アラフォーの悪役令嬢~婚約破棄って何ですか?~

七々瀬 咲蘭

文字の大きさ
44 / 150
第一部

第35話 ある日常の朝?

しおりを挟む
「ねぇ、ルーチェ。どうしてうちのハゲ狸、じゃなかったゲンメ公が結婚したか、なれ初め知ってる?」

 朝食後のお茶を運んできたルーチェは、突然の私の質問に淡々と答えた。
「なれ初めですか?確か、幼馴染同士でご結婚されたと記憶してますけど」
「そっか」

 ハゲ狸からのプロポーズ?はあんまり色っぽい感じじゃなかったけど、サリアさんはそれなりに照れてたし。リアクションを見る限り、それなりに惚れてたような気もするんだけど。一応恋愛結婚だったのかなぁ?

「突然、どうしたんですか?お嬢様」
「いや、恋愛結婚だったのかなぁって思っただけ」

「旦那様が恋愛結婚ですか?あまり、イメージが湧かないお話ですね」
「そうね。やっぱり似合うのは、ドロドロした政略結婚よね~」
「私はノーコメントでお願いします」
 苦笑いを浮かべて、お茶を私の前にルーチェは置いてくれた。

 中身は毎日、安定のサラック茶……毎日、ルーチェが淹れてくれるんだけど、何となく人前で飲むと照れる。

「昨夜、眠れましたか?」
「え?」
「明け方、お嬢様の歌声がきこえたような気がしたので……」
「聞こえた?」
「はい。初めて耳にする歌でしたが……」
「夢を見たのよ。それで明け方に目が覚めたの」
「差し支えなければ、どんな夢ですか?」
「そうね。色々かな。死者の思い、遺された者への思い…みたいなものかしら」
「あぁ、昨夜はブラッディ・ムーンでしたね…」
「……そうだったわね」

 ルーチェはそれ以上、突然沈みこんだ私に夢について聞いてくることはなく、黙々とテーブルの上の食器を片付けてまわった。


「で、今日はどうされますか?」
 食器を片付け終わったルーチェがいつものように、予定を確認してきた。

「学園に行くわ。このままだと、卒業の単位が足りなくなっちゃうんでしょ?」
「その気になっていただいたみたいで、良かったです。ただでさえ出席日数ギリギリでしたもの」
「ハハハ……そんなにサボってたの?」
「はい。最近はきちんとお休みになられていますが、以前は夜に出歩かれて、昼に起きられることが多かったですからねぇ」

 不良娘だな。深夜徘徊してたのか、マルサネは。

 大体、私はここ10年ぐらい夜になるとすぐに眠くなるから、夜更かしなんか殆どできないわ。
 そのかわり、朝は早く目が覚めるのよね。これから老人になると、この生活リズムはさらに加速していくと思われる……。


「お嬢様。もう、お出かけの時間ですよ」
「え?なんで。まだ早いんじゃ?」
「ダメです。当分、学園までの近道はお止めになるよう、旦那様より指示されておりますので」
「近道禁止って、どうしてよ」
  近道の裏道は、表通りでいくより、断然早く学園につける道。近道で行けば、もうちょいゆっくりお茶して着替えができるもんね。

「こないだのイスキアの残党ですよ」
「まだ、捕まってなかったんだっけ?」
「と、聞いてます。副リーダー格の者がまだエスト城下町に潜んでる可能性があるとか」
「どうせ、闇の者達が護衛についてるんでしょ?そんなのへーきよ、平気」
「何事も用心した方が良いですよ、お嬢様」
「え~、まだユックリしたいもん」
「まぁ、まだ寝間着でいらっしゃいますしね~」

 結局私はそれからグダグタと着替え、いつものように近道で学園に出かけたのだった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...