【完結】君を守るのが俺の使命・・・2度は繰り返さない。

kana

文字の大きさ
15 / 62

15

しおりを挟む
「あのマリアさんって、悪くは言いたくないけれど、不気味と言うかちょっと怖い・・・どうしてだか彼女を見ると寒くもないのに手が震えるの」

・・・ミラには前回の記憶は無いはずだがアイツに嵌められて辛い思いをしていた事を身体が覚えているのか?

「大丈夫だ。ミラには俺もセナも付いている。本当なら抱きしめて温めてやりたいのに・・・」

「私たちは婚約者よ。デュークなら・・・ううん、私がいつも抱きしめられたいと思うのはデュークだけよ?」

!!
ミラーーーーーー!!
可愛すぎるだろ!
俺を見上げるミラの純粋な目が眩しい。

い、いいよな?
ミラが抱きしめられたいと言ってるんだから。
・・・何年ぶりだ?
ああ、ミラが俺のことを"大好き"だと、"お嫁さん"になりたいと言った時以来だ。
力加減は気をつけるよ。優しく、優しく・・・
よし!

「はい、ストーーーップ!」

あ、あと少しでミラに手が届くところで!
ミラの許可が降りたのをセナも聞いていただろが!何で邪魔をした!

「ミラちゃん、早く教室に戻ろう?」

「え?でも、デュークが・・・」

「いいの、いいの、『妄想執着変態男』のことなんて」

膝から崩れ落ちた俺にセナの容赦のない言葉が・・・。
それに"妄想"が増えている。

「デューク?そんな所でしゃがむと笑われるよ?さあ立って」

手を差し伸べてくれるミラ。
今は手を繋げるだけでも有り難いと思うようにしよう。

「早く立って、あの子の顔を見てみなさい」

セナの言葉に反射的にミラと一緒に振り返ると・・・ミラのビクッと震えが伝わってきた。
醜く歪んだ顔でミラを睨んでいる。
その顔に気付いた生徒達も一歩引いて見ているようだ。

「あの子危ないわね。相当歪んでいるわ。エルザにミラちゃんを『お義姉様』呼びさせているのはあの子みたいだし、エルザを使ってデューク君とお近づきになるのが目的のようね。ミラちゃんは当然だけど、デューク君も絶対に関わらない方がいいわ」

「ああ、分かっている。セナはミラから目を離すなよ」

マリアのあの顔を見た者なら、誰だってそう思うさ。

前回もマリアがエルザを使ってミラを陥れていた。
オズワルドが国外追放を言い渡したあとも、マリアはミラを男たちを雇ってまで襲わせようとした。

は物語には必要だったのよ!だからミラをその役に仕立てただけよ!ミラはの条件にピッタリだった!』

前回マリアを尋問(拷問)した時に、そんな事を言っていたな。
あの時はの意味が分からなかったが・・・オズワルドの婚約者だったミラを悪者に仕立てて、ミラがエルザを陰で虐げているとオズワルドに涙ながらに訴えていたら?

ああ~~!
何度考えても、エルザはそれでオズワルドの婚約者の地位に収まったとしても、マリアのメリットが分からない。

今回こそはアイツの思惑通りにはさせない。






~マリア・フィガロ伯爵令嬢視点~


エルザって使えない!

ミラを『お義姉様』って呼ばせても相手にもされないなんて!

オズワルド殿下にエルザをあてがって、私も側にいれば従兄弟のデューク様とお近づきになれるかと思っていた。
まさか挨拶する程度の浅い関係でしかないとは思わなかった。
このままでは近付く事も出来ず、私の魅力をデューク様に知ってもらう事も出来ない。
きっかけさえあれば・・・

そして今日も失敗に終わるかと期待せずに少し離れたところから指示を出したエルザを見ていたら・・・あのチビ(セナ)と親しげに話していた。

チャンス!

今日に限って距離を取っていたから出遅れた。
急いで私も話しに加わろうとしたけれど・・・

『じゃあエルザちゃん、今度ゆっくり話そうね』

チビは私を見ることもなく話しを終わらせようとしていたから少しでもデューク様に私の存在を知らせようとしたのに・・・

『まあ!エルザさんはセナさんとお友達になりましたの?では是非私とも仲良くして下さいませ。ね?デューク様』

『勝手に俺の名を呼ぶな。俺の名は親しい者にしか許していない。二度と俺たちに話し掛けるな』

今はまだ婚約者のミラの前だからか、キツい言葉を返された・・・
きっと驚いたのね?
だって私はこんなにも可愛らしいもの!
照れて怒り口調になるなんて意外とウブなのね。

このまま会話を続けようとしたら、ミラがデューク様の手を引いて去って行くなんて!
ムカつく!

