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何も持たないまま「若者」じゃなくなった不安

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 オンライン対戦のゲームで、「もうこれ以上何をしても負ける」と思うと、ネット回線をブチ切って逃げてしまう人がいるらしい。オンラインで世界の誰かと対戦する場合、コンピューターとの対戦でなく相手がいるのだから、途中でブチ切るのは失礼だと思うけど……。

 私も人生というゲームにおいて失敗したと思う。けど「リセット」なんて、人生でそう簡単にすべきじゃない。自殺が怖くて生を正当化しているのかもしれないけど、きっとそうだ。


 何年か前から、「自分が若者ではなくなってゆく」不安を感じていた。

 ただでさえ、老いに向かっていくというのは、多くの人にとって不安だろう。が、仕事や恋愛・結婚、趣味など、のめり込めるものがあれば「私の人生、こうやって年を重ねていくので良いんだ」と思えるのではないか。

 落ちこぼれの私は何も持っていない……いや、マイナスだ。趣味に没頭すること、遊ぶことは可能だが、「お金もないのに、お金をつぎ込むようなことをこれ以上増やしてどうする?」と思う。それもあって、お酒も自分で買って飲んだことは一度もない。何かにハマったら、そこにお金をつぎ込んで逃避してしまいそうで。……十分、お菓子を買いまくって逃避してしるけど。


 収益化がしたい。小遣い稼ぎにしかなっていなくても、まだ安心する。けれどいつまでこうしていられるのか。


 若さがあったときは、「まだまだ無限の可能性がある。この先、すごく良いことがあるかもしれない」と、「ラッキー」によって人生が変わることを夢見ていた。

 けれど分かった……誰かから「ラッキー」を与えられることを待って、じっとしていたところで、これから先も多分何も起こらないだろうと。時が経つのは思ったよりずっと早い、と。

 誕生日が怖かった。年明けが怖かった。「何もないのにまた一年経った」ことを感じる。「今は何者でもないけれど、まだ若さがある」という感覚が少しずつ遠ざかっていった。


 スポーツ選手も年齢が上がると引退していく。子どもを産むのも、「諦める年齢」といった関連検索ワードが出てきた。就職も、何歳で未経験だとどうとか、フリーターだとどうとか書いてある。外見も変わっていくし、体力も落ちるのだろうし……。


 もっと以前、「人が夢を諦める平均年齢は24歳」という話を見てショックだった。「そんなに早いの?」と。24歳なんてまだまだ若いじゃないか。

 何でも年齢、年齢と。「人は年齢じゃない」と信じたかったけれど、実際老いて色んなことが変わっていくのか。


 ショックを受けてもしょうがない。受け入れよう。そして「年齢関係なくできることは?」と考える。スポーツ選手になるとか、子供を産むといった、肉体年齢に関係のないことならば、目指せる道はいくらでもあるはず。


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