててくださいね」
くちゅりと水音が聞こえた気がした。
言われた通りじっとしていると、再び尻たぶが拡げられて尻穴が露出する。
そこにぬめった何かが触れる。
「っ!」
「潤滑液を塗っていきますからね」
潤滑液とやらで覆われた指だったらしい。
それがクチュクチュと水音を立てながら入口を撫で擦る。
「……っ! ……っ!」
濡れた指にそっと入口の周縁を撫でられているだけなのに、不思議と下肢が熱くなっていくのを感じる。
「叔父上、もしかして声を我慢しています?」
「し、してない……!」
枕に顔を埋めるようにして声を押し殺していたエドモンは慌てて否定する。
何故だか気持ちいいとか、ムズムズするとかそんなことは断じて感じていない。感じていないのだ。
「大丈夫ですよ叔父上。叔父上が感じてしまっても淫乱とかそんなことは全然思いません。……だってこの潤滑液、媚薬入りですから」
「び、媚薬!?」
エドモンは思わず枕からガバリと顔を上げた。
道理でやたらに下肢が熱くなっているわけだ!?
「ええ。繊細な叔父上に初夜を楽しんでもらうにはどうしたらいいか側仕えに相談したら、用意してもらえたんです」
その側仕えとやらは後でよくよく厳重注意しておかねばならないようだ。
「叔父上のここ、ヒクヒクしちゃってる。どうやら媚薬の効果は充分なようですね」
実に楽しそうな口調で呟くと、彼は指の先端を沈めた。
「っ!」
「すごい、すんなり挿入りましたよ」
そのままグチュグチュと卑猥な水音を立てながら、彼は指を出し入れする。
「ほら、僕の指が叔父上のナカを犯している音が聞こえますか?」
「むうぅ……!」
枕に顔を埋め、聞こえない振りをした。
ましてや下肢が熱くなって身体とベッドの間で擦れていることなんて、絶対に知られたくない。
「叔父上の気持ちいいところはこの辺ですか?」
彼の細い指が陰茎の裏辺りの肉壁を執拗に擦る。
その時、こりっと指がある箇所を掠めた。
「あぁ……ッ!?」
全身を駆け抜けた快感に、大きな声を上げてしまう。
「ふふ、見つけました」
彼がニヤリとほくそ笑んだのが見えたような気がした。
彼はその箇所を集中的に撫で始めた。
「あっ、あぁ……っ! あぁっ、待っ……っ!」
「待ちませんよ、叔父上。叔父上がこんなにも気持ちよさそうにしているんですから」
頭がおかしくなるほど気持ちいい。
口端から垂れた唾液が枕に染みを作る。
「あっ、ぁ、あぁ…………ッ!!!」
ピンと爪先が張る。
どくどくと自身から精が流れ出しているのが分かった。
「前立腺でイケちゃいましたね。叔父上はえっちになる才能がありますね」
「そっ、そん……っ」
そんな才能ない、と言葉を紡ぐことすらできなかった。
あまりの快感に身体が痙攣している。
「叔父上がえっち過ぎて僕、もう我慢できなくなっちゃいました」
「へ……?」
指がぐちゅりと引き抜かれ、衣擦れの微かな音が響く。
それからもっと欲しいとばかりにヒクヒク収縮する入口に、熱く太いものが充てがわれた。
「ひっ、こ、これって……」
「叔父上、いーっぱい楽しみましょうね♡」
押し当てられた剛直が狭い入口を貫いた。
「……ッ!?」
多分、血が出たのではないだろうか。
狭いそこを脈動する質量が無理やりに満たす。
「叔父上の処女、いただいちゃいました」
くすりと甥が笑いを零す。
「お、大き過ぎ……っ、ぬ、抜いて……っ!」
「せっかく叔父上のナカに挿入れたのにどうして抜かなきゃならないんです?」
尋ねながら彼は腰を引き……思い切り腰を打ち付けた!
