89 / 150
番外編〈第一部 終了ボーナストラック〉
番外編 カイロス時間~part6 これから出逢う恋?
しおりを挟む
『こうして、戦国の世の悲恋は二人の強い絆によって……』
「こら、適当なナレーション入れてしめようとするんじゃねーよ、作者!」
俺が突っ込みをいれたところで、世界がグニャリグニャリと曲がっていき……。
パチパチパチ……。
「やぁ、おかえり」
また気がつくと、真っ白な世界でカイロスと名乗っていた男がニコニコとして手をたたいていた。
「楽しめたかい?」
「全然。なんだこの酷い世界は」
「おや、お気に召さなかった?」
「いつもと対して変わらん世界だった」
「それは君らがどこにいっても変わらない、ってことだよ。かわらぬ友情?」
「そんなもんあるか!」
「まぁまぁ、僕が出してあげなかったら、あそこが君の現実なんだよ?」
「異次元の時を弄って何が面白いんだ?」
「そうだね、僕は退屈してるんだ。本当は君みたいなスカしたヤツが、環境を変えられて動揺するところを見たかったんだけど?」
「それはご期待に添えず悪かったな」
「あと一つ残念な事は、君に今回、運命の相手に逢わせてあげられなかったことかな?」
「は?」
「ほら、君の許嫁」
「一体誰のことだ?」
「すぐに逢えるよ。彼女が君の運命の人なのは何処へいっても変わらない。はじまっていない恋だということもね……」
「恋……?誰と?」
「さぁ、ね。それを言ったらつまらないや。せいぜい悩むことだね。さて、もう帰してあげるよ。君も退屈している面白くもない元の世界へ……」
紫色の瞳がギラリと光ったかと思うと白い世界の足元が突如消え去り、俺は闇に堕ちていった。
§§§
「大丈夫?」
心配そうにアルトがのぞきこんでいた。
「夢……か?」
「ずいぶんうなされていたみたいだけど?」
夢の中と同じ少女のような可愛い顔でアルトが俺を見つめる。
「あぁ、みょーな夢を見たんだ」
「夢?」
「聞きたいか?ヴィンセントがお前を追っかけまわす話…」
「いや、遠慮。正夢になったら困るし」
ハハハ……。
この夢はリツコと同じ、一種の異世界転移だったのだろうか。
そうだとしたら、本当に何処かに俺の許嫁、運命の人がいるのか?
……いや。考えまい。所詮、夢の話だ。
「運命の恋……か」
俺は自分にとって、一番縁遠いところにある感情を思って呟いた。
〈おしまい〉
「こら、適当なナレーション入れてしめようとするんじゃねーよ、作者!」
俺が突っ込みをいれたところで、世界がグニャリグニャリと曲がっていき……。
パチパチパチ……。
「やぁ、おかえり」
また気がつくと、真っ白な世界でカイロスと名乗っていた男がニコニコとして手をたたいていた。
「楽しめたかい?」
「全然。なんだこの酷い世界は」
「おや、お気に召さなかった?」
「いつもと対して変わらん世界だった」
「それは君らがどこにいっても変わらない、ってことだよ。かわらぬ友情?」
「そんなもんあるか!」
「まぁまぁ、僕が出してあげなかったら、あそこが君の現実なんだよ?」
「異次元の時を弄って何が面白いんだ?」
「そうだね、僕は退屈してるんだ。本当は君みたいなスカしたヤツが、環境を変えられて動揺するところを見たかったんだけど?」
「それはご期待に添えず悪かったな」
「あと一つ残念な事は、君に今回、運命の相手に逢わせてあげられなかったことかな?」
「は?」
「ほら、君の許嫁」
「一体誰のことだ?」
「すぐに逢えるよ。彼女が君の運命の人なのは何処へいっても変わらない。はじまっていない恋だということもね……」
「恋……?誰と?」
「さぁ、ね。それを言ったらつまらないや。せいぜい悩むことだね。さて、もう帰してあげるよ。君も退屈している面白くもない元の世界へ……」
紫色の瞳がギラリと光ったかと思うと白い世界の足元が突如消え去り、俺は闇に堕ちていった。
§§§
「大丈夫?」
心配そうにアルトがのぞきこんでいた。
「夢……か?」
「ずいぶんうなされていたみたいだけど?」
夢の中と同じ少女のような可愛い顔でアルトが俺を見つめる。
「あぁ、みょーな夢を見たんだ」
「夢?」
「聞きたいか?ヴィンセントがお前を追っかけまわす話…」
「いや、遠慮。正夢になったら困るし」
ハハハ……。
この夢はリツコと同じ、一種の異世界転移だったのだろうか。
そうだとしたら、本当に何処かに俺の許嫁、運命の人がいるのか?
……いや。考えまい。所詮、夢の話だ。
「運命の恋……か」
俺は自分にとって、一番縁遠いところにある感情を思って呟いた。
〈おしまい〉
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】
僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。
※他サイトでも投稿中

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

あなたを忘れる魔法があれば
美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。
ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。
私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――?
これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような??
R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います
下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。
御都合主義のハッピーエンドです。
元鞘に戻ります。
ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。
小説家になろう様でも投稿しています。

どーでもいいからさっさと勘当して
水
恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。
妹に婚約者?あたしの婚約者だった人?
姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。
うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。
※ザマアに期待しないでください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる