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119 ゴアラの王2
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保守派、革新派両派揃っての御前会議には国内の懸案事項が並べられるが、それが過ぎればいつもの話題だ。
「陛下、どうか正妃をお決めくださいませ。」
「この際でございます。貴族の中の娘が気に入らぬのでしたら意中の者を召し上げても宜しいのでは?」
人が頼んでもいないのにそれぞれ勝手に他人の嫁探しとなる。保守派の貴族から召し出せば討伐強化の号令を、革新派の貴族から召し出せば無差別な残虐行為の取り締まりをとそれぞれの旗を掲げた嫁取りに何が王家の安泰に繋がるのか?
誰を娶ってもこの言い争いは終わらず、自身の中の狂気も治らない。先王はこの派閥の諍いに辟易としてカザンシャルから姫を娶るつもりでいたが、それも流れた。最早共に居たいと思う者居らず今さら探すのもただ虚しいだけだ。
「陛下、各地の名ある家より娘を集めましょう。公に見定めの席を設けるのがご不満でしたら、畏まらずに相見える席を設けさせます故。」
臣下共は必死な事だ。世継ぎは無くとも弟もいる。王の血筋が絶えるわけではあるまいに。
国政の采配にならば意見も言い、臣下の意見も取り入れる王ではあるが、この話題となるとほぼ黙秘である。
「我が家門にはそれはそれは陛下を慕い、貴方様の力添えと成るべき者を何名も教育してきております。王城での妃教育にも十分に耐えられます気量でございますぞ。」
「いやいや、こちらにこそ陛下が他の大国へと歩み寄るための知識も技量も兼ね備えた娘がおるのです。他国と手を結び国の力を強固にして行く事こそ陛下のご使命でございましょう。」
保守派も革新派も言いたい事はいつもと同じだ。そしてゴアラの王の元へ、貴族の娘、市井の娘のどれが来たとしても大差はない。嫌、寧ろ苦しめることにも成るだろう事が分かっていながら何故、自分達の娘を差し出そうとして来るのか本気で信じがたいのである。
王の務めは理解しているしいつかは後継も残さなくては行けないだろう。
しかし、この国に何の望みがある?
次を残し受け継がせたとてそれがその者の喜びとなり生きる力になるだろうか?
否、自分は今これだけこの国に失望しているのに?
幼い頃から変わらない派閥。どの国でも同じかもしれないが、王が代わり内政が動けばおのずとそのバランスも崩れるものだ。しかし、ゴアラは崩れない。何百年もの昔から綿々と続く国の特色さえも、どうにか替えようとする者さえ出てこなかった国だ。一体これからの行く末に何の希望があると言うのか。
保守派の推すように永遠に魔力持ち狩りをし続け両手に生き血を塗り込めて行けとでも言うのか?
又は革新派の者共の様に、この気の狂わん様な狂気を押し潰して平然と獲物の前で指を加えたままの猛獣になれと?
何方も御免被る。いい様に操られるだけの人形が欲しいのならば、王座に人形を据えておけ。
俺は我慢ができないのだ。
この国の在り様に、自分自身に…
「陛下、ではカザンシャルに圧を掛けてはいかがです?」
「何?」
「以前より、我が国での探し物を所望していました国ですから、第一皇女の輿入れを条件になされば…」
今迄全く反応なく聞き流していたシュトラインが反応した事に気を良くしたのか更に続けて話し続けている内容に無理があろう。
「神託の巫女がどのような者か分かっておらぬわけではあるまい?」
「陛下、巫女姫は次代に譲る事も出来ますので…」
他国が国の象徴とまでしている存在を餌をちらつかせて利用せよと?カザンシャルの国民が知ったらゴアラは目の敵の様に見られるのは避けられまいに。
「そこまで俺の妃に価値があるのか?」
「ゴアラを保つ為です陛下。」
ならば、見事に壊してやろう、とは決して口には出さない。
「適当に見繕え。気に入れば召し出す、これでいいな?」
神託の巫女姫御利益があったのかどうか分からないが、今までにない好反応。臣下たる者はこの好機を決して逃すまいとするだろう。嬉々として動き、後数日もしたら国中から集められた淑女たる名の女共がこの城に溢れ返る事になる。
煩わしい事この上ないが、このままこの部屋に居座られて永遠とこの手の話を持ってこられても甚だ迷惑だ。
人の事はあまり羨んだりした事はないがこの様な時は自由に飛び回っている弟が恨めしくも思える。
「他に何も無いのか?」
ならばいい加減切り上げたいものだ。
「件の羽虫はそのままに?」
「状況は?」
「まあ、ちょこまかと。網にはかかりませんね。」
「で、あろうな。どこで網を貼っておいてやろうか?」
ククッと碧眼の瞳の奥が冷酷に光った。
「奴らの目的地を探し出せ。そこに最大のプレゼントを置いておいてやろう。」
賓客を迎えるのだから準備は念入りにせねばなるまい。
「陛下、どうか正妃をお決めくださいませ。」
「この際でございます。貴族の中の娘が気に入らぬのでしたら意中の者を召し上げても宜しいのでは?」
人が頼んでもいないのにそれぞれ勝手に他人の嫁探しとなる。保守派の貴族から召し出せば討伐強化の号令を、革新派の貴族から召し出せば無差別な残虐行為の取り締まりをとそれぞれの旗を掲げた嫁取りに何が王家の安泰に繋がるのか?
誰を娶ってもこの言い争いは終わらず、自身の中の狂気も治らない。先王はこの派閥の諍いに辟易としてカザンシャルから姫を娶るつもりでいたが、それも流れた。最早共に居たいと思う者居らず今さら探すのもただ虚しいだけだ。
「陛下、各地の名ある家より娘を集めましょう。公に見定めの席を設けるのがご不満でしたら、畏まらずに相見える席を設けさせます故。」
臣下共は必死な事だ。世継ぎは無くとも弟もいる。王の血筋が絶えるわけではあるまいに。
国政の采配にならば意見も言い、臣下の意見も取り入れる王ではあるが、この話題となるとほぼ黙秘である。
「我が家門にはそれはそれは陛下を慕い、貴方様の力添えと成るべき者を何名も教育してきております。王城での妃教育にも十分に耐えられます気量でございますぞ。」
「いやいや、こちらにこそ陛下が他の大国へと歩み寄るための知識も技量も兼ね備えた娘がおるのです。他国と手を結び国の力を強固にして行く事こそ陛下のご使命でございましょう。」
保守派も革新派も言いたい事はいつもと同じだ。そしてゴアラの王の元へ、貴族の娘、市井の娘のどれが来たとしても大差はない。嫌、寧ろ苦しめることにも成るだろう事が分かっていながら何故、自分達の娘を差し出そうとして来るのか本気で信じがたいのである。
王の務めは理解しているしいつかは後継も残さなくては行けないだろう。
しかし、この国に何の望みがある?
次を残し受け継がせたとてそれがその者の喜びとなり生きる力になるだろうか?
否、自分は今これだけこの国に失望しているのに?
幼い頃から変わらない派閥。どの国でも同じかもしれないが、王が代わり内政が動けばおのずとそのバランスも崩れるものだ。しかし、ゴアラは崩れない。何百年もの昔から綿々と続く国の特色さえも、どうにか替えようとする者さえ出てこなかった国だ。一体これからの行く末に何の希望があると言うのか。
保守派の推すように永遠に魔力持ち狩りをし続け両手に生き血を塗り込めて行けとでも言うのか?
又は革新派の者共の様に、この気の狂わん様な狂気を押し潰して平然と獲物の前で指を加えたままの猛獣になれと?
何方も御免被る。いい様に操られるだけの人形が欲しいのならば、王座に人形を据えておけ。
俺は我慢ができないのだ。
この国の在り様に、自分自身に…
「陛下、ではカザンシャルに圧を掛けてはいかがです?」
「何?」
「以前より、我が国での探し物を所望していました国ですから、第一皇女の輿入れを条件になされば…」
今迄全く反応なく聞き流していたシュトラインが反応した事に気を良くしたのか更に続けて話し続けている内容に無理があろう。
「神託の巫女がどのような者か分かっておらぬわけではあるまい?」
「陛下、巫女姫は次代に譲る事も出来ますので…」
他国が国の象徴とまでしている存在を餌をちらつかせて利用せよと?カザンシャルの国民が知ったらゴアラは目の敵の様に見られるのは避けられまいに。
「そこまで俺の妃に価値があるのか?」
「ゴアラを保つ為です陛下。」
ならば、見事に壊してやろう、とは決して口には出さない。
「適当に見繕え。気に入れば召し出す、これでいいな?」
神託の巫女姫御利益があったのかどうか分からないが、今までにない好反応。臣下たる者はこの好機を決して逃すまいとするだろう。嬉々として動き、後数日もしたら国中から集められた淑女たる名の女共がこの城に溢れ返る事になる。
煩わしい事この上ないが、このままこの部屋に居座られて永遠とこの手の話を持ってこられても甚だ迷惑だ。
人の事はあまり羨んだりした事はないがこの様な時は自由に飛び回っている弟が恨めしくも思える。
「他に何も無いのか?」
ならばいい加減切り上げたいものだ。
「件の羽虫はそのままに?」
「状況は?」
「まあ、ちょこまかと。網にはかかりませんね。」
「で、あろうな。どこで網を貼っておいてやろうか?」
ククッと碧眼の瞳の奥が冷酷に光った。
「奴らの目的地を探し出せ。そこに最大のプレゼントを置いておいてやろう。」
賓客を迎えるのだから準備は念入りにせねばなるまい。
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