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おしまいの後
尾台さんの悩み事1※ ◎
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日曜日の昼下がり一輪挿しの花瓶をテーブルに置く尾台さんの息の吐き方が通常より三秒長いことに気が付いた。
「尾台さん?」
「う?」
「何考えてるんですか」
「…………んー別に」
おっと、この反応は……。
尾台さんはカスミソウのつぼみを指先でいじっていて、こっちを見てくれなくて、今日も構って下さいが全開で可愛い。
ちょっとそのままにしておいたら、あ、こっち見た、それでツンってした。
また花を弄って口先だけ動かして、すっごいすっごい小さい声で早口で、
「別に袴田君に関係ないし、話聞いて欲しくないし、答えなんて求めてないし、そもそもまだ私達付き合ってないし、軟骨にピアス開いてること黙ってたし、直ぐ女の子に優しくしてムカつくし、持ちますよって笑顔で経理の子の荷物持ってあげてて超イライラしたし、てゆうか袴田君なんて好きじゃないしぃ」
「待って待って尾台さん、気に入らないことがあったら、その日に話してって俺言ったでしょ」
「だから別に何も言ってないったら」
「はいはい」
ソファーから立ち上がったら、にゃ! ってして俺に背中向けたけど、本当に怒ってる時はもう知らない! って逃げちゃうので、やっぱり今日は構っての日だ。
後ろから抱き締めたら細い体が深く呼吸をした。
「何でも遅いよ、袴田君は」
「ごめんなさい」
その言葉はなんっつーか、何を指してるのか分からないから、ごめんさいしかない訳で、何もかもが遅かったのは反省している。で、彼女は何に対して怒ってるのか。
尾台さんは腕噛んできて爪立ててくるから、とりあえず。
「セックスします?」
「しませんよ! バカじゃないの!! 私今したそうに見える??!」
「見えます」
「え? 可笑しいな! ちゃんと隠してるつもりなのにな」
尾台さんは顔の前を手で払う動作してて、
「尾台さん俺死んじゃうからそういうの本当止めて」
うん、あのエッチしたいーみたいなオーラ常に出してるけど、そんなんじゃ消えないし。
「もう! 悩んでる人をおちょくらないで下さい!!」
「ごめんなさい、それでどうしたの? 話聞かせて?」
上向いて尖らせてしまった唇にキスして、頭を撫でてあげれば尾台さんは、また腕を噛みだして、もう一押しだな。
好きだよって言いながら頭やこめかみにたくさんキスしてあげた。
「ん……袴田君……」
「大好きな尾台さんが悩んでる姿見てるの辛いので、教えて下さい。あなたの力になりたいです」
「えっと……」
「うん」
最後に尾台さんからキスしてきて、体の力が抜けて俺を見つめる潤んだ瞳と濡れた唇が綺麗で、エッチしたいオーラ漏れまくってるけど、が、ここは我慢だぞ雄太。
「あのね? 仕事のこと……こないだ辰巳さんに後輩の指導についてちょっとキツく言われちゃって、本当に申し訳なかったなって思ってて」
「あ? キツく?」
「ちょっと声低いよ! 違うよ? 怖い言い方じゃなくて、正しい叱り方だよ。それで反省してるし、私ダメダメだーってなってたの、有能な彼氏がいるんだから学びなさいって言われて」
「有能な彼氏……って俺? まさか、全然ですよ。俺は部下に仕事の指示以外、何の指導もしてないですからね、彼等とは極力口を利きたくないので」
眼鏡を直して言ってみたら、一瞬尾台さんは笑ったけど、また眉間を寄せて続ける。
「自分達の事しか考えてないって言われて、そんなつもりなかったのに……でも私の行動を見たらその通りで……それで、いつから私ってそんな嫌な人間になっちゃったのかなって悩んでたんです」
「なるほど」
肩を一定のリズムで叩いてあげれば、尾台さんは安心したように腕に顔を擦りつけてきて、そういう直ぐ懐くところすげー好き。
「隣にいるのに何にも見えてなかった。そんな自分が嫌いになりそう」
「それはダメですね、投げやりになったら収集つかなくなっちゃいますから、ちょっと整理しましょう」
「うん」
