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番外編〈第一部 終了ボーナストラック〉
番外編 白百合館へようこそ! part1
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ある日の昼下がり。
「パロマ! ストォォォッ~プ!!」
私、カルゾ邸宅勤めのパロマ・アルバーニが使用人達のお茶の用意をしようとしていたら、何故か急に必死に呼び止められた。
私の目の前に立ち塞がったのは黒髪の背の高い執事。
「そこを離れなさい」
彼は必死の形相でお茶のワゴンを引ったくると、私を威嚇した。
「あら執事長、どうされましたの?」
とぼけて言う私。
あーあ、良いところだったのに。
またうるさいのが来ちゃった……内心、ガッカリよ。
「あなたが用意すると、ロクなことになりませんからね……」
「まぁ、不幸な偶然ですわ。こないだのお布団に描かれた見事な地図を、皆様にご披露された思い出話。興味深く拝聴いたしましたのに……ウフフ」
思わず先日混ぜた自白剤の効果を思い出して、私は思わず笑ってしまった。
「使用人で悪趣味な実験をすることは、ソーヴェ様に禁じられたハズですが」
そうなのよ。この執事に見つかってしまって、ご主人様に人体実験は禁じられてしまったの。つまらないこと。
調合した新薬を試すのが、私の密かな楽しみだったのに。
「まぁ……私。そんな事をした覚えはありませんわよ?」
「では、その後ろに隠した右手の小瓶は何です?」
上司のジト目に私は可愛く舌を出してみた。
「てへ?」
「可愛くないですよ、パロマ」
目の前の執事、ナルド・クラシコ。
年齢は30代半ば。オールバックにした髪をおろせば20代半ばでも通る実はイケメン。
それに一見細いけどみっちりと筋肉がついている、ここの使用人の中では断トツの戦闘力を誇る上司である。
力ずくではとても敵わない相手だ。
私は真顔で上司を見つめ、
「皆のために良かれと思ってやったんです。信じて下さい」
両手を組んで言ってみた。
「没収!」
ナルドさんはそんな私の手からすばやく瓶を取り上げた。
「あぁぁぁ!せっかく昨日、苦労して作ったイチゴミルク味なのに……」
ガックリとうなだれる私。
自信作だったのよ。女子が喜んで口に入れるところ、見たかったわ……。
「で? この中身は何です? また自白剤や催眠剤系ですか?」
追及しますね、執事様。
「……感覚を数倍にする媚薬です。勝手に使わないで下さいね。容量を守らないと身体に悪いですから」
「また、そんなものを貴女は私達に盛るつもりだったのですか……?」
「まぁ、未遂ですし。それにこれ、それほど害はありませんよ?」
「そういう問題ではありません!これはソーヴェ様に報告しておきます」
「え~。今度やったら、私。減給って言われているんです。お願いします。見逃して下さい!」
「……今度だけですよ?」
やった! さすが女子には甘いナルドさん。
「じゃ、私も白百合館に用事がありますから、このお茶はついでに私が持っていきますね」
ナルドさんは私たちメイドが寝起きする使用人棟、通称 白百合館へワゴンを押して歩き出した。
「えっ、いや。それは私が」
「貴女に持っていかせると心配ですから」
「部下なのに信用ないですね~」
「はい」
キッパリとナルドさんはそう断言して、白百合館と本館をつなぐ廊下に消えていった。
いやぁ。
失敗失敗。
私はその後ろを見送りながら呟いた。
……発情効果バリバリの催淫剤はミルクに混ぜそこなったけど、お菓子の方はバレなかったみたいね。
ちなみにお菓子の方はレモン味。
だから今回はレモンパイに混ぜてみたわ。
……ほら、ファーストキスはレモンの味っていうでしょ?
ウフフフ……。
さて、あとで薬の効き具合。確かめにいってみようっと。
「パロマ! ストォォォッ~プ!!」
私、カルゾ邸宅勤めのパロマ・アルバーニが使用人達のお茶の用意をしようとしていたら、何故か急に必死に呼び止められた。
私の目の前に立ち塞がったのは黒髪の背の高い執事。
「そこを離れなさい」
彼は必死の形相でお茶のワゴンを引ったくると、私を威嚇した。
「あら執事長、どうされましたの?」
とぼけて言う私。
あーあ、良いところだったのに。
またうるさいのが来ちゃった……内心、ガッカリよ。
「あなたが用意すると、ロクなことになりませんからね……」
「まぁ、不幸な偶然ですわ。こないだのお布団に描かれた見事な地図を、皆様にご披露された思い出話。興味深く拝聴いたしましたのに……ウフフ」
思わず先日混ぜた自白剤の効果を思い出して、私は思わず笑ってしまった。
「使用人で悪趣味な実験をすることは、ソーヴェ様に禁じられたハズですが」
そうなのよ。この執事に見つかってしまって、ご主人様に人体実験は禁じられてしまったの。つまらないこと。
調合した新薬を試すのが、私の密かな楽しみだったのに。
「まぁ……私。そんな事をした覚えはありませんわよ?」
「では、その後ろに隠した右手の小瓶は何です?」
上司のジト目に私は可愛く舌を出してみた。
「てへ?」
「可愛くないですよ、パロマ」
目の前の執事、ナルド・クラシコ。
年齢は30代半ば。オールバックにした髪をおろせば20代半ばでも通る実はイケメン。
それに一見細いけどみっちりと筋肉がついている、ここの使用人の中では断トツの戦闘力を誇る上司である。
力ずくではとても敵わない相手だ。
私は真顔で上司を見つめ、
「皆のために良かれと思ってやったんです。信じて下さい」
両手を組んで言ってみた。
「没収!」
ナルドさんはそんな私の手からすばやく瓶を取り上げた。
「あぁぁぁ!せっかく昨日、苦労して作ったイチゴミルク味なのに……」
ガックリとうなだれる私。
自信作だったのよ。女子が喜んで口に入れるところ、見たかったわ……。
「で? この中身は何です? また自白剤や催眠剤系ですか?」
追及しますね、執事様。
「……感覚を数倍にする媚薬です。勝手に使わないで下さいね。容量を守らないと身体に悪いですから」
「また、そんなものを貴女は私達に盛るつもりだったのですか……?」
「まぁ、未遂ですし。それにこれ、それほど害はありませんよ?」
「そういう問題ではありません!これはソーヴェ様に報告しておきます」
「え~。今度やったら、私。減給って言われているんです。お願いします。見逃して下さい!」
「……今度だけですよ?」
やった! さすが女子には甘いナルドさん。
「じゃ、私も白百合館に用事がありますから、このお茶はついでに私が持っていきますね」
ナルドさんは私たちメイドが寝起きする使用人棟、通称 白百合館へワゴンを押して歩き出した。
「えっ、いや。それは私が」
「貴女に持っていかせると心配ですから」
「部下なのに信用ないですね~」
「はい」
キッパリとナルドさんはそう断言して、白百合館と本館をつなぐ廊下に消えていった。
いやぁ。
失敗失敗。
私はその後ろを見送りながら呟いた。
……発情効果バリバリの催淫剤はミルクに混ぜそこなったけど、お菓子の方はバレなかったみたいね。
ちなみにお菓子の方はレモン味。
だから今回はレモンパイに混ぜてみたわ。
……ほら、ファーストキスはレモンの味っていうでしょ?
ウフフフ……。
さて、あとで薬の効き具合。確かめにいってみようっと。
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