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13. 生け贄から恋人…って?

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 目を開けるとすぐ目の前に美しい神様のお顔があり、声を出しそうになりましたが何とか堪えました。

 ???

 私は幽霊になっても神様と一緒にいれるのでしょうか。

 昨日、神様に味見をしてもらい…眠りについた後に食べてくださった…はずですよね?

 私は自分の頬をつねってみました。

「痛い…」

 幽霊になっても痛みはあるのかしら?幽霊になったのは初めてなのでわかりません。

 …でも、神様と一緒に過ごせるなら嬉しいです。

 私はそっと神様のお顔に手を伸ばして頬に触れました。

 幽霊になったら神様には見えないのかしら?

 それは、少し寂しい気がするような…。

「どうしたの…」

 神様が頬にあてていた手の上からご自分の手を重ねて私を見て微笑まれています。

「あ…見えるのですか?」

「うん?」

 神様が不思議そうな顔をしていらっしゃいますが、私には神様に私が見えているかどうかが重要なのです。

「え!…なるほどね。アクア、君は死んでいないよ。幽霊じゃないからね。しっかり見えているよ」

 どうして私が考えていた事がわかったのでしょうか?

「神様だからね」

 神様は、私の頭を優しくポンポンとした後、ギュッと抱きしめてくれましたが、どういうことなのでしょうか。

「それにねアクア…君はもう生け贄ではないんだよ」

 生け贄ではない?

 どうしてですか?

 私が生け贄として神様に食べていただかないと皆様が幸せになることができないのではないのですか?

 もしかして…味見をしていただいた結果、美味しくなかったのでしょうか。

 そんな…。

 皆様に申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

「また変な事を考えているね…。ねぇ、アクア…皆様の幸せは置いといて、アクアの幸せはどこにあるの?」

 私の幸せ…?

「私は皆様のお役にたてる事が幸せです」

 …それ以外にありません。

 私はずっとそう教えられて生きてきたのです。

「アクア…自分が幸せにならないと周りの人も幸せにならないよ。誰かの犠牲の上にある幸せは脆い…。一瞬の幸せにすぎないよ」

 自分が幸せになる?

「私といてアクアは幸せかな?」

 神様の親指が私の唇に優しく触れています。

「幸せ…だと思います」

 神様にお会いして食べていただく事が私の願いでしたから。食べてはいただけませんでしたが…。

「アクア…食べるって意味が違うかもね」

 神様は私の思考を読んでいらっしゃるのですね!

「食事をするように食べるのではないよ。アクアは神と契りを結んだから、神に召された(食べられた)ということになるんだ」

「え?!契りを結ぶ?私は神様に食べていただけたのですか?」

 どういうことなのでしょうか。さっぱりわかりません。

「昨日の行為が契りを結ぶことだよ。アクアはもう天界で暮らすことになるんだ。私の恋人としてね」

「私が神様の恋人ですか…?」

 生け贄から恋人と呼び方が変わるのですか?

 そんなのありなんでしょうか?

「ありなんだよ」

 唇に触れていた親指が私の顎を持ち上げて神様の唇が私に触れます。

「これはね、恋人の証だよ。昨日の行為もね。私はアクアの事が好きだし、アクアも私の事が好きだよね」

「…はい」

 頭が錯乱しています。

 確かに神様の事は好きです…が恋人?

 恋人って?

「神様…無理です」

「え?!」

 私には理解できません!

 

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