15 / 150
第一部
第14話 熱すぎる抱擁!☆
しおりを挟む
「じゃあ次は婚約破棄されちゃったから、俺を国外追放してくれよ、ヴィンセント?」
嬉しそうに、ウィルが言った。
「貴方、なんかやったんですか?」
「う~ん。思い当たることがあり過ぎる」
「その件はあとでゆっくり聞かせてもらいます。じゃあとりあえず、ウィルは国外追放ってことでよいですか?大公」
ええ~っ!
何かよくわからないけど、理由も雑だし。そんなあっさり銀の公子を国外追放して良いの?
仲が良さそうなのに、何故??
「ま、本人がそう言ってるならいいんじゃないか?じゃ、ウィルはしばらく国外追放な」
軽いな、大公!
可愛がってる息子なんじゃなかったのか?
息子、喜んでるから良いのか……。
「おいおい、ソーヴェ。儂はそっちをハッキリさせて欲しいと言ったわけではないんだが…」
ハゲ狸が婚約破棄宣言からの展開についていけず、口を開く。
「タウラージ、わかってるわよ」
ソーヴェ様が苦笑して答えた。
「ヴィンセント、あなたの真実の愛の相手は、どうするつもり?」
「個人的には熱心に勧めるものではないが、カルゾの跡継ぎということから考えると四公家より娶ることが慣例かと思うが?」
エスト大公の言葉にハゲ狸の顔が見たこともないぐらいに輝く。
「ゲンメ公、折角の大公からのお口添えも頂きましたが、四公家からの縁談は辞退させていただきます」
大公に膝を折って流れるように美しく礼をとるヴィンセント様。
あ、狸オヤジ。髪の毛散ってる……。
ヴィンセント様の言葉に天国から地獄に落ちたようにバーコード頭をかきむしるからよ……。
「では、どうするつもりだ。ヴィンセント。このままではマルサネもカルドンヌも気の毒なこと。いつまでもお前がそのような態度では、争いの種は消えることはない」
諭すような柔らかい大公の言葉にヴィンセント様が顔をあげて答えた。
「ここで申し上げてよろしければ、私の真実の愛はここに」
「ほぅ」
「失礼いたします」
ヴィンセント様はソーヴェ様の後ろに座っていたアルルにつかつかと歩み寄って行く。
「え?」
アルルは想定外の出来事にピンク色の頬を染めて大きな瞳をさらに見開いてビックリしている様子。
……恋人が来てくれたサプライズ?
って感じじゃないわ。
どうみてもなんか、めっちゃ嫌がってるように見えるんだけど……。
「私の真実の愛を受けとってもらえますか」
ヴィンセント様がニヤリと笑う。
え~!金の公子の笑い方じゃないわよ。スマートな夢の国の王子様とはかけ離れた、肉食獣のようなギラギラとした微笑。
アルルがその微笑みを見て怯えたように逃げ腰になる。
ヴィンセント様は早業でアルルの手を掴むと自分の胸に抱き込み……、
めっちゃ時間をかけてエロいキスをした。
アルルは最初、かなり抵抗していた。いくら、小さい手で押しのけようとしても力強く押さえ込まれてヴィンセント様はびくともしない。
アルルが小さな顔をふって逃げようとしても、がっちり後頭部を固定され、逃れられない。
めっちゃディープなやつよね、あれ。絶対舌入ってる…。
だんだん呼吸をするのも苦しそうなアルルの身体から、力が抜けていくのが見てわかる。
「……んんっ……ぅうっ…」
鼻に抜けるくぐもった声が、聞く者の官能を刺激する。
アルルの口許から透明な涎が溢れ、視覚的にも目のやり場に困る、あまりに扇情的な状況がユッカという国の会議場で繰り広げられていた。
呆然とするギャラリーなどものともせず、ヴィンセント様は激しく無心に貪っていらっしゃって……アルルが腰砕けになってぐったりしていても終わる気配がない……。
金の公子って実は俺様でエロいんだ……。
「うっわ、我が子ながらひくわ~。よくやるわね」
「若いっていいなぁ」
カルゾ女公とエスト大公の呟きに、呆然と皆と一緒に眺めていたウィルが我にかえる。
「いつまでやってんだよ、おい」
一向に終わる気配のないディープな口づけに閉口して、ヴィンセントをアルルから引き剥がしにかかった。
「全く、無粋ですねぇ」
「お前が言うか!こんなところで何してくれてんだよ」
「もう何もしませんから返して下さい」
「信用できるか!」
アルルは、気を失ってしまったようだ。ウィルに抱き抱えられてぐったりしている。
これは……これでまたネットニューストップを飾るネタよね。
今日はこの後、絶対にルーチェとネットカフェに行かなくちゃだわ。
嬉しそうに、ウィルが言った。
「貴方、なんかやったんですか?」
「う~ん。思い当たることがあり過ぎる」
「その件はあとでゆっくり聞かせてもらいます。じゃあとりあえず、ウィルは国外追放ってことでよいですか?大公」
ええ~っ!
