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第二部
第4話 彼女は中二病!?
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「うわ、なんだ??……お前、もしかして貴族か富豪なのか?」
マルサネと名乗った化粧っ気もなく、要するに若いのにかなり地味に映る娘は、室内を暫くモノ珍しそうにキョロキョロと眺めていたかと思うと、何かを見つけたらしく驚いた声をあげた。
「何?どういうこと?」
その素っ頓狂な声に、お茶の準備をしていた俺は危うくカップを取り落としそうになった。
「何でって……こんなデカいモニター、大公宮でも見たことないぞ?」
「は?モニター?大公宮?」
この不思議なモンチッチ娘の言うことはサッパリ分からない。
「これ、これだよ」
マルサネと名乗った娘がしきりに指差す先にあるのは、テレビ?
「あぁ、ちょっとデカいかもしれないな」
姉ちゃんがリビングには大きいのが良い!って喚いて、彼女の初ボーナスで奮発して新しい65型のテレビを買ったのだった。
「ちょっとじゃないだろー?そっかぁ、リツコもお前も何だか冴えない庶民かと思ったが、実は凄い大富豪だったのかぁ」
何か、母さんごと悪口を言われたような気がするんだけど、本人が感心しきりにテレビを見てるもんだから、悪意があるようにも思えない。
「そんな珍しいのか?テレビが」
テレビぐらいで大富豪とは、どこの国からやってきたのだろう。
母さんが仕事で支援している関係の娘なのかな?確か、前に最近アジア圏から来日して、色々困ってる人が増えてきたって言ってたっけ。テレビがあんまり普及していない国の出身なんだろうか……?
「テレビ?何だそれ」
キョトンとして、マルサネが言った。
「もしかしてテレビ、って見たことがないのか?ほい、好きなだけ見ていいぞ」
ちょっと可哀想になって俺はリモコンを渡した。
「このモニターのことはテレビというのか」
俺に渡されたリモコンを物珍しそうにマルサネは眺めていた。
あ、電源とかpowerって英語読めないのかな?
「こんなキーボードは初めて見たな。まぁ、大体あたしは機械は苦手だから殆ど触ったことはないんだが……」
マルサネはチャンネルボタンの上に指を滑らせて言った。
惜しい!赤い一番上のボタンを押さないとつかないんだな~。
真剣な顔をしてテレビのリモコンをいじくり回しているマルサネを見ていたら、何だか俺は吹き出しそうになった。
……なんだコイツ。面白えヤツ。
リモコン振ったって、片目で見たって点きはしねーよ。
あっ、うわぁ、囓ってるし!
野生児……?
キーボードって言ってたから、デスクトップのパソコンは見たことがあるんだろうな。
まぁ、最近はタブレットやスマホがあればテレビは殆ど見ない家庭も増えているらしいけど、コイツの家には当てはまらないだろ……。
「貸してみ」
俺はサイドテーブルに紅茶を置くと、マルサネからリモコンを受け取った。
さっき、彼女が囓りついた所をオシボリでさりげなく拭くと電源ボタンを押してテレビの電源を入れた。
パッとCM画面になり、シン!としていた部屋が一気に賑やかになる。
「わぁ」
マルサネは幼女のように破顔した。
「そっか、そこを押せばいいのか!」
マルサネは感心したように小さく手を叩いた。
本当に小さい女の子がそのまま大きくなったような、仕草だった。
おかげで無防備な笑顔になんだか、この地味な娘が俺はちょっとかわいく見えてしまった。ムム……動物的な可愛さだが。
「お茶、入ったよ。どうぞ」
俺はマルサネにお茶をすすめた。
「やった!」
「あ、まだ熱いから気をつけて……」
マルサネはさっきのように野生児さながらイッキ飲みをしてしまうかと思って慌てて注意したんだけど……。
意外なことにカップを持ってお茶を啜る姿は、何だか背中もピンとして優雅な、無理をした様子もなく自然な振る舞いで俺はとまどってしまった。
人前で飲み慣れてる?
