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第2章 王子様は低空飛行
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5月が終わっても、曽根からの連絡はなかった。
遠藤さんと一緒に夕飯に行ってから、もう2か月が経とうとしている。
私から連絡していいのかどうかも分からないまま、8月には吹奏楽部卒業生の飲み会が待っていた。
純からは、【曽根は来るつもりみたいだよ】と連絡があった。それは同時に、私も来る覚悟をしておけということだ。
曽根ともう一度、話しておきたい。そう思ったけど、やっぱり連絡をする勇気はない。
まんじりともしないまま、梅雨に入った。
その年の梅雨は、ずいぶん梅雨らしかった。
毎日毎日、雨、雨、雨。
薄暗い空としとしとと降り続ける雨は、私の気分を滅入らせた。
そんな中で連絡をくれたのは、やっぱり花音だった。
【結婚式シーズン終了! 会おうよ!】
私はほっと息をついて、花音と会うことにした。
***
花音とは年明けに一度会ったきりだ。3月に吹奏楽部の大会を聞きに行ってからは、連絡する気力もなかったことを思い出す。
「やっほー。愛里、どうしてたー? 曽根くんとは最近どうよ?」
会うなり私を茶化す気満々の花音に、苦笑を返す。
「あっれ。何かよくない感じ? なに、曽根くんに本命でもできちゃった?」
曽根に……本命。
そっか、そういう可能性もあったんだ。なんて、いまさらながら気づく。
少なくとも、私の男性遍歴に言葉を失ったのは確かだ。
こんなビッチにかかわってるなんて、嫌になったのかもしれない。
冷静に考えればそういう可能性だってあるのだと気づかされて、思わず遠い目になった。
花音が苦笑する。
「ま、とりあえずご飯しようよ。お腹すいたー」
待ち合わせたのは午後1時だけど、花音は朝が遅くて何も食べていないらしい。
選んだ店はいつものショッピングモールじゃなくて、駅の近くだった。
康広くんたちにばったり会った場所を避けてくれたのだろう。
「浮かない顔だね」
メニューをめくる私に、花音が優しく笑う。
私は苦笑して、「まあね」と返した。
花音には、何をどう話してもいいだろう。康広くんを悪者にしても、美晴ちゃんを悪者にしても、直接的な関係がないのだから気が楽ではある。
「そういや、こないだの元カレ、あの後なんか連絡寄こしたりした?」
ずばり言われて肩をすくめる。花音は「図星?」と口の端を上げた。
「愛里の話聞いてると相当に無神経な男だもんね。『俺の幸せを邪魔しないで』くらいのことは言いそう」
「そんなことは……言われてない、けど」
マスカラを綺麗につけた花音の目が私を見つめる。
私は苦い苦い笑顔で、続けた。
「彼女が……後輩が、私と仲良くしたいらしいから、仲良くしてやってくれ、って」
「うっわ、サイっテー」
まるで汚物を見たように顔をゆがめた花音が、低い声で言った。
自分では思っても口に出せなかったことを、花音は代わりに言ってくれる。
「ほんっと、自己チューな男だよね。マジ、愛里別れて正解じゃない? つか男見る目なかったよね。曽根くんの方が間違いなくいい男だし」
「な、なんでそこで曽根……」
「だって黙って傍にいてくれてるじゃん」
花音は言って、メニューを指さす。「私これ。愛里は?」と聞かれて、「同じのでいい」と答えると、手を挙げて店員さんを呼んでくれた。
「ランチAセット二つ。飲み物はアイスコーヒーで……いいよね?」
「うん」
「じゃ、お願いしまーす」
店員さんがオーダーを復唱して去っていくのを見送るのもそこそこに、花音は出されたお冷を口に運ぶ。
「だから、はやく告っちゃいなって。曽根くん」
「だからって何。どの部分に接続してるの」
「だって、その元カレ、またあんたの人生に出演しようとしてるんでしょ。もうお役御免ですよ、ってちゃーんと見せつけてやらなきゃ」
「見せつけるって……何を?」
困惑した私を見て、花音は白い歯でにかりと笑った。
「そりゃ、もう入り込む余地のないくらい、ラブラブな彼氏がいるからご心配なく、ってことを」
私は言葉を失った。