尾台さんをこっちに向かせて頭を撫でてあげたら、目を瞑って気持ち良さそうにして素直に抱き付いてきた柔らかい胸がつぶれて尾台さんの鼓動がこっちに響いてくる。
「細かいトラブルの話は抜きにして、もっと根幹的な部分を考えてみると、尾台さんは周りの目やその子の評価、そういう環境ばかりに目がいっていて仕事の本質や何が目的で仕事をしてるのかを忘れてるような気がします」
「仕事の目的……」
「そう、尾台さんの役割は営業のサポートでしょう、商談が円滑に進むように資料を作ったり連絡回したり、取引先の人を常にイメージしながら仕事をする。でも本当はその先にいる視聴者によりよい映像を提供する為に仕事してるんですよね。感動する映画や動画を一人でも多く届けたいとか笑顔にさせたいとか、営業事務の求人で書かれる志望動機ってそういうものばかりですよ」
「ああ……サムネとか……視聴者意識して作ってます」
「ですよね。でも今の尾台さんってどうですか、そういう気持ちを忘れてませんか。納期や取引先、社内環境ばかりに気を使って仕事してませんか」
「ってゆうか、それしか考えていないかも」
「納期を守る、資料にミスがない、トラブルがない、素晴らしい社員ですけど。でもそういう自己評価にばかりに目を光らせて仕事してると向上心が薄れていくし、思うようにいかないと仕事が嫌になってくるでしょう。でも違うんですよ、真面目に考えないといけないのは、自分や周りや納期じゃなくて視聴者でしょう。そこを起点にきて考えていくんです。してることは同じだけど、手前にあるものじゃなくて終着点を意識して仕事をすれば、その後輩の方も今みたいな仕事の仕方しないんじゃないですか」
「目の前にある仕事を捌くばっかりで最近そういう気持ちって忘れていました」
「俺も本社の時は売り上げしか見てなかったし、祖父の秘書になっても、こんなに頑張ったんだから評価しろだなんて、仕事の意味を分かってなかったんです。でも総務部への出向が決まって御茶ノ水の社員が皆笑って仕事が出来るように自分達が立て直すって仕事の意味が明確にできたら、これほどやりがいのある仕事はないなって思ったし、いつの間にか感謝の言葉をもらえるような人になれてました」
「ほー……」
凄いねって尾台さんは口を開けて俺を見上げてて、まあ本心と嘘半々かな、尾台さんに良く見られたいって下心はあったからな、言わないけど。
「総務の二人はそこの所がしっかり分かっているから、指導もないのかもしれません。嘘を吐くような頭もないし素で他人を思いやる心を持ってる人ですからね。言わなくたって作業の手を止めて従業員の話を聞ける二人なんですよ、目の前の仕事より人の声を優先できる。心ってお金じゃ買えないですから仕事ができる人間なんかより重要な部分です、だから残念なことに彼らに替えが利かないんですよね」
「凄い信頼関係ですね」
「いえいえ、俺の下僕ですよ。俺を盾にしなければ何も言えない圧倒的小者臭漂う部下です。そんな感じでしょう?」
「ふふふ、盾にできちゃう上司って素敵!」
「ん?……そうですか、俺が素敵?」
「ふぁ!」
しまった! みたいな顔してるけど、さっきの悩んでいた曇りの表情が晴れてるし、柔らかい体が熱を帯びてエッチしたいオーラも全開だし、もういいよな。
顎を持って上を向かせればもう尾台さんは顔を赤くしてて、しかもさっきの話もあってか好き好きって目から感情が溢れ出てる。
でもきっと、好き? って聞けば嫌いって答えるんだろうな、そんな尾台さん大好きだ。
俺の体触ってきて口むずむずさせて、少し顔を寄せただけで尾台さんは目を閉じた。
「キスしていいですか」
「ちょっとだけですよ」
「わかりました、じゃあちょっとだけ」
と言いながら擦れたら、抵抗なく薄く口が開いて舌が絡んでもっとと擦り合わせてくる、小さな顔を両手で掴んで息が吸えなくなるくらい口の中を犯してあげたら俺を掴む手が震えて口端から唾液が漏れてる。
ちょっと苦しそうな声なんて無視してお構いなしに口の中を貪って舌を噛めば尾台さんは体温を上げていく。
部屋にぴちゃぴちゃ音が響いて尾台さんから甘い息が漏れて体が湿って、抜けそうな腰を支えてあげて、しつこく咥内に舌を這わせて吸ってたら、胸を弱く押された。
「も、いいッ……苦し、よぉ」
「止めませんけど」