そんな感じがした。
「初めて飲む味だ。あたしは好きだな。なんていうお茶だ?」
マルサネは大きな瞳を輝かせて俺に質問をした。
「普通のダージリンだけど」
「へぇ、旨いな。本当に甘ったるいフルーツフレーバー続きで飽き飽きしてたんだ」
お茶の文化のある国なのかなぁ?
一体、何処だろう?セイロン……東アジアとかかなぁ……。
「身体は温まってきたか?」
「あぁ」
「そろそろ、本題いいか?」
「ん?」
「母さんはどこだ?あんたはどこの国から来たんだ?どうやってここへ入ったんだ?」
俺は矢継ぎ早にマルサネに質問を浴びせかけた。
「ふーん。奏大、お前は育ちの良いお坊ちゃんなんだな」
マルサネは質問には答えず、何故かあっけらかんとそう言った。
「は?」
「イヤ、あたしなら聞きたいことがあったら即、力ずくで聞き出すぞ。のんびりお茶なぞ出す前に。さぞや、リツコと一緒にボケッと苦労なく暮らしてたのだなと思って」
ニコニコとしながらマルサネは言った。
だから、やっぱりさっきから母さんごと俺も何か失礼なコト言われてるよね?
「は?力ずく?例えば?」
「まぁ、暗器で脅したり、関節を外しても指を折っても良いし?相手によっては毒を使っても……かもな。あたしは苦手な分野だけど」
「は?暗器……?毒?何の話……?ゲームか何かの攻略??」
「ん?ゲーム?何かの試合か?」
俺に聞き返されて、マルサネはきょとんととしていた。
指を折るとか毒とか…… 正気か?イマドキ、そんな中世の拷問のような発想……何処の時代だっていうの。犯罪だよ、犯罪。
あぁ、ひょっとしなくてもあれか。中二病ってヤツ?
ゲームの世界と現実が区別ついていないのかも……。
確か、母さんが言ってた。痴呆症のご老人とか相手にする時は、相手の話が妄想でも否定しちゃダメよって。
外国人で中二病かぁ。
……世界はグローバルだなぁ。
俺は進まない会話に何だか疲れて、気分を落ち着けようとお茶請けのクッキーを口の中に放り込んだ。
マルサネと名乗った化粧っ気もなく、要するに若いのにかなり地味に映る娘は、室内を暫くモノ珍しそうにキョロキョロと眺めていたかと思うと、何かを見つけたらしく驚いた声をあげた。
「何?どういうこと?」
その素っ頓狂な声に、お茶の準備をしていた俺は危うくカップを取り落としそうになった。
「何でって……こんなデカいモニター、大公宮でも見たことないぞ?」
「は?モニター?大公宮?」
この不思議なモンチッチ娘の言うことはサッパリ分からない。
「これ、これだよ」
マルサネと名乗った娘がしきりに指差す先にあるのは、テレビ?
「あぁ、ちょっとデカいかもしれないな」
姉ちゃんがリビングには大きいのが良い!って喚いて、彼女の初ボーナスで奮発して新しい65型のテレビを買ったのだった。
「ちょっとじゃないだろー?そっかぁ、リツコもお前も何だか冴えない庶民かと思ったが、実は凄い大富豪だったのかぁ」
何か、母さんごと悪口を言われたような気がするんだけど、本人が感心しきりにテレビを見てるもんだから、悪意があるようにも思えない。
「そんな珍しいのか?テレビが」
テレビぐらいで大富豪とは、どこの国からやってきたのだろう。
母さんが仕事で支援している関係の娘なのかな?確か、前に最近アジア圏から来日して、色々困ってる人が増えてきたって言ってたっけ。テレビがあんまり普及していない国の出身なんだろうか……?
「テレビ?何だそれ」
キョトンとして、マルサネが言った。
「もしかしてテレビ、って見たことがないのか?ほい、好きなだけ見ていいぞ」
ちょっと可哀想になって俺はリモコンを渡した。
「このモニターのことはテレビというのか」
俺に渡されたリモコンを物珍しそうにマルサネは眺めていた。
あ、電源とかpowerって英語読めないのかな?