やっぱりミラは邪魔だわ。
この世界にはいらないわね。
排除する方法ならゲームで蓄えた知識がある。

必ずミラを陥れて、デューク様を私のモノに・・・
しおりを挟む
感想 85

あなたにおすすめの小説

病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。

初恋を諦めたあなたが、幸せでありますように

ぽんちゃん
恋愛
『あなたのヒーローをお返しします。末永くお幸せに』  運命の日。  ルキナは婚約者候補のロミオに、早く帰ってきてほしいとお願いしていた。 (私がどんなに足掻いても、この先の未来はわかってる。でも……)  今頃、ロミオは思い出の小屋で、初恋の人と偶然の再会を果たしているだろう。  ロミオが夕刻までに帰ってくれば、サプライズでルキナとの婚約発表をする。  もし帰ってこなければ、ある程度のお金と文を渡し、お別れするつもりだ。  そしてルキナは、両親が決めた相手と婚姻することになる。  ただ、ルキナとロミオは、友人以上、恋人未満のような関係。  ルキナは、ロミオの言葉を信じて帰りを待っていた。  でも、帰ってきたのは護衛のみ。  その後に知らされたのは、ロミオは初恋の相手であるブリトニーと、一夜を共にしたという報告だった――。 《登場人物》  ☆ルキナ(16) 公爵令嬢。  ☆ジークレイン(24) ルキナの兄。  ☆ロミオ(18) 男爵子息、公爵家で保護中。  ★ブリトニー(18) パン屋の娘。

婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました

神村 月子
恋愛
 貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。  彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。  「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。  登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。   ※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています

姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。

ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」  ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。 「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」  一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。  だって。  ──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。

【完結】悪役令嬢はご病弱!溺愛されても断罪後は引き篭もりますわよ?

鏑木 うりこ
恋愛
アリシアは6歳でどハマりした乙女ゲームの悪役令嬢になったことに気がついた。 楽しみながらゆるっと断罪、ゆるっと領地で引き篭もりを目標に邁進するも一家揃って病弱設定だった。  皆、寝込んでるから入学式も来れなかったんだー納得!  ゲームの裏設定に一々納得しながら進んで行くも攻略対象者が仲間になりたそうにこちらを見ている……。  聖女はあちらでしてよ!皆様!

冤罪で婚約破棄したくせに……今さらもう遅いです。

水垣するめ
恋愛
主人公サラ・ゴーマン公爵令嬢は第一王子のマイケル・フェネルと婚約していた。 しかしある日突然、サラはマイケルから婚約破棄される。 マイケルの隣には男爵家のララがくっついていて、「サラに脅された!」とマイケルに訴えていた。 当然冤罪だった。 以前ララに対して「あまり婚約しているマイケルに近づくのはやめたほうがいい」と忠告したのを、ララは「脅された!」と改変していた。 証拠は無い。 しかしマイケルはララの言葉を信じた。 マイケルは学園でサラを罪人として晒しあげる。 そしてサラの言い分を聞かずに一方的に婚約破棄を宣言した。 もちろん、ララの言い分は全て嘘だったため、後に冤罪が発覚することになりマイケルは周囲から非難される……。

最愛の人に裏切られ死んだ私ですが、人生をやり直します〜今度は【真実の愛】を探し、元婚約者の後悔を笑って見届ける〜

腐ったバナナ
恋愛
愛する婚約者アラン王子に裏切られ、非業の死を遂げた公爵令嬢エステル。 「二度と誰も愛さない」と誓った瞬間、【死に戻り】を果たし、愛の感情を失った冷徹な復讐者として覚醒する。 エステルの標的は、自分を裏切った元婚約者と仲間たち。彼女は未来の知識を武器に、王国の影の支配者ノア宰相と接触。「私の知性を利用し、絶対的な庇護を」と、大胆な契約結婚を持ちかける。

辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~

紫月 由良
恋愛
 辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。  魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。   ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています

処理中です...