「……そ、そんなの……で、できるわけ」
「曽根くんならやってくれんじゃないのかなー。再会していきなりホテルに誘う女に黙って1年つき合ってくれる人だもん」
「ちょっ、か、花音、声、大きいっ……!」
笑いながら話す花音に、私は頬をほてらせて慌てて注意する。花音は楽し気に、「ほーらね。そんな可愛い反応するんだったら、素直に告白しちゃえばいいのよ」と笑う。
店員さんがセットのサラダを持ってきた。私と花音はそれを受け取り、フォークを手にそれをつつく。
「……他にも何かありそうね」
花音がサラダを咀嚼しながら、先を促すように言った。私は頷いて、サラダを一口。
噛んで飲み干した後、口を開いた。
「結婚、するんだって」
「……は」
花音が動きを止めた。中途半端な顔で止まって、笑いだす。
「マジか。そんなことまで言うの。最低すぎる」
「いや……うん……まあ……プロポーズするつもりだ、って本人から聞いて……」
「彼女よりも先に!? ありえない」
「だよね……しかもその後、彼女の方からプロポーズされたんだって……報告が」
花音の表情が引きつっている。「あんたどういう業のもとに生まれてきたのよ」と言われたけれど、そんなの私にどうこうできる話じゃない。
「私が在学中に元カレのこと気になってたのは、みんな知ってたから。さすがにもう時効だろうってみんな思ってるみたいだけど……」
実際のところ、康広くんと縒りを戻したいのかと聞かれれば間違いなく「違う」のだ。けれど、「憧れた人との初恋の思い出」と収めるにしては、私にとっては手痛い記憶になっている。
「で、披露宴に呼びますとでも言われたわけ?」
「まあ……それに近いことは」
私は言って、花音の顔色をうかがう。
「でも、披露宴より前に、お披露目されることになりそう」
「どういうこと?」
手短に純から聞いたパーティのことを話すと、花音はあきれ返った顔をした。
「で、オッケーしちゃったわけ?」
「だ、だって。それで断ったら、ほんとにまだ引きずってるみたいじゃない」
「実際、引きずってんじゃん」
「そうだけど……」
新しい恋に踏み出せないのは、手痛い失敗のせいだ。それが誰のせいかと言えば、もちろん康広くん以外いないわけで。
花音はむくれた顔でため息をついた。
「愛里ってほんと、誰も寄せ付けませんってファッションが好きな割に、お人よしっていうか、八方美人っていうか……」
思い当たる節はあるので何も言い返せずに黙り込む。
「ま、そこがいいところだけどさ。いつなの、そのパーティ」
「夏かな……って言ってる。多分、8月とか」
「8月ね」
花音は頷いて、スマホをタップした。私が戸惑いながら見つめていると、にやりと笑顔が返ってくる。
「そのパーティの前、うちの美容院に寄りなさい。花音ちゃんが特別仕様に仕立て上げてあげるから」
「えっーーえっ?」
私はうろたえた。
「で、でも。主役は二人なのに、勘違いしてるって思われたら」
「馬鹿ねぇ。だって愛里が行くってことは、曽根くんも行くってことなんでしょ。愛里ってばどーせいっつも、可愛げのない服しか着てないんだろうし、がっつり捕まえるチャンスじゃない。いーい、主役二人がどう、なんてのはオマケよ。あんたの本命は曽根くんなんだから、曽根くんにアピールするチャンスができたと思えばいいんだわ」
花音が指を振り振り言うと、なんだかそう考えるのも悪くない気がしてくる。冷静に考えれば無茶苦茶な論だろうけど、花音自身がそう確信して話しているからこそだろう。
花音は頬杖をついて笑った。
「愛里、勘違いしちゃ駄目だよ。誰かのために動く人なんてごくごくわずかなんだから。そのパーティ開こうって言った誰かさんも、久々にみんなと会うチャンスだからそう言ったわけでしょ。そんで、可愛くなった女子がいたら仲良くなっちゃおうっていう下心、見え見えじゃん。愛里だって自分のために利用していいの、利用できるものは」
「……じゃあ、花音は?}
「うん?」
「花音はどうして、私にいろいろ、親身になってくれるの?」
花音はきょとんとした後、笑いだす。
「曽根くんに振り回されてわたわたする愛里を見るのが楽しいから」
「な、何それ!」
「あはははは」
花音の笑いにつられて、私も笑った。