「お゛……ッ!?」
苦痛と快楽が全身に走る。
思考が引き千切られるように何も考えられなくなる。
「ああ、さっきのイイところを突いてほしいって意味かな?」
彼は再び腰を引くと、今度は肉壁に剛直を押し付けるように上下させる。
先ほど指でイカされた場所を、カリ首がゴリゴリと擦る。
「あ゛……ッ! 待っ、ヨすぎる……ッ!!」
あっという間に脳内が快感に支配される。
もう気持ち好さしか感じない。
剛直の質量を飲み込んでいる苦痛が消え失せ、代わりにもっともっとそれが欲しいと欲が暴走する。
エドモンは気が付けばへこへこと情けなく腰を揺らしてしまっていた。
「ああっ、叔父上えっちすぎます! そんなに僕のことが欲しいんですね!」
「あ゛ぁぁぁぁ……ッ!?!?」
強かに剛直が奥まで抉り込まれる。
そのまま激しいピストンが始まる。
「あッ、あ゛ッ! あ゛ァ……ッ!? あッ、あァ……ッ!!」
上から押し潰されるように何度も何度も剛直を叩き込まれ、エドモンはヒキガエルのような喘ぎ声を上げながら善がる。
涙や唾液といったあらゆる体液が枕に吸い込まれていく。
こんな乱暴な行為なのに、気持ち好くて堪らない。
潤滑液に含まれているという媚薬のせいだろうか。
それとも……甥に抱かれることに感じてしまっているというのか。
「イ、イグ……ッ! イグッ!」
声を振り絞って必死に訴えるエドモン。
「もうイっちゃうんですか? じゃあ叔父上も僕の精子を受け止めて下さい、ね……っ!」
耳元に囁かれたかと思うと、一番奥――――子宮の入口へと剛直の先端を叩き込まれた。
「叔父上、僕の子を孕んで下さい……ッ!!!」
熱い白濁が勢いよく注ぎ込まれる。
快感の渦が自分の中で暴れ狂い、意思とは無関係に身体が反る。
「あ゛あぁぁぁぁぁ……ッ!!!!」
精子の一滴まで残らず注ぎ込もうとするかのようにぐりぐりと剛直でナカを掻き回され、何度も達しているかのような快感の連続にエドモンの意識は飲み込まれていった。
(ノンノワールの絶頂、最高過ぎる……)
◆
「殿下ぁ、もっと、もっと下さい……ッ!」
一週間もすると、叔父上もすっかり従順になった。
自分から腰を振って、なんて可愛らしいのだろう。
「殿下ぁ……」
叔父上は潤んだ瞳で見つめる。
でも、一つだけ気にかかることが。
「叔父上、そろそろ僕のことを名前で呼んでくれないんですか?」
「う。だ、だって……」
叔父上はすいと目を逸らす。
どうやら叔父上は行為の最中に叔父上と呼ばれることに病みつきになってしまったらしいのだ。
これは計算外だった。
……叔父上に名前で呼ばれたいのに。
一体全体どこで何を間違えてしまったのだろう。
第二王子シメオストルは頭を悩ませたのであった。
あれから三年。
エドモン・コルリアーヴは自分の甥っ子、否、伴侶にベッドの上で組み敷かれていた。
シメオストル・ロワ・ソレイユルヴィルはあれからするすると背が伸び、ノンノワールみたいに華奢なのは変わらないのにやたらと背が高くなっていた。
彼は長かった銀髪も成人と同時に短くした。
するとたちまち雰囲気は一変して好青年へと変貌したのだった。「怜悧な瞳が美しい」などと若いノンノワールの視線を集めているらしい。
エドモンにとって自分の背丈を抜かれたことは屈辱であった。自分だって普通の男として成長期を過ごしたはずなのに。小さくて弱々しいと思っていた甥に背を抜かれるなんて。
王国には初夜の慣例はないが、それとは別にシメオストルは式を挙げたその日の内にエドモンを自分のベッドに連れ込んだのだった。エドモンに抗えるはずもなかった。
花婿衣装のまま二人は向かい合う。
「お、叔父上はおやめください、殿下……」
これから大人の関係になるというのに、叔父上などと呼ばれるのはインモラルに過ぎた。
叔父上呼びだけでもやめてもらおうと、潤んだ目で訴える。
