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「魔術の訓練だ。物忘れが激しいな。」
「ぁ。」
「訓練とは言っても現状どのくらい操れるかの確認と、まあ属性がわかればそれくらいでいいとは思っている。」
「おっしゃぁああ!!やっと俺も!魔術!!魔導士!!」
「だから落ち着け。そもそも私も誰かに力を分けるのはそんなに経験がないから、加減を間違えるかもしれん。全く魔力のないお前に巨大な力を送り込んだら体が受け入れられない可能性が高い。億が一使えたとしてもかなりちゃちでしょぼいことしかできないはずだ。そんなに期待するな。」
「わかったわかった、御託はいいから早く教えろよ!」
「いいか、まず左手を前に突き出せ。握りしめるな、手を開け。」
俺は言われた通りに左腕を前に伸ばした。
「左手に集中しろ、特に紋様だ。なぞるように強く念じろ。」
「何を念じればいいんだよ。」
「何でもいい、無心でもいい。とにかく紋様に集中しろ。」
念じろったって。俺はどうしたらいいかわからず、昨日食べたカレーのことを念じながら、とにかく左手に全神経を集中させる。
「いいか、そのまま。行くぞ。」
紋様がドクドクと疼くのがわかった。おそらく、イサゴの力がなだれ込んで来てるんだ。その瞬間、ぶわっと突風が渦を巻いて這い上がった。俺は無我夢中で、左手の紋様を見つめ続けてた。その風に乗って大量の桜の花びらが巻き上がって俺を包む。体がゾクゾクする、力を入れていないと全身震えて立っていられない。服や髪が強い風でたなびき、桜の花びらは竜巻きのように何メートルも高く荒れ狂う。
これが俺の力、なのか……?
「痛っ、いででででで!!」
強い衝動に飲まれそうになる。しかし、突如左手に激痛が走り、俺は思わず腕を下げた。すぅっと風が止み、桜の花びらが散り落ちた。くそ、またかよ!いいところだったのに!!
「おい、イサゴ何すんだよ!今いい感じだっただろうが!って、おい。大丈夫かイサゴ。」
イサゴは青ざめた顔で俺の横に座り込んでいた。俺はすぐさまイサゴに駆け寄った。
「イサゴ、顔色悪いぞ。」
「悪い、前言撤回する。お前、とんでもないな。」
「は?」
「巨大な力を体が受け入れられないどころか、私の力を吸い取ろうとしたぞ、お前。」
「そんなこと、してない!」
「無意識なんだろうな、危なかった。少し力を送り込むと、無限とも思えるほどに力を吸収しようとする。私の意思ではどうにもならないくらい強い吸収力でな。」
「ぁ。」
「訓練とは言っても現状どのくらい操れるかの確認と、まあ属性がわかればそれくらいでいいとは思っている。」
「おっしゃぁああ!!やっと俺も!魔術!!魔導士!!」
「だから落ち着け。そもそも私も誰かに力を分けるのはそんなに経験がないから、加減を間違えるかもしれん。全く魔力のないお前に巨大な力を送り込んだら体が受け入れられない可能性が高い。億が一使えたとしてもかなりちゃちでしょぼいことしかできないはずだ。そんなに期待するな。」
「わかったわかった、御託はいいから早く教えろよ!」
「いいか、まず左手を前に突き出せ。握りしめるな、手を開け。」
俺は言われた通りに左腕を前に伸ばした。
「左手に集中しろ、特に紋様だ。なぞるように強く念じろ。」
「何を念じればいいんだよ。」
「何でもいい、無心でもいい。とにかく紋様に集中しろ。」
念じろったって。俺はどうしたらいいかわからず、昨日食べたカレーのことを念じながら、とにかく左手に全神経を集中させる。
「いいか、そのまま。行くぞ。」
紋様がドクドクと疼くのがわかった。おそらく、イサゴの力がなだれ込んで来てるんだ。その瞬間、ぶわっと突風が渦を巻いて這い上がった。俺は無我夢中で、左手の紋様を見つめ続けてた。その風に乗って大量の桜の花びらが巻き上がって俺を包む。体がゾクゾクする、力を入れていないと全身震えて立っていられない。服や髪が強い風でたなびき、桜の花びらは竜巻きのように何メートルも高く荒れ狂う。
これが俺の力、なのか……?
「痛っ、いででででで!!」
強い衝動に飲まれそうになる。しかし、突如左手に激痛が走り、俺は思わず腕を下げた。すぅっと風が止み、桜の花びらが散り落ちた。くそ、またかよ!いいところだったのに!!
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「は?」
「巨大な力を体が受け入れられないどころか、私の力を吸い取ろうとしたぞ、お前。」
「そんなこと、してない!」
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