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62. 治療薬
しおりを挟む「なるほど…そんな作用があるのか…」
見知らぬ大人…さっき名前を聞いたグリモアさんが僕の嘘の話に納得してくれたみたい。
「だから、早くここから離れましょう!」
僕はグリモアさんの腕を引っ張ってブルーブラッドの花から遠ざけようとした。
「わかった、わかったから腕を離してくれ」
グリモアさんはブルーブラッドの花を気にしながらも少し離れた場所に移動してくれた。
僕がグリモアさんに言った嘘の話…「僕の先祖が書き残した秘伝の書があって、その中にブルーブラッドの花の近くにいると意識を失うと書いてあった」と話したんです。
疑われるかな~と思ってドキドキしていましたが、グリモアさんは信じてくれたみたいです。多分…秘伝の書と言うのが良かったのかな?
「しかし、良いのか?一族の秘伝なのに私に教えてしまって」
グリモアさんは完全に信じてくれているんだね。
「人の命が優先です。意識を戻す方法も知っているので先生達に言いに行った先にグリモアさんに出会って…」
辻褄はあっているよね。
「そうか…それはすまなかった!」
グリモアさんは頭を深々と下げて僕に謝ってくれた。
「いえ、もう良いです。それより学校に戻っても良いですか?」
早くウルと先生達の意識を戻さないと!
「お願いがあるのだが…。その治療に私も付き添わせてくれないだろうか?私は国の研究所で働いていて、ブルーブラッドの花について調べているのだ。今回の事はぜひ記録に残したい!」
うわぁ~、目が少年の様にキラキラに輝いてるよ。研究が大好きって感じだな。別に本当に秘伝のわけではないし、これは人に知ってもらった方が良いと思うしな。
「良いですよ」
「本当か!感謝する!!!」
僕の手を物凄い力で握り締めて思い切り上下に振ってくれている。…何かデジャブだよ。
「え…と、急ぎましょうか」
「はい!先生!!」
ん?
「あの~僕は先生ではないのでその呼び方は止めてください」
「いえ、私にとっては教えて頂く先生ですから。そこは譲れません」
やっぱり変わった人だな…。でもここで言い争っている時間がもったいないから放っておこう。
「好きなようにしてください…」
人生は諦めも大事って誰かが言っていたな。
「はい!好きにします。ところで先生、治療に必要な物は全部揃っているんですか?」
それだ!実は鑑定して意識を戻すために必要な治療薬に使う材料を見て驚いたんだよ。
だって材料の中に僕達、ドラキュラ一族に関係している物があったんだ!
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