「それならば叔父上も殿下呼びをやめて下さい。名前を呼んでくれないと気分が出ないでしょう?」
「う、うぅ……」
エドモンは口ごもった。
それでも甥御を名前呼びするのは躊躇われた。
それこそ何かに負けたような気がしてしまうからだ。下らぬ意地だった。
それを見て彼はくすりと笑みを零す。
「まったく、叔父上は強情ですねぇ」
彼は白い手袋の指先を歯で噛んで外し、それから首元を緩めた。
次にエドモンの花婿衣装に手を伸ばす。
ジャケット、ジレ、シャツ、スラックス……と脱がしていき、最後に下着を脱がせた。
なよなよしい身体が露わになり、エドモンは頬が熱くなるのを感じた。
「思った通り、叔父上は色っぽい身体をしていますね」
「なっ、何を言ってるんですか……!?」
彼の言葉にエドモンは驚愕する。
「いつも服の上から叔父上の裸体を想像していましたから」
「いつもって……」
具体的に何歳ごろから、とは聞けなかった。
なんだか空恐ろしかったからだ。
「ここにも触れてみたいと、ずっと思っていました」
彼の指が小さな胸の尖りを抓んだ。
「っ!」
ビクリと身が震える。
「おや、もしかして感じました?」
「ち、違います吃驚しただけです!」
エドモンは慌てて否定する。
「へえ、本当ですかねぇ?」
彼はニヤリと笑うと、両の手で両方の乳首を弄り始めた。
「ン……ッ!」
小さな実を抓まれ、指の腹で圧される。
くにくにと刺激されているうちに快感のような甘い感覚が伝わってくるようになる。
ノンノワールになったために身体の作りが変わったのだろうか。
胸で快感を感じられる身体になってしまったのかもしれない。
「やっぱり感じてるじゃないですか」
「か、感じてなんかない……っ!」
「へえ、ならここはどうしてこうなってるんですか?」
彼はエドモンの下肢を示す。
エドモンの中心は兆して半ば頭を擡げていた。
「え、ぁ……」
「叔父上はえっちですね」
「私が、えっち……?」
甥の言葉に衝撃を受けて復唱する。
そんな訳がない。感じてしまっているのはノンノワールになってしまったせいだ。
「ええ、叔父上はえっちな身体をしていますよ」
囁きながら彼は胸の尖りを抓った。
「あぁ……ッ!」
思わず声が漏れ出てしまう。
「ほら、乳首がピンと勃っててこんなにえっちじゃないですか」
彼に指摘されて胸を見下ろすと、ぷっくりと乳首が腫れていた。
まるで淫乱なノンノワールのようだ。自分の身体の一部だという気がしなかった。
「乳首だけでイケそうですね」
「待っ、やめてください……っ!」
彼はニヤリと笑む。
その表情が何故だか自分に酷似している気がした。
「あっ、ぁ、あぁ……っ! あぁっ!」
乳首を抓られ、捏ねられるだけで甘い声が出てしまう。
自分がこんな声を出せるなんて知らなかった。
「ああ、すごく可愛いですよ叔父上……!」
「ンっ、かわいくなんか、っ、あ……っ!」
三十路の男が喘ぐ姿など可愛らしいはずがない。
なのに甥は可愛いですよなどと囁くのだ。
その褒め言葉は蜜のように甘く、頭の中のどこかが蕩けていく気がした。
「叔父上より可愛い人なんていません」
「~~~~~~っ!!!」
囁き声と共にぐりっと乳首を押し潰され、頭の中が真っ白になった。
どろりと脳が溶けていくのを感じる。何も考えられない。
不思議な充足感に満たされていくのを感じた。
「叔父上、乳首だけでイっちゃいましたね」
「ひ……ぁ……」
いつの間にか放心してしまっていた。
快感の余韻に身体が震えている。
「え、ぁ……なにが……?」
「訳が分からないって顔してますね叔父上、可愛い。叔父上はノンノワールとしての絶頂を経験したんですよ」
「い、今のが……?」
ノンノワールの絶頂は何倍も気持ちいいと聞くが……確かにその通りだった。
「叔父上の身体のどこを触ってもイケるように開発していきたいですね」
甥の浮かべたほくそ笑みにゾクゾクと肌が粟立つ。
背筋を這い上ってくるこの感覚は、期待?