重くなっていた気分が一気に晴れて、少しだけ、いつもの自分を取り戻せるような気がした。
遠藤さんと一緒に夕飯に行ってから、もう2か月が経とうとしている。
私から連絡していいのかどうかも分からないまま、8月には吹奏楽部卒業生の飲み会が待っていた。
純からは、【曽根は来るつもりみたいだよ】と連絡があった。それは同時に、私も来る覚悟をしておけということだ。
曽根ともう一度、話しておきたい。そう思ったけど、やっぱり連絡をする勇気はない。
まんじりともしないまま、梅雨に入った。
その年の梅雨は、ずいぶん梅雨らしかった。
毎日毎日、雨、雨、雨。
薄暗い空としとしとと降り続ける雨は、私の気分を滅入らせた。
そんな中で連絡をくれたのは、やっぱり花音だった。
【結婚式シーズン終了! 会おうよ!】
私はほっと息をついて、花音と会うことにした。
***
花音とは年明けに一度会ったきりだ。3月に吹奏楽部の大会を聞きに行ってからは、連絡する気力もなかったことを思い出す。
「やっほー。愛里、どうしてたー? 曽根くんとは最近どうよ?」
会うなり私を茶化す気満々の花音に、苦笑を返す。
「あっれ。何かよくない感じ? なに、曽根くんに本命でもできちゃった?」
曽根に……本命。
そっか、そういう可能性もあったんだ。なんて、いまさらながら気づく。
少なくとも、私の男性遍歴に言葉を失ったのは確かだ。
こんなビッチにかかわってるなんて、嫌になったのかもしれない。
冷静に考えればそういう可能性だってあるのだと気づかされて、思わず遠い目になった。
花音が苦笑する。
「ま、とりあえずご飯しようよ。お腹すいたー」
待ち合わせたのは午後1時だけど、花音は朝が遅くて何も食べていないらしい。
選んだ店はいつものショッピングモールじゃなくて、駅の近くだった。
康広くんたちにばったり会った場所を避けてくれたのだろう。
「浮かない顔だね」
メニューをめくる私に、花音が優しく笑う。
私は苦笑して、「まあね」と返した。
花音には、何をどう話してもいいだろう。康広くんを悪者にしても、美晴ちゃんを悪者にしても、直接的な関係がないのだから気が楽ではある。
「そういや、こないだの元カレ、あの後なんか連絡寄こしたりした?」
ずばり言われて肩をすくめる。花音は「図星?」と口の端を上げた。
「愛里の話聞いてると相当に無神経な男だもんね。『俺の幸せを邪魔しないで』くらいのことは言いそう」
「そんなことは……言われてない、けど」
マスカラを綺麗につけた花音の目が私を見つめる。
私は苦い苦い笑顔で、続けた。
「彼女が……後輩が、私と仲良くしたいらしいから、仲良くしてやってくれ、って」
「うっわ、サイっテー」
まるで汚物を見たように顔をゆがめた花音が、低い声で言った。
自分では思っても口に出せなかったことを、花音は代わりに言ってくれる。
「ほんっと、自己チューな男だよね。マジ、愛里別れて正解じゃない? つか男見る目なかったよね。曽根くんの方が間違いなくいい男だし」
「な、なんでそこで曽根……」
「だって黙って傍にいてくれてるじゃん」
花音は言って、メニューを指さす。「私これ。愛里は?」と聞かれて、「同じのでいい」と答えると、手を挙げて店員さんを呼んでくれた。
「ランチAセット二つ。飲み物はアイスコーヒーで……いいよね?」
「うん」
「じゃ、お願いしまーす」
店員さんがオーダーを復唱して去っていくのを見送るのもそこそこに、花音は出されたお冷を口に運ぶ。
「だから、はやく告っちゃいなって。曽根くん」
「だからって何。どの部分に接続してるの」
「だって、その元カレ、またあんたの人生に出演しようとしてるんでしょ。もうお役御免ですよ、ってちゃーんと見せつけてやらなきゃ」
「見せつけるって……何を?」
困惑した私を見て、花音は白い歯でにかりと笑った。
「そりゃ、もう入り込む余地のないくらい、ラブラブな彼氏がいるからご心配なく、ってことを」
私は言葉を失った。
「……そ、そんなの……で、できるわけ」
「曽根くんならやってくれんじゃないのかなー。再会していきなりホテルに誘う女に黙って1年つき合ってくれる人だもん」
「ちょっ、か、花音、声、大きいっ……!」