「こんなキーボードは初めて見たな。まぁ、大体あたしは機械は苦手だから殆ど触ったことはないんだが……」
マルサネはチャンネルボタンの上に指を滑らせて言った。
惜しい!赤い一番上のボタンを押さないとつかないんだな~。
真剣な顔をしてテレビのリモコンをいじくり回しているマルサネを見ていたら、何だか俺は吹き出しそうになった。
……なんだコイツ。面白えヤツ。
リモコン振ったって、片目で見たって点きはしねーよ。
あっ、うわぁ、囓ってるし!
野生児……?
キーボードって言ってたから、デスクトップのパソコンは見たことがあるんだろうな。
まぁ、最近はタブレットやスマホがあればテレビは殆ど見ない家庭も増えているらしいけど、コイツの家には当てはまらないだろ……。
「貸してみ」
俺はサイドテーブルに紅茶を置くと、マルサネからリモコンを受け取った。
さっき、彼女が囓りついた所をオシボリでさりげなく拭くと電源ボタンを押してテレビの電源を入れた。
パッとCM画面になり、シン!としていた部屋が一気に賑やかになる。
「わぁ」
マルサネは幼女のように破顔した。
「そっか、そこを押せばいいのか!」
マルサネは感心したように小さく手を叩いた。
本当に小さい女の子がそのまま大きくなったような、仕草だった。
おかげで無防備な笑顔になんだか、この地味な娘が俺はちょっとかわいく見えてしまった。ムム……動物的な可愛さだが。
「お茶、入ったよ。どうぞ」
俺はマルサネにお茶をすすめた。
「やった!」
「あ、まだ熱いから気をつけて……」
マルサネはさっきのように野生児さながらイッキ飲みをしてしまうかと思って慌てて注意したんだけど……。
意外なことにカップを持ってお茶を啜る姿は、何だか背中もピンとして優雅な、無理をした様子もなく自然な振る舞いで俺はとまどってしまった。
人前で飲み慣れてる?
そんな感じがした。
「初めて飲む味だ。あたしは好きだな。なんていうお茶だ?」
マルサネは大きな瞳を輝かせて俺に質問をした。
「普通のダージリンだけど」
「へぇ、旨いな。本当に甘ったるいフルーツフレーバー続きで飽き飽きしてたんだ」
お茶の文化のある国なのかなぁ?
一体、何処だろう?セイロン……東アジアとかかなぁ……。
「身体は温まってきたか?」
「あぁ」
「そろそろ、本題いいか?」
「ん?」
「母さんはどこだ?あんたはどこの国から来たんだ?どうやってここへ入ったんだ?」
俺は矢継ぎ早にマルサネに質問を浴びせかけた。
「ふーん。奏大、お前は育ちの良いお坊ちゃんなんだな」
マルサネは質問には答えず、何故かあっけらかんとそう言った。
「は?」
「イヤ、あたしなら聞きたいことがあったら即、力ずくで聞き出すぞ。のんびりお茶なぞ出す前に。さぞや、リツコと一緒にボケッと苦労なく暮らしてたのだなと思って」
ニコニコとしながらマルサネは言った。
だから、やっぱりさっきから母さんごと俺も何か失礼なコト言われてるよね?
「は?力ずく?例えば?」
「まぁ、暗器で脅したり、関節を外しても指を折っても良いし?相手によっては毒を使っても……かもな。あたしは苦手な分野だけど」
「は?暗器……?毒?何の話……?ゲームか何かの攻略??」
「ん?ゲーム?何かの試合か?」
俺に聞き返されて、マルサネはきょとんととしていた。
指を折るとか毒とか…… 正気か?イマドキ、そんな中世の拷問のような発想……何処の時代だっていうの。犯罪だよ、犯罪。
あぁ、ひょっとしなくてもあれか。中二病ってヤツ?
ゲームの世界と現実が区別ついていないのかも……。
確か、母さんが言ってた。痴呆症のご老人とか相手にする時は、相手の話が妄想でも否定しちゃダメよって。
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