期待してしまっているというのだろうか……彼に滅茶苦茶にされることを。
「そ、そんなのごめんです!」
「はいはい、次は後ろを向いて下さいね叔父上」
渾身の抵抗も軽く流され、エドモンはうつ伏せにさせられる。
「叔父上はお尻も可愛いですね」
「ひっ!?」
尻たぶを遠慮なく揉む手の感触に小さく悲鳴が漏れる。
すっかり優男に成長したと評判の甥っ子にこんなにスケベな一面があるだなんて知らなかった。
「おっさんの尻なんて揉んで何が楽しいんですか……」
「叔父上はおっさんなんかじゃないですよ? 僕の愛しい人です」
「ぐ……」
愛しい人、などと言われてしまうと強くは言えなくなってしまう。
何故だか頬が熱くなるのを感じた。
顔が熱いのは甥に尻を揉まれているという状況のせいだ、エドモンはそう思うことにした。
「ほーら、叔父上の綺麗なピンク色のアナルが丸見えです」
尻たぶを両側に引っ張られ、尻の穴にひんやりと空気を感じる。
その入り口を湿ったものべろりと舐め上げた。
「っ!?」
入口を舌で直接舐め上げられた驚きに声も出なかった。
「ちょっと待ってて下さいね叔父上」
彼の手が離れる。
その間にエドモンは少しでも体勢を楽にするために枕を手に取って、抱き締めた。
もう年だからうつ伏せだと腰が辛いのだ。
「叔父上、じっとしててくださいね」
くちゅりと水音が聞こえた気がした。
言われた通りじっとしていると、再び尻たぶが拡げられて尻穴が露出する。
そこにぬめった何かが触れる。
「っ!」
「潤滑液を塗っていきますからね」
潤滑液とやらで覆われた指だったらしい。
それがクチュクチュと水音を立てながら入口を撫で擦る。
「……っ! ……っ!」
濡れた指にそっと入口の周縁を撫でられているだけなのに、不思議と下肢が熱くなっていくのを感じる。
「叔父上、もしかして声を我慢しています?」
「し、してない……!」
枕に顔を埋めるようにして声を押し殺していたエドモンは慌てて否定する。
何故だか気持ちいいとか、ムズムズするとかそんなことは断じて感じていない。感じていないのだ。
「大丈夫ですよ叔父上。叔父上が感じてしまっても淫乱とかそんなことは全然思いません。……だってこの潤滑液、媚薬入りですから」
「び、媚薬!?」
エドモンは思わず枕からガバリと顔を上げた。
道理でやたらに下肢が熱くなっているわけだ!?
「ええ。繊細な叔父上に初夜を楽しんでもらうにはどうしたらいいか側仕えに相談したら、用意してもらえたんです」
その側仕えとやらは後でよくよく厳重注意しておかねばならないようだ。
「叔父上のここ、ヒクヒクしちゃってる。どうやら媚薬の効果は充分なようですね」
実に楽しそうな口調で呟くと、彼は指の先端を沈めた。
「っ!」
「すごい、すんなり挿入りましたよ」
そのままグチュグチュと卑猥な水音を立てながら、彼は指を出し入れする。
「ほら、僕の指が叔父上のナカを犯している音が聞こえますか?」
「むうぅ……!」
枕に顔を埋め、聞こえない振りをした。
ましてや下肢が熱くなって身体とベッドの間で擦れていることなんて、絶対に知られたくない。
「叔父上の気持ちいいところはこの辺ですか?」
彼の細い指が陰茎の裏辺りの肉壁を執拗に擦る。
その時、こりっと指がある箇所を掠めた。
「あぁ……ッ!?」
全身を駆け抜けた快感に、大きな声を上げてしまう。
「ふふ、見つけました」
彼がニヤリとほくそ笑んだのが見えたような気がした。
彼はその箇所を集中的に撫で始めた。
「あっ、あぁ……っ! あぁっ、待っ……っ!」
「待ちませんよ、叔父上。叔父上がこんなにも気持ちよさそうにしているんですから」
頭がおかしくなるほど気持ちいい。
口端から垂れた唾液が枕に染みを作る。
「あっ、ぁ、あぁ…………ッ!!!」
ピンと爪先が張る。
どくどくと自身から精が流れ出しているのが分かった。
「前立腺でイケちゃいましたね。叔父上はえっちになる才能がありますね」
「そっ、そん……っ」
そんな才能ない、と言葉を紡ぐことすらできなかった。
あまりの快感に身体が痙攣している。
「叔父上がえっち過ぎて僕、もう我慢できなくなっちゃいました」
「へ……?」
指がぐちゅりと引き抜かれ、衣擦れの微かな音が響く。
それからもっと欲しいとばかりにヒクヒク収縮する入口に、熱く太いものが充てがわれた。
「ひっ、こ、これって……」
「叔父上、いーっぱい楽しみましょうね♡」
押し当てられた剛直が狭い入口を貫いた。
「……ッ!?」
多分、血が出たのではないだろうか。
狭いそこを脈動する質量が無理やりに満たす。
「叔父上の処女、いただいちゃいました」
くすりと甥が笑いを零す。
「お、大き過ぎ……っ、ぬ、抜いて……っ!」
「せっかく叔父上のナカに挿入れたのにどうして抜かなきゃならないんです?」
尋ねながら彼は腰を引き……思い切り腰を打ち付けた!
