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第一部
side:ゲンメ公女 マルサネ part4
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「知恵熱が下がったそうだな、マルサネ」
食堂に向かう途中で、あたしはクソオヤジと顔をあわせた。
……。相変わらず、頭は薄い。最近の最新育毛の効果は全くあらわれていないようだ。
当然、サヴィートからの報告があがってるから、今朝の騒ぎはオヤジ殿は承知だろう。
これでも闇の元締。
ゲンメの闇の長老が我が子のように手塩にかけて育てた、闇の頂点に立つ人物なのだから。
「残念ながらね」
あたしは食堂の椅子にどかっと座ると冷たく答えてやった。
リツコのようにお父様、なんて呼んでやるもんですか。
「恋の熱も下がったか?」
「さぁ。海蛇の毒なら今朝、貰ったかも」
「聞いてないが、ヤられたのか?」
ハゲオヤジの目がスッと細められる。
「まさか。話にならないほど雑魚だった」
あたしの言葉に少し、安心した様子のハゲオヤジ。
あれ?もしかして心配したの、かな?
「殆どお前一人で片付けたそうだな」
「それなんだけど。あいつらこの間の残党なんかじゃないわ。こないだの大公宮を襲った奴等より数段落ちる下っ端よ」
「蛇姫直属の使い走りだろう。全く懲りないことだ」
「そういうヤツよ、あの女は」
戦闘の話じゃないと会話のできない父娘。
いつの間にか、そんな関係になってしまっていた。
まぁ、共通話題が有るだけマシかな。
「その様子なら、護衛はもう必要ないか?」
「要らないわ。邪魔よ」
あたしはつっけんどんに答えた。
リツコとブラッディムーンの時、あたしが生まれる前の父母を見た。
あの時、このオヤジなりに辛い人生を送ってきたんだなと、多少同情のようなものもあたしの中に芽生えたような気がする。だから少しは唯一の身内である、クソオヤジに優しくしてやろうと思ってはみたが……。
これが、なかなか難しい。
長年染みついた態度はなかなか、変えられない。
「そうか。ではガヴィ達は外すがいいな?」
「お好きにどうぞ」
「では、これはどうする?」
クソオヤジはなにやら上等の高そうな紙で作られたカードを投げてきた。
これは……招待状?
見覚えのある印が押されている。
確か、カルゾ公家の紋章だ。
「ソーヴェにお前、知らないうちにえらく気に入られたらしいな。カルゾの身内だけのささやかなパーティーだと。どうする?」
ソーヴェ様!
リツコ、妙に気に入られてたもんね。
あの、うっとりする戦神のような強さ。
実は長年、ソーヴェ様はあたしの憧れの人物なの。
今までは行事の時に遠くから眺めてるだけだったのに、リツコのおかげで会話が出来るようになって……。
「う~ん……」
でも、そのリツコはもう居ない。
あたし、ソーヴェ様と会話なんかできるんだろうか。
思考がまとまらず、卓上のコップに手を伸ばした。
ちょっと、飲み物でも飲んで落ち着こう。
「多分だが、大公も来るぞ?」
「……ぅげぇっ」
あたしは、口に運んだサラック茶を吹き出した。
よりによって、サラック茶!
こんなところに置かないでよね……。
「ソーヴェのことだからな。どうせお前らを会わせることが目的だろ」
「……」
そっか。そうでした。
リツコに何故だか、大公様もメロメロなんだった。
どうしよう。
母さんやベタ惚れのリツコには申し訳ないけど……。
あたしは大公様って、全く好みじゃないんだよ~!!
まぁ、どこが問題って。
まずは年齢かな。
いくら若く見えるといっても、オヤジと年が変わらないし……。リツコと違ってあたしは共通の話題もない。
そもそも大公様は文化人として有名な方。
武道も人並みには嗜んでるらしいけど、あたしのように特別戦闘好きな訳ではない。
リツコが大好きだったネットも、雑誌もグルメも全くあたしは興味関心がないからなぁ…。
そして、一番の理由はあの呑気な笑顔。
あたし、あれが生理的にムリ。
あのお顔みてると、本当にイライラするもん。
ハイハイ、あなたは人生、楽しいことが多くていいですね、みたいな嫌味を言いたくなってしまう。
はっ。
これではあたし。
若い頃のクソオヤジと同じじゃないの。
カモン、母さんの遺伝子~!
降りてこい~!!
奇妙な格好で悶えるあたしを冷たく見ながら、オヤジがイライラして声をかけてきた。
「で、どうする?行くのか?」
「行くわよっ!」
クソオヤジが投げたカードをあたしは開いた。
「……げぇっ……」
こんの、クソハゲッ!!
日付、今日じゃないかぁ~!
今夜だよ、今夜。
もう殆ど時間がないじゃん!