「何で」
「だって俺、イラッときてるんですよ」
「ん?」
「他の男の言葉で悩んでたなんて、スゲー腹立つ」
眼鏡に手を添えながら言えば、尾台さんは仕事の話なのに! てしてたけどそんなものは知らない。
「尾台さん?」
「う?」
「何考えてるんですか」
「…………んー別に」
おっと、この反応は……。
尾台さんはカスミソウのつぼみを指先でいじっていて、こっちを見てくれなくて、今日も構って下さいが全開で可愛い。
ちょっとそのままにしておいたら、あ、こっち見た、それでツンってした。
また花を弄って口先だけ動かして、すっごいすっごい小さい声で早口で、
「別に袴田君に関係ないし、話聞いて欲しくないし、答えなんて求めてないし、そもそもまだ私達付き合ってないし、軟骨にピアス開いてること黙ってたし、直ぐ女の子に優しくしてムカつくし、持ちますよって笑顔で経理の子の荷物持ってあげてて超イライラしたし、てゆうか袴田君なんて好きじゃないしぃ」
「待って待って尾台さん、気に入らないことがあったら、その日に話してって俺言ったでしょ」
「だから別に何も言ってないったら」
「はいはい」
ソファーから立ち上がったら、にゃ! ってして俺に背中向けたけど、本当に怒ってる時はもう知らない! って逃げちゃうので、やっぱり今日は構っての日だ。
後ろから抱き締めたら細い体が深く呼吸をした。
「何でも遅いよ、袴田君は」
「ごめんなさい」
その言葉はなんっつーか、何を指してるのか分からないから、ごめんさいしかない訳で、何もかもが遅かったのは反省している。で、彼女は何に対して怒ってるのか。
尾台さんは腕噛んできて爪立ててくるから、とりあえず。
「セックスします?」
「しませんよ! バカじゃないの!! 私今したそうに見える??!」
「見えます」
「え? 可笑しいな! ちゃんと隠してるつもりなのにな」
尾台さんは顔の前を手で払う動作してて、
「尾台さん俺死んじゃうからそういうの本当止めて」
うん、あのエッチしたいーみたいなオーラ常に出してるけど、そんなんじゃ消えないし。
「もう! 悩んでる人をおちょくらないで下さい!!」
「ごめんなさい、それでどうしたの? 話聞かせて?」
上向いて尖らせてしまった唇にキスして、頭を撫でてあげれば尾台さんは、また腕を噛みだして、もう一押しだな。
好きだよって言いながら頭やこめかみにたくさんキスしてあげた。
「ん……袴田君……」
「大好きな尾台さんが悩んでる姿見てるの辛いので、教えて下さい。あなたの力になりたいです」
「えっと……」
「うん」
最後に尾台さんからキスしてきて、体の力が抜けて俺を見つめる潤んだ瞳と濡れた唇が綺麗で、エッチしたいオーラ漏れまくってるけど、が、ここは我慢だぞ雄太。
「あのね? 仕事のこと……こないだ辰巳さんに後輩の指導についてちょっとキツく言われちゃって、本当に申し訳なかったなって思ってて」
「あ? キツく?」
「ちょっと声低いよ! 違うよ? 怖い言い方じゃなくて、正しい叱り方だよ。それで反省してるし、私ダメダメだーってなってたの、有能な彼氏がいるんだから学びなさいって言われて」
「有能な彼氏……って俺? まさか、全然ですよ。俺は部下に仕事の指示以外、何の指導もしてないですからね、彼等とは極力口を利きたくないので」
眼鏡を直して言ってみたら、一瞬尾台さんは笑ったけど、また眉間を寄せて続ける。
「自分達の事しか考えてないって言われて、そんなつもりなかったのに……でも私の行動を見たらその通りで……それで、いつから私ってそんな嫌な人間になっちゃったのかなって悩んでたんです」
「なるほど」
肩を一定のリズムで叩いてあげれば、尾台さんは安心したように腕に顔を擦りつけてきて、そういう直ぐ懐くところすげー好き。
「隣にいるのに何にも見えてなかった。そんな自分が嫌いになりそう」
「それはダメですね、投げやりになったら収集つかなくなっちゃいますから、ちょっと整理しましょう」
「うん」
尾台さんをこっちに向かせて頭を撫でてあげたら、目を瞑って気持ち良さそうにして素直に抱き付いてきた柔らかい胸がつぶれて尾台さんの鼓動がこっちに響いてくる。