「お゛……ッ!?」
苦痛と快楽が全身に走る。
思考が引き千切られるように何も考えられなくなる。
「ああ、さっきのイイところを突いてほしいって意味かな?」
彼は再び腰を引くと、今度は肉壁に剛直を押し付けるように上下させる。
先ほど指でイカされた場所を、カリ首がゴリゴリと擦る。
「あ゛……ッ! 待っ、ヨすぎる……ッ!!」
あっという間に脳内が快感に支配される。
もう気持ち好さしか感じない。
剛直の質量を飲み込んでいる苦痛が消え失せ、代わりにもっともっとそれが欲しいと欲が暴走する。
エドモンは気が付けばへこへこと情けなく腰を揺らしてしまっていた。
「ああっ、叔父上えっちすぎます! そんなに僕のことが欲しいんですね!」
「あ゛ぁぁぁぁ……ッ!?!?」
強かに剛直が奥まで抉り込まれる。
そのまま激しいピストンが始まる。
「あッ、あ゛ッ! あ゛ァ……ッ!? あッ、あァ……ッ!!」
上から押し潰されるように何度も何度も剛直を叩き込まれ、エドモンはヒキガエルのような喘ぎ声を上げながら善がる。
涙や唾液といったあらゆる体液が枕に吸い込まれていく。
こんな乱暴な行為なのに、気持ち好くて堪らない。
潤滑液に含まれているという媚薬のせいだろうか。
それとも……甥に抱かれることに感じてしまっているというのか。
「イ、イグ……ッ! イグッ!」
声を振り絞って必死に訴えるエドモン。
「もうイっちゃうんですか? じゃあ叔父上も僕の精子を受け止めて下さい、ね……っ!」
耳元に囁かれたかと思うと、一番奥――――子宮の入口へと剛直の先端を叩き込まれた。
「叔父上、僕の子を孕んで下さい……ッ!!!」
熱い白濁が勢いよく注ぎ込まれる。
快感の渦が自分の中で暴れ狂い、意思とは無関係に身体が反る。
「あ゛あぁぁぁぁぁ……ッ!!!!」
精子の一滴まで残らず注ぎ込もうとするかのようにぐりぐりと剛直でナカを掻き回され、何度も達しているかのような快感の連続にエドモンの意識は飲み込まれていった。
(ノンノワールの絶頂、最高過ぎる……)
◆
「殿下ぁ、もっと、もっと下さい……ッ!」
一週間もすると、叔父上もすっかり従順になった。
自分から腰を振って、なんて可愛らしいのだろう。
「殿下ぁ……」
叔父上は潤んだ瞳で見つめる。
でも、一つだけ気にかかることが。
「叔父上、そろそろ僕のことを名前で呼んでくれないんですか?」
「う。だ、だって……」
叔父上はすいと目を逸らす。
どうやら叔父上は行為の最中に叔父上と呼ばれることに病みつきになってしまったらしいのだ。
これは計算外だった。
……叔父上に名前で呼ばれたいのに。
一体全体どこで何を間違えてしまったのだろう。
第二王子シメオストルは頭を悩ませたのであった。
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魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話
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前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。
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BL
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連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
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宜しかったらお付き合い下さいませ。
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婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
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