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第一部
第15話 まだまだ続くよ女子トーク? ☆
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「……というわけなのよ」
「それはまた、イメージ崩れますね」
呆けっと二人とも半ば放心状態で殆ど会話を交わすことなく、狸オヤジと大公宮からゲンメ邸に帰ってきた私。
部屋につくと、今度は猛烈に落ち着かなくて……。
着替えを手伝いに来てくれたルーチェについて回り、会議での出来事を一気に捲し立てた。きっと、今日会議で私と同じものを目撃したモブの皆さんも同じ事をしてると思うわ。
ルーチェは喋りたくて仕方ない様子の私に、衣装室の中にあった仮縫い用の椅子をすすめてくれた。
「うん、ビックリしたわよ~。あんな普段は氷みたいに取り澄ましているのに、ガツガツ独占欲剥き出しで、嫌がる相手に人前でしつこくベロチューするってどう?」
「お嬢様も身も蓋もないおっしゃりようですねぇ」
ルーチェが苦笑した。
未だ興奮している私の話を聞きながらも、洗濯の終わった衣装を畳んだり、必要なものを籠につめたりしてせっせと手は動かしている。
午後はネットカフェに連れていってもらう予定だったから、例の地味フードが籠の一番上にスタンバイさせてあるところはさすが出来る女。
「よくわからないけど、焦ってたのかしらね」
「金の公子がですか?」
「うん、多分だけどヴィンセント様が一方的に好きなだけみたいだったもん。アルル、迷惑そうだった」
「それで強引に人前でキスですか?逆に嫌われませんかねぇ」
「あれだけイケメンで自信のある方は嫌われるとか考えないんじゃないかしら?」
女子トークは止まらない。
「銀の公子様が最終的に二人を止められたということは、アルルをお二人で狙っているってことですか?」
「それがウィルは兄妹みたいな関係だって言ってるのを立ち聞きしちゃったのよね」
「まぁ、お嬢様。立ち聞きとは趣味の宜しくない……」
ルーチェ、本気で窘めてないじゃん。実は興味津々なクセに……。
「堂々と本人に聞くわけにはいかないでしょ。それに会議でウィルはヴィンセント様によく分からない婚約破棄されて、国外追放だし。彼らの言動は全く意味不明よ」
「しかし、銀の公子様はこれからどうされるおつもりでしょうか」
「さぁ、わかんないけど本人は喜んでたのよね。そもそも自分から国外追放しろって言い出したんだし」
「はぁ。庶民には理解できない事情があるのでしょうねぇ。もともと、銀の公子様はエスト家の養子でいらっしゃいますし」
「え、そうなの?」
「有名な話ですよ。エスト家に銀髪のお子はみえませんもの。カルゾ女公ソーヴェ様とエスト大公妃様の親友で、さる南方の貴族の血筋とのことですわ。私も詳しくは存じ上げませんが、お立場的に何かユッカに居ずらいこととかあるんでしょうかね」
「養子……それにしては態度デカいわよ、居ずらいなんて微塵もないと思うけど」
「金の公子様ととても仲がよろしかったので、やはり女性関係でしょうか」
「え~、アルルを取り合って?私は三角関係はないと思うんだけど」
「今回、金の公子様はアルルと婚約されたのですか?」
「う~ん、エロちゅーに有耶無耶にされてよくわからない。あれって婚約なのかなぁ……私は良くわからないけど、ユッカには身分違いとかあるのかしら」
「そうですね~。もしご結婚されるとしても、四公家は比較的平民出の公妃も歴代受け入れてますから、特に問題ないと思いますが」
「平民ねぇ。立ち聞きした感じで不確かだけど、アルルは実は貴族っぽいのよね。ヴィンセント様のお母様とも旧知の仲とか」
「なら、特に問題なさそうですよね。ずっと狙われていたお嬢様と蛇姫がおさまらないぐらいですか?」
「蛇姫はそうかもしれないけど、私は違うわよ」
「まぁ話題性といい、お二人の美貌といい……成立したら世紀の結婚ですね。おめでたいことです」
ルーチェは洗濯籠をしまい、私のフードを持って立ち上がった。
「ではそろそろ、参りますか?お嬢様」
「そうね、続きはまた馬車で」
女子トークはまだまだ続くのであった……。
「それはまた、イメージ崩れますね」
呆けっと二人とも半ば放心状態で殆ど会話を交わすことなく、狸オヤジと大公宮からゲンメ邸に帰ってきた私。
部屋につくと、今度は猛烈に落ち着かなくて……。
着替えを手伝いに来てくれたルーチェについて回り、会議での出来事を一気に捲し立てた。きっと、今日会議で私と同じものを目撃したモブの皆さんも同じ事をしてると思うわ。
ルーチェは喋りたくて仕方ない様子の私に、衣装室の中にあった仮縫い用の椅子をすすめてくれた。
「うん、ビックリしたわよ~。あんな普段は氷みたいに取り澄ましているのに、ガツガツ独占欲剥き出しで、嫌がる相手に人前でしつこくベロチューするってどう?」
「お嬢様も身も蓋もないおっしゃりようですねぇ」
ルーチェが苦笑した。
未だ興奮している私の話を聞きながらも、洗濯の終わった衣装を畳んだり、必要なものを籠につめたりしてせっせと手は動かしている。
午後はネットカフェに連れていってもらう予定だったから、例の地味フードが籠の一番上にスタンバイさせてあるところはさすが出来る女。
「よくわからないけど、焦ってたのかしらね」
「金の公子がですか?」
「うん、多分だけどヴィンセント様が一方的に好きなだけみたいだったもん。アルル、迷惑そうだった」
「それで強引に人前でキスですか?逆に嫌われませんかねぇ」
「あれだけイケメンで自信のある方は嫌われるとか考えないんじゃないかしら?」
女子トークは止まらない。
「銀の公子様が最終的に二人を止められたということは、アルルをお二人で狙っているってことですか?」
「それがウィルは兄妹みたいな関係だって言ってるのを立ち聞きしちゃったのよね」
「まぁ、お嬢様。立ち聞きとは趣味の宜しくない……」
ルーチェ、本気で窘めてないじゃん。実は興味津々なクセに……。
「堂々と本人に聞くわけにはいかないでしょ。それに会議でウィルはヴィンセント様によく分からない婚約破棄されて、国外追放だし。彼らの言動は全く意味不明よ」
「しかし、銀の公子様はこれからどうされるおつもりでしょうか」
「さぁ、わかんないけど本人は喜んでたのよね。そもそも自分から国外追放しろって言い出したんだし」
「はぁ。庶民には理解できない事情があるのでしょうねぇ。もともと、銀の公子様はエスト家の養子でいらっしゃいますし」
「え、そうなの?」
「有名な話ですよ。エスト家に銀髪のお子はみえませんもの。カルゾ女公ソーヴェ様とエスト大公妃様の親友で、さる南方の貴族の血筋とのことですわ。私も詳しくは存じ上げませんが、お立場的に何かユッカに居ずらいこととかあるんでしょうかね」
「養子……それにしては態度デカいわよ、居ずらいなんて微塵もないと思うけど」
「金の公子様ととても仲がよろしかったので、やはり女性関係でしょうか」
「え~、アルルを取り合って?私は三角関係はないと思うんだけど」
「今回、金の公子様はアルルと婚約されたのですか?」
「う~ん、エロちゅーに有耶無耶にされてよくわからない。あれって婚約なのかなぁ……私は良くわからないけど、ユッカには身分違いとかあるのかしら」
「そうですね~。もしご結婚されるとしても、四公家は比較的平民出の公妃も歴代受け入れてますから、特に問題ないと思いますが」
「平民ねぇ。立ち聞きした感じで不確かだけど、アルルは実は貴族っぽいのよね。ヴィンセント様のお母様とも旧知の仲とか」
「なら、特に問題なさそうですよね。ずっと狙われていたお嬢様と蛇姫がおさまらないぐらいですか?」
「蛇姫はそうかもしれないけど、私は違うわよ」
「まぁ話題性といい、お二人の美貌といい……成立したら世紀の結婚ですね。おめでたいことです」
ルーチェは洗濯籠をしまい、私のフードを持って立ち上がった。
「ではそろそろ、参りますか?お嬢様」
「そうね、続きはまた馬車で」
女子トークはまだまだ続くのであった……。
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