何かよくわからないけど、理由も雑だし。そんなあっさり銀の公子を国外追放して良いの?
仲が良さそうなのに、何故??
「ま、本人がそう言ってるならいいんじゃないか?じゃ、ウィルはしばらく国外追放な」
軽いな、大公!
可愛がってる息子なんじゃなかったのか?
息子、喜んでるから良いのか……。
「おいおい、ソーヴェ。儂はそっちをハッキリさせて欲しいと言ったわけではないんだが…」
ハゲ狸が婚約破棄宣言からの展開についていけず、口を開く。
「タウラージ、わかってるわよ」
ソーヴェ様が苦笑して答えた。
「ヴィンセント、あなたの真実の愛の相手は、どうするつもり?」
「個人的には熱心に勧めるものではないが、カルゾの跡継ぎということから考えると四公家より娶ることが慣例かと思うが?」
エスト大公の言葉にハゲ狸の顔が見たこともないぐらいに輝く。
「ゲンメ公、折角の大公からのお口添えも頂きましたが、四公家からの縁談は辞退させていただきます」
大公に膝を折って流れるように美しく礼をとるヴィンセント様。
あ、狸オヤジ。髪の毛散ってる……。
ヴィンセント様の言葉に天国から地獄に落ちたようにバーコード頭をかきむしるからよ……。
「では、どうするつもりだ。ヴィンセント。このままではマルサネもカルドンヌも気の毒なこと。いつまでもお前がそのような態度では、争いの種は消えることはない」
諭すような柔らかい大公の言葉にヴィンセント様が顔をあげて答えた。
「ここで申し上げてよろしければ、私の真実の愛はここに」
「ほぅ」
「失礼いたします」
ヴィンセント様はソーヴェ様の後ろに座っていたアルルにつかつかと歩み寄って行く。
「え?」
アルルは想定外の出来事にピンク色の頬を染めて大きな瞳をさらに見開いてビックリしている様子。
……恋人が来てくれたサプライズ?
って感じじゃないわ。
どうみてもなんか、めっちゃ嫌がってるように見えるんだけど……。
「私の真実の愛を受けとってもらえますか」
ヴィンセント様がニヤリと笑う。
え~!金の公子の笑い方じゃないわよ。スマートな夢の国の王子様とはかけ離れた、肉食獣のようなギラギラとした微笑。
アルルがその微笑みを見て怯えたように逃げ腰になる。
ヴィンセント様は早業でアルルの手を掴むと自分の胸に抱き込み……、
めっちゃ時間をかけてエロいキスをした。
アルルは最初、かなり抵抗していた。いくら、小さい手で押しのけようとしても力強く押さえ込まれてヴィンセント様はびくともしない。
アルルが小さな顔をふって逃げようとしても、がっちり後頭部を固定され、逃れられない。
めっちゃディープなやつよね、あれ。絶対舌入ってる…。
だんだん呼吸をするのも苦しそうなアルルの身体から、力が抜けていくのが見てわかる。
「……んんっ……ぅうっ…」
鼻に抜けるくぐもった声が、聞く者の官能を刺激する。
アルルの口許から透明な涎が溢れ、視覚的にも目のやり場に困る、あまりに扇情的な状況がユッカという国の会議場で繰り広げられていた。
呆然とするギャラリーなどものともせず、ヴィンセント様は激しく無心に貪っていらっしゃって……アルルが腰砕けになってぐったりしていても終わる気配がない……。
金の公子って実は俺様でエロいんだ……。
「うっわ、我が子ながらひくわ~。よくやるわね」
「若いっていいなぁ」
カルゾ女公とエスト大公の呟きに、呆然と皆と一緒に眺めていたウィルが我にかえる。
「いつまでやってんだよ、おい」
一向に終わる気配のないディープな口づけに閉口して、ヴィンセントをアルルから引き剥がしにかかった。
「全く、無粋ですねぇ」
「お前が言うか!こんなところで何してくれてんだよ」
「もう何もしませんから返して下さい」
「信用できるか!」
アルルは、気を失ってしまったようだ。ウィルに抱き抱えられてぐったりしている。
これは……これでまたネットニューストップを飾るネタよね。
今日はこの後、絶対にルーチェとネットカフェに行かなくちゃだわ。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。
airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。
どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。
2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。
ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。
あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて…
あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?
【本編完結】実の家族よりも、そんなに従姉妹(いとこ)が可愛いですか?
のんのこ
恋愛
侯爵令嬢セイラは、両親を亡くした従姉妹(いとこ)であるミレイユと暮らしている。
両親や兄はミレイユばかりを溺愛し、実の家族であるセイラのことは意にも介さない。
そんなセイラを救ってくれたのは兄の友人でもある公爵令息キースだった…
本垢執筆のためのリハビリ作品です(;;)
本垢では『婚約者が同僚の女騎士に〜』とか、『兄が私を愛していると〜』とか、『最愛の勇者が〜』とか書いてます。
ちょっとタイトル曖昧で間違ってるかも?
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる