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おしまいの後
おとぎ話でも
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「ねえ、今何隠したの!!」
「な、何も隠してません!!」
「寧々ちゃん! 尾台さんは悲しいよ? 入社した時から仲良しだったはずなのに、急にこんな距離置かれてさ!?」
「距離なんて置いてないじゃないですか! こんな後ろからむぎゅううってしてきて!」
そうなのだ、私は今、出せる限りの力で私から逃げようとしている、後輩の女の子の羽交い締めにしている。
理由はというと、なーんてことない。昼休みの終わり際、私がコピーを焼いていたら何か視線を感じて、む? これは袴田君じゃないな?!! ってシュピって振り返ったらササッて隠れたから、音を立てずに物陰に近付いてむんずと犯人を掴まえた、そしたら誰であろう寧々ちゃんだったんですよ。
「はわわわわ……」
「そんなベタなリアクションとってなくていいから」
左手を掴まえたら逃げようとして、何か隠して、えいって後ろから抱き付いたら今度は体を縮こまらせてお腹に何かを隠してる。
「ほれほれ! 尾台さんに見せなさい!」
「い、いやです!! これを見られたらここにいられなくなります!!」
「は? なにそれ?! ここにいられなくなる様な……って、私こう見えて、寧々ちゃんの一部のマニアにしか通用しない、苦情だってきそうなプレイにも扉が開いた!! って受け入れられたし嫌がる袴田君に教えを説けるくらいのスキルもも」
「そういうんじゃないですから!!」
私には絶対反抗しない、黒縁眼鏡のおかっぱ後輩がここまで拒否するって、もう許してあげ……………………られるはずなく、もっともっと気になるぞ!! そのお腹に抱えてるの!!
「寧々ちゃん……」
「い、いやです!! 尾台さんのいい匂いなんかに負けません!!」
顔覗き込んでも目瞑って見ない!! てしてる可愛い後輩を落とすには、もう押すんじゃダメだな、引かなきゃだな。さっそくワントーン落ち付いた声で、
「ねえ寧々ちゃん? 私は寧々ちゃんがいい子で優しくて仕事出来る子で本当に大好きなの、一番信頼してるよ。なのにそんな寂しいこと言うんだ?」
「?!」
「尾台さんどんな寧々ちゃん見たって引かないって知ってるでしょ? なのに寧々ちゃんは私の事信用してないんだ?」
「う! そんな……でも」
「寧々ちゃんの大事なもの見せてくれたら、私達もっと深い絆で結ばれると思うの」
ど、どうしようって目が泳いでる、よし! 何ですか何ですか!! 寧々ちゃんが隠してた物って!!
寧々ちゃんがぎゅうって巨乳が潰れる位抱きしめていたノートが緩んで、これは見てもいいって事かな?! って引っ張り出してパラパラしたら、おおおお???
それは猫耳な私が描かれていて、同じようにドレスを着たメガネをかけた少女……ん? そっかこれは寧々ちゃん! もいた。
何て言うかファンタジーの世界で、お手て繋いで散歩とかしてるし、え? 教会で……? 結婚?! これは……まさか……?? 百合……?!!!
いっぱい瞬きをしながらノートを見ていたら、寧々ちゃんは下を向きながら眼鏡を直して、超早口で言った。
「そそそそそ、その!! もももももちろんこれは性的なところまでは書いていないのです! あ、あの! いつも私によくして下さる尾台さんに、現実世界では恩返しができないけれど、妄想の中でなら私でも幸せにしてあげられるかな、って、だからそのファンタジーの世界で、あの……色々と……頑張って……異世界なので女性同士でも……そのもにょもにょ」
「隠さなくてもいいじゃん!」
「でも、きっとこんな事を知ったら…………」
寧々ちゃんとノートを眺める、抱き合って恋人繋ぎしている私達の絵をじっと二人で見つめていたら、どこからか声が聞こえた。
【こらこら、この猫耳は俺のですよ】
【ほら寧々ちゃん帰ろうね】
って、私達二人の物語も見たいけど、私達の前には絶対越えられない壁があったなって気付いた。次元を越えて、妄想の中でも迎えに来そうな人が浮かんで、二人で顔を見合わせて笑った。
「な、何も隠してません!!」
「寧々ちゃん! 尾台さんは悲しいよ? 入社した時から仲良しだったはずなのに、急にこんな距離置かれてさ!?」
「距離なんて置いてないじゃないですか! こんな後ろからむぎゅううってしてきて!」
そうなのだ、私は今、出せる限りの力で私から逃げようとしている、後輩の女の子の羽交い締めにしている。
理由はというと、なーんてことない。昼休みの終わり際、私がコピーを焼いていたら何か視線を感じて、む? これは袴田君じゃないな?!! ってシュピって振り返ったらササッて隠れたから、音を立てずに物陰に近付いてむんずと犯人を掴まえた、そしたら誰であろう寧々ちゃんだったんですよ。
「はわわわわ……」
「そんなベタなリアクションとってなくていいから」
左手を掴まえたら逃げようとして、何か隠して、えいって後ろから抱き付いたら今度は体を縮こまらせてお腹に何かを隠してる。
「ほれほれ! 尾台さんに見せなさい!」
「い、いやです!! これを見られたらここにいられなくなります!!」
「は? なにそれ?! ここにいられなくなる様な……って、私こう見えて、寧々ちゃんの一部のマニアにしか通用しない、苦情だってきそうなプレイにも扉が開いた!! って受け入れられたし嫌がる袴田君に教えを説けるくらいのスキルもも」
「そういうんじゃないですから!!」
私には絶対反抗しない、黒縁眼鏡のおかっぱ後輩がここまで拒否するって、もう許してあげ……………………られるはずなく、もっともっと気になるぞ!! そのお腹に抱えてるの!!
「寧々ちゃん……」
「い、いやです!! 尾台さんのいい匂いなんかに負けません!!」
顔覗き込んでも目瞑って見ない!! てしてる可愛い後輩を落とすには、もう押すんじゃダメだな、引かなきゃだな。さっそくワントーン落ち付いた声で、
「ねえ寧々ちゃん? 私は寧々ちゃんがいい子で優しくて仕事出来る子で本当に大好きなの、一番信頼してるよ。なのにそんな寂しいこと言うんだ?」
「?!」
「尾台さんどんな寧々ちゃん見たって引かないって知ってるでしょ? なのに寧々ちゃんは私の事信用してないんだ?」
「う! そんな……でも」
「寧々ちゃんの大事なもの見せてくれたら、私達もっと深い絆で結ばれると思うの」
ど、どうしようって目が泳いでる、よし! 何ですか何ですか!! 寧々ちゃんが隠してた物って!!
寧々ちゃんがぎゅうって巨乳が潰れる位抱きしめていたノートが緩んで、これは見てもいいって事かな?! って引っ張り出してパラパラしたら、おおおお???
それは猫耳な私が描かれていて、同じようにドレスを着たメガネをかけた少女……ん? そっかこれは寧々ちゃん! もいた。
何て言うかファンタジーの世界で、お手て繋いで散歩とかしてるし、え? 教会で……? 結婚?! これは……まさか……?? 百合……?!!!
いっぱい瞬きをしながらノートを見ていたら、寧々ちゃんは下を向きながら眼鏡を直して、超早口で言った。
「そそそそそ、その!! もももももちろんこれは性的なところまでは書いていないのです! あ、あの! いつも私によくして下さる尾台さんに、現実世界では恩返しができないけれど、妄想の中でなら私でも幸せにしてあげられるかな、って、だからそのファンタジーの世界で、あの……色々と……頑張って……異世界なので女性同士でも……そのもにょもにょ」
「隠さなくてもいいじゃん!」
「でも、きっとこんな事を知ったら…………」
寧々ちゃんとノートを眺める、抱き合って恋人繋ぎしている私達の絵をじっと二人で見つめていたら、どこからか声が聞こえた。
【こらこら、この猫耳は俺のですよ】
【ほら寧々ちゃん帰ろうね】
って、私達二人の物語も見たいけど、私達の前には絶対越えられない壁があったなって気付いた。次元を越えて、妄想の中でも迎えに来そうな人が浮かんで、二人で顔を見合わせて笑った。
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