言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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ログアウト権限を獲得した者たち

ログアウト権限

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「ログアウトする権利を与えるって、聞こえた気がする……」

 シュウカさんが首をかしげる。

「私も、そう聞こえました」
「あー!!!!」

 ずんだ餅さんが大声を出す。

「どうしたんですか!?」
「ログアウトするボタンが復活してます!」
「「え!?」」

 シュウカさんと私の声が重なる。それとほぼ同時に、ポップアップ画面が立ち上がる。

『ログアウト権限を入手。これにより、ログアウトが可能になりました』

 ログアウトできるようになった!? 本当に!?

「シュウさんシュウさん、なんだかよく分からないですが、ログアウトできるようになりました」
『……安心した。とりあえず、ゲームをログアウトしろ』
「でも、まだ調べものが終わってませんが……」
『そのことは、後で考えればいい。もし、これが制作者の気まぐれだったとして、向こうの気が変わってログアウトできなくなったら困る。まずは、ログアウトするんだ』

 シュウさんの真剣な声。

「分かりました。皆さん、とりあえずログアウトするようにシュウさんから指示が出ました」
「これ、他の人たちにもログアウトボタンは復活したんでしょうか」

 ずんだ餅さんが心細そうに言う。

「分かりません。でも今このタイミングを逃したら、ログアウトするチャンスを失う可能性があります。とりあえず一度、ゲームから離れましょう」
「そうだね。一旦ゲームから離れて、とりあえず有給もらってきてもいいし」

 シュウカさんが大きく伸びをして言う。

『……そのことだがな。もし、出勤時間の時点でさっきまでゲームに取り残されていた人たち全員がゲームからログアウトできていなかった場合は、お前たちも会社に来るな。ゲームからログアウトできていない人を装ってほしい』

 シュウさんの言葉に、シュウカさんが目を見開く。

「え、何で?」
『ログアウトできた事実を、隠しておけ。誰かから電話やメールが来ても、連絡を返すな。もしこのログアウトボタンの出現が、何らかの条件を満たした人間のみに与えられた特権なんだとしたら、それを持っていることは、あまり人には知られない方がいいように思う』
「いい人ばっかりじゃないですもんね」
『そうだ。誰が敵か味方も現時点では分からない。こういう時は、多数派の方にまぎれていた方が怪しまれにくいからな』
「とりあえず、明日の朝のニュースを確認して、行動を考えればよさそうですね」

 シュウカさんが難しいことは分からないけど、と言いながら顔をしかめる。

「とりあえず、外にも出なかったらいいんだね、分かった」
『お前は、別に問題ないだろ。ご飯なら、俺が買ってきてやるし』
「やった」

 実家暮らしの私も、特に困らないから大丈夫だ。あとは、

「ずんだ餅さんも、大丈夫ですか」
「僕も買い置きくらいはありますし、適当に過ごすので大丈夫です」
「よしそれじゃ、いっせーので、で全員でログアウトボタンを押しましょう」
「「「いっせーのーで!」」」
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