「細かいトラブルの話は抜きにして、もっと根幹的な部分を考えてみると、尾台さんは周りの目やその子の評価、そういう環境ばかりに目がいっていて仕事の本質や何が目的で仕事をしてるのかを忘れてるような気がします」
「仕事の目的……」
「そう、尾台さんの役割は営業のサポートでしょう、商談が円滑に進むように資料を作ったり連絡回したり、取引先の人を常にイメージしながら仕事をする。でも本当はその先にいる視聴者によりよい映像を提供する為に仕事してるんですよね。感動する映画や動画を一人でも多く届けたいとか笑顔にさせたいとか、営業事務の求人で書かれる志望動機ってそういうものばかりですよ」
「ああ……サムネとか……視聴者意識して作ってます」
「ですよね。でも今の尾台さんってどうですか、そういう気持ちを忘れてませんか。納期や取引先、社内環境ばかりに気を使って仕事してませんか」
「ってゆうか、それしか考えていないかも」
「納期を守る、資料にミスがない、トラブルがない、素晴らしい社員ですけど。でもそういう自己評価にばかりに目を光らせて仕事してると向上心が薄れていくし、思うようにいかないと仕事が嫌になってくるでしょう。でも違うんですよ、真面目に考えないといけないのは、自分や周りや納期じゃなくて視聴者でしょう。そこを起点にきて考えていくんです。してることは同じだけど、手前にあるものじゃなくて終着点を意識して仕事をすれば、その後輩の方も今みたいな仕事の仕方しないんじゃないですか」
「目の前にある仕事を捌くばっかりで最近そういう気持ちって忘れていました」
「俺も本社の時は売り上げしか見てなかったし、祖父の秘書になっても、こんなに頑張ったんだから評価しろだなんて、仕事の意味を分かってなかったんです。でも総務部への出向が決まって御茶ノ水の社員が皆笑って仕事が出来るように自分達が立て直すって仕事の意味が明確にできたら、これほどやりがいのある仕事はないなって思ったし、いつの間にか感謝の言葉をもらえるような人になれてました」
「ほー……」
凄いねって尾台さんは口を開けて俺を見上げてて、まあ本心と嘘半々かな、尾台さんに良く見られたいって下心はあったからな、言わないけど。
「総務の二人はそこの所がしっかり分かっているから、指導もないのかもしれません。嘘を吐くような頭もないし素で他人を思いやる心を持ってる人ですからね。言わなくたって作業の手を止めて従業員の話を聞ける二人なんですよ、目の前の仕事より人の声を優先できる。心ってお金じゃ買えないですから仕事ができる人間なんかより重要な部分です、だから残念なことに彼らに替えが利かないんですよね」
「凄い信頼関係ですね」
「いえいえ、俺の下僕ですよ。俺を盾にしなければ何も言えない圧倒的小者臭漂う部下です。そんな感じでしょう?」
「ふふふ、盾にできちゃう上司って素敵!」
「ん?……そうですか、俺が素敵?」
「ふぁ!」
しまった! みたいな顔してるけど、さっきの悩んでいた曇りの表情が晴れてるし、柔らかい体が熱を帯びてエッチしたいオーラも全開だし、もういいよな。
顎を持って上を向かせればもう尾台さんは顔を赤くしてて、しかもさっきの話もあってか好き好きって目から感情が溢れ出てる。
でもきっと、好き? って聞けば嫌いって答えるんだろうな、そんな尾台さん大好きだ。
俺の体触ってきて口むずむずさせて、少し顔を寄せただけで尾台さんは目を閉じた。
「キスしていいですか」
「ちょっとだけですよ」
「わかりました、じゃあちょっとだけ」
と言いながら擦れたら、抵抗なく薄く口が開いて舌が絡んでもっとと擦り合わせてくる、小さな顔を両手で掴んで息が吸えなくなるくらい口の中を犯してあげたら俺を掴む手が震えて口端から唾液が漏れてる。
ちょっと苦しそうな声なんて無視してお構いなしに口の中を貪って舌を噛めば尾台さんは体温を上げていく。
部屋にぴちゃぴちゃ音が響いて尾台さんから甘い息が漏れて体が湿って、抜けそうな腰を支えてあげて、しつこく咥内に舌を這わせて吸ってたら、胸を弱く押された。
「も、いいッ……苦し、よぉ」
「止めませんけど」
「何で」
「だって俺、イラッときてるんですよ」
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