笑いながら話す花音に、私は頬をほてらせて慌てて注意する。花音は楽し気に、「ほーらね。そんな可愛い反応するんだったら、素直に告白しちゃえばいいのよ」と笑う。
店員さんがセットのサラダを持ってきた。私と花音はそれを受け取り、フォークを手にそれをつつく。
「……他にも何かありそうね」
花音がサラダを咀嚼しながら、先を促すように言った。私は頷いて、サラダを一口。
噛んで飲み干した後、口を開いた。
「結婚、するんだって」
「……は」
花音が動きを止めた。中途半端な顔で止まって、笑いだす。
「マジか。そんなことまで言うの。最低すぎる」
「いや……うん……まあ……プロポーズするつもりだ、って本人から聞いて……」
「彼女よりも先に!? ありえない」
「だよね……しかもその後、彼女の方からプロポーズされたんだって……報告が」
花音の表情が引きつっている。「あんたどういう業のもとに生まれてきたのよ」と言われたけれど、そんなの私にどうこうできる話じゃない。
「私が在学中に元カレのこと気になってたのは、みんな知ってたから。さすがにもう時効だろうってみんな思ってるみたいだけど……」
実際のところ、康広くんと縒りを戻したいのかと聞かれれば間違いなく「違う」のだ。けれど、「憧れた人との初恋の思い出」と収めるにしては、私にとっては手痛い記憶になっている。
「で、披露宴に呼びますとでも言われたわけ?」
「まあ……それに近いことは」
私は言って、花音の顔色をうかがう。
「でも、披露宴より前に、お披露目されることになりそう」
「どういうこと?」
手短に純から聞いたパーティのことを話すと、花音はあきれ返った顔をした。
「で、オッケーしちゃったわけ?」
「だ、だって。それで断ったら、ほんとにまだ引きずってるみたいじゃない」
「実際、引きずってんじゃん」
「そうだけど……」
新しい恋に踏み出せないのは、手痛い失敗のせいだ。それが誰のせいかと言えば、もちろん康広くん以外いないわけで。
花音はむくれた顔でため息をついた。
「愛里ってほんと、誰も寄せ付けませんってファッションが好きな割に、お人よしっていうか、八方美人っていうか……」
思い当たる節はあるので何も言い返せずに黙り込む。
「ま、そこがいいところだけどさ。いつなの、そのパーティ」
「夏かな……って言ってる。多分、8月とか」
「8月ね」
花音は頷いて、スマホをタップした。私が戸惑いながら見つめていると、にやりと笑顔が返ってくる。
「そのパーティの前、うちの美容院に寄りなさい。花音ちゃんが特別仕様に仕立て上げてあげるから」
「えっーーえっ?」
私はうろたえた。
「で、でも。主役は二人なのに、勘違いしてるって思われたら」
「馬鹿ねぇ。だって愛里が行くってことは、曽根くんも行くってことなんでしょ。愛里ってばどーせいっつも、可愛げのない服しか着てないんだろうし、がっつり捕まえるチャンスじゃない。いーい、主役二人がどう、なんてのはオマケよ。あんたの本命は曽根くんなんだから、曽根くんにアピールするチャンスができたと思えばいいんだわ」
花音が指を振り振り言うと、なんだかそう考えるのも悪くない気がしてくる。冷静に考えれば無茶苦茶な論だろうけど、花音自身がそう確信して話しているからこそだろう。
花音は頬杖をついて笑った。
「愛里、勘違いしちゃ駄目だよ。誰かのために動く人なんてごくごくわずかなんだから。そのパーティ開こうって言った誰かさんも、久々にみんなと会うチャンスだからそう言ったわけでしょ。そんで、可愛くなった女子がいたら仲良くなっちゃおうっていう下心、見え見えじゃん。愛里だって自分のために利用していいの、利用できるものは」
「……じゃあ、花音は?}
「うん?」
「花音はどうして、私にいろいろ、親身になってくれるの?」
花音はきょとんとした後、笑いだす。
「曽根くんに振り回されてわたわたする愛里を見るのが楽しいから」
「な、何それ!」
「あはははは」
花音の笑いにつられて、私も笑った。
重くなっていた気分が一気に晴れて、少しだけ、いつもの自分を取り戻せるような気がした。
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