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63. 治療
しおりを挟む「え…君が治療を知っている?」
保健室に到着した僕は意識を失った先生達を見ていたお医者様と話をした。お医者様は疑っている様子で僕の事を上から下までじろじろと見ている。
まあ、子供の言うことをすんなりと信じてくれる人の方が少ないよね。
「はい。僕の一族に伝わる秘伝があって…。だから、多分大丈夫だと思います」
「多分?」
「意識を取り戻す方法は知っていますが実際にやった事はないので…多分としか言いようが無いのです」
お医者様は黙って僕を見つめていた。
「それは違法な薬物を使うとかではないだろうね?」
真剣な表情で聞いてくるけど、学生がそんな薬物を持っているはずないよね!
「そんなものは持っていませんし、使いません!」
失礼しちゃうよ!僕は真面目な学生です!
その時、お医者様の隣にいた助手らしき男性が口を開いた。
「先生…色んな方法を試しましたが今だに目を覚ましそうな傾向は見られません。ここは1つやらせてみてはいかがですか?」
ナイス助言だよ、助手さん!
でも、お医者様は腕を胸の前で組んで頭を左右に振りながら悩んでいるみたいだ。
「あの…早くしないと目が覚めなくなってしまいませんか?僕の一族にはそう伝えられていますけど…」
お医者様がパッと顔を上げて僕を見た。
「そんなことまで書いてあるのか…」
顔を上げたお医者様は助言さんとこそこそと話をし始めた。何気に僕の方をチラリと見てくるのは止めてほしいな。
「こほんっ。…30分だけ時間をあげるから、その一族に伝わる方法とやらをやってみなさい」
「ありがとうございます!」
「良かったですね、先生。では早速治療ですね」
先程まで僕の後ろで黙って見ていたグリモアさんが調子よく話しかけてくる。いや、助けてくれても良かったよね?
「先生は止めてください!それに保健室から今すぐに出て行って下さいね」
「え!それは困る。治療を見せてもらいたい!」
グリモアさんが食い下がってくるけど、僕の身体を身体強化して保健室から押し出して鍵をかけた。
これは一族の秘伝だと言ってあるから後で何かを言われても言い訳はできる。それに今からする治療は人に見られたくないんだよね。
僕は先生達の寝ているベッドに近づいた。
まだ苦しそうな表情は見られない。ブルーブラッドの花の怖いところは意識を失うだけではなく、悪夢を見せたりすることもあるみたい。そこまでいくと意識を取り戻すのは難しくなるみたいなんだ。
僕は少しだけホッとした。
いけない…ホッとしている場合じゃないか、早くしないとね。
僕は自分に気合いをいれて、自分の指を噛んだ。
出てきた血を先生達の口の中に垂らした。
そう、治療…と言うか治療薬はドラキュラ一族の血液らしいんだ。
不思議だよね?なぜ僕達一族の血液なんだろう?帰ったらヴァン様にそれとなく聞いてみようかな。
「あっ!」
意識を失っていた先生の顔色が良くなってきてた。口が動いてるよ!
僕は保健室から出て外にいる人達に報告をした。
「…見たかった」
1人…絶望的な顔をしたグリモアさんを覗いて、他の人達は喜んでくれた。
あとはウルだ!
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