「どうした、断るか?」
慌てるあたしを見てニヤニヤするハゲオヤジ。
クソムカつくわ~。残りの頭髪全部抜いてやるぞ。
「うるさい!行くって言ってるでしょっ!」
あたしは、捨て台詞を吐くと、ダッシュで衣装部屋へ向かった。
食堂に向かう途中で、あたしはクソオヤジと顔をあわせた。
……。相変わらず、頭は薄い。最近の最新育毛の効果は全くあらわれていないようだ。
当然、サヴィートからの報告があがってるから、今朝の騒ぎはオヤジ殿は承知だろう。
これでも闇の元締。
ゲンメの闇の長老が我が子のように手塩にかけて育てた、闇の頂点に立つ人物なのだから。
「残念ながらね」
あたしは食堂の椅子にどかっと座ると冷たく答えてやった。
リツコのようにお父様、なんて呼んでやるもんですか。
「恋の熱も下がったか?」
「さぁ。海蛇の毒なら今朝、貰ったかも」
「聞いてないが、ヤられたのか?」
ハゲオヤジの目がスッと細められる。
「まさか。話にならないほど雑魚だった」
あたしの言葉に少し、安心した様子のハゲオヤジ。
あれ?もしかして心配したの、かな?
「殆どお前一人で片付けたそうだな」
「それなんだけど。あいつらこの間の残党なんかじゃないわ。こないだの大公宮を襲った奴等より数段落ちる下っ端よ」
「蛇姫直属の使い走りだろう。全く懲りないことだ」
「そういうヤツよ、あの女は」
戦闘の話じゃないと会話のできない父娘。
いつの間にか、そんな関係になってしまっていた。
まぁ、共通話題が有るだけマシかな。
「その様子なら、護衛はもう必要ないか?」
「要らないわ。邪魔よ」
あたしはつっけんどんに答えた。
リツコとブラッディムーンの時、あたしが生まれる前の父母を見た。
あの時、このオヤジなりに辛い人生を送ってきたんだなと、多少同情のようなものもあたしの中に芽生えたような気がする。だから少しは唯一の身内である、クソオヤジに優しくしてやろうと思ってはみたが……。
これが、なかなか難しい。
長年染みついた態度はなかなか、変えられない。
「そうか。ではガヴィ達は外すがいいな?」
「お好きにどうぞ」
「では、これはどうする?」
クソオヤジはなにやら上等の高そうな紙で作られたカードを投げてきた。
これは……招待状?
見覚えのある印が押されている。
確か、カルゾ公家の紋章だ。
「ソーヴェにお前、知らないうちにえらく気に入られたらしいな。カルゾの身内だけのささやかなパーティーだと。どうする?」
ソーヴェ様!
リツコ、妙に気に入られてたもんね。
あの、うっとりする戦神のような強さ。
実は長年、ソーヴェ様はあたしの憧れの人物なの。
今までは行事の時に遠くから眺めてるだけだったのに、リツコのおかげで会話が出来るようになって……。
「う~ん……」
でも、そのリツコはもう居ない。
あたし、ソーヴェ様と会話なんかできるんだろうか。
思考がまとまらず、卓上のコップに手を伸ばした。
ちょっと、飲み物でも飲んで落ち着こう。
「多分だが、大公も来るぞ?」
「……ぅげぇっ」
あたしは、口に運んだサラック茶を吹き出した。
よりによって、サラック茶!
こんなところに置かないでよね……。
「ソーヴェのことだからな。どうせお前らを会わせることが目的だろ」
「……」
そっか。そうでした。
リツコに何故だか、大公様もメロメロなんだった。
どうしよう。
母さんやベタ惚れのリツコには申し訳ないけど……。
あたしは大公様って、全く好みじゃないんだよ~!!
まぁ、どこが問題って。
まずは年齢かな。
いくら若く見えるといっても、オヤジと年が変わらないし……。リツコと違ってあたしは共通の話題もない。
そもそも大公様は文化人として有名な方。
武道も人並みには嗜んでるらしいけど、あたしのように特別戦闘好きな訳ではない。
リツコが大好きだったネットも、雑誌もグルメも全くあたしは興味関心がないからなぁ…。
そして、一番の理由はあの呑気な笑顔。
あたし、あれが生理的にムリ。
あのお顔みてると、本当にイライラするもん。
ハイハイ、あなたは人生、楽しいことが多くていいですね、みたいな嫌味を言いたくなってしまう。
はっ。
これではあたし。
若い頃のクソオヤジと同じじゃないの。
カモン、母さんの遺伝子~!
降りてこい~!!
奇妙な格好で悶えるあたしを冷たく見ながら、オヤジがイライラして声をかけてきた。
「で、どうする?行くのか?」
「行くわよっ!」
クソオヤジが投げたカードをあたしは開いた。
「……げぇっ……」
こんの、クソハゲッ!!
日付、今日じゃないかぁ~!
今夜だよ、今夜。
もう殆ど時間がないじゃん!
「どうした、断るか?」
慌てるあたしを見てニヤニヤするハゲオヤジ。
クソムカつくわ~。残りの頭髪全部抜いてやるぞ。
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