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第三章 旅
シックスダイス
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リンリンたちが敵に遭遇しようとしていたころ、シックスダイスリーダーのオスカルはベットの上でようやく目を覚ました。
(あれ? ここはどこだ?)
オスカルは立ち上がろうとしたが、腰に力が入らなくて、立てそうもない。
(いったい何が? 確かフローラに話をしに来て・・・、そうだ、思い出したっ。リンリンというガキが・・・、どうしたんだっけ?)
オスカルはズボンがスカートに変わっていることに気づいた。よく確認すると下着も変わっている。
(下半身を着替えさせられている? なぜ? リンリン?)
リンリンを思い出すたびに、全身が彼に触ってほしいと訴えてくる。
(私は、リンリンに触ってほしい? なぜ?)
実は生命の防衛機能が働いて、オスカルの命懸けの快楽の記憶は封印されていた。
しかし、体は忘れていない。体はあの快楽を与えてくれるリンリンを求めているのだ。
オスカルは代々騎士を務める子爵家にようやく産まれた一粒種だった。男児を欲していた当主は、待望の子供が女児だったことに落胆するが、狂気を宿して、オスカルを男児として育て上げた。
当主が死亡し、束縛から解き放たれたオスカルの意識のなかで、幼い頃から徹底的に殺して来た女性の心が息を吹き返した。
彼女が性格破綻者と誤解されるのは、頭の中に女性と男性が2人いるからである。
思い込みが激しいと誤解されるのは、そうしないと、自分の中で意見が分かれてしまうからだ。
そして、リンリンの洗礼を受けても、自我を保っていられるのは、あのときは女性の心がまだ1割だったおかげであった。
しかし、今回の出来事で、女性部分が一気に浮上し、まだオスカルは気づいていないが、すでに男性部分は先ほど消滅してしまっていた。
でなければ、スカートなんかはいていられないはずなのだ。
オスカルはしばらくぼんやりとしていたが、先ほどからドアをノックする音がしていることにようやく気づいた。
「リーダー、何かあったんですか? リーダーいらっしゃいますか?」
あの声はララ、リリ、ルルの三つ子の姉妹のうちの誰かだ。シックスダイスの後衛3名は彼女たちが担当している。
帰りが遅いので、心配になったのだろう。
「すまん。ちょっと手を貸して欲しい」
あっ、声が聞こえた、リーダーだわ、と話しているのが聞こえる。どうやら3人で来ているようだ。
3人とも容姿も声もそっくりなので、服装を見ないと判別出来ない。
3人が小屋に入って来たようだ。
「こっちだ」
オスカルは呼びかけた。
3人は声を頼りにこちらに向かって来ているようだ。やがて、寝室のドアが開いた。
赤いカチューシャをしているので、ララだ。
ララは
「リーダー」
と言ったまま固まってしまっている。
青いカチューシャのリリ、黄色いカチューシャのルルも入って来たが、同様に固まっていた。
3人とももう18歳なのだが、丸顔に大きな瞳のベビーフェースで、非常に可愛らしい。しかし、小柄なわりに胸は大きく、そのアンバランスさに男性諸君はおおおおぃと絶叫せずにはいられないだろう。
オスカルは3人が固まっている理由に気づいた。
「あ、これね。フローラが貸してくれたみたいなのよ」
3人は再び驚愕する。
「リーダーが、女言葉を使ってる・・・」
「ああ、そうね。何かその、本当の自分に戻れたみたい。ねえ、ララ、リリ、ルル。私と一緒にフローラ達を追いかける旅についてきてくれるかな?」
「それは問題ないですが、理由を教えてくれますか」
リリがたずねた。
「私にフローラ、いいえ、違うわね。私にリンリンが何をしたのか知りたいの。シックスダイスのチームとしての仕事ではなく、私個人の興味のためよ。そうね、私からシックスダイスへの依頼でもいいわ」
「そんな水臭い。私たちもカトリーヌに謝罪したいです。ご一緒します」
長女のララが3人を代表して答えた。
「インストはどうします?」
インストはカトリーヌの代わりに最近入ってきた戦士だ。腕はいいのだが、マイペース過ぎて、さすがのオスカルも手を焼いていた。
「一応声をかけてくれるかしら。来る来ないは本人の意思に任せるわ」
翌日、意外にも参加を表明したピンクの髪のピンクの目をしたインストも一緒になって、剣士がいないままのシックスダイスの5人は、リンリンたちを追いかける旅に出た。
(あれ? ここはどこだ?)
オスカルは立ち上がろうとしたが、腰に力が入らなくて、立てそうもない。
(いったい何が? 確かフローラに話をしに来て・・・、そうだ、思い出したっ。リンリンというガキが・・・、どうしたんだっけ?)
オスカルはズボンがスカートに変わっていることに気づいた。よく確認すると下着も変わっている。
(下半身を着替えさせられている? なぜ? リンリン?)
リンリンを思い出すたびに、全身が彼に触ってほしいと訴えてくる。
(私は、リンリンに触ってほしい? なぜ?)
実は生命の防衛機能が働いて、オスカルの命懸けの快楽の記憶は封印されていた。
しかし、体は忘れていない。体はあの快楽を与えてくれるリンリンを求めているのだ。
オスカルは代々騎士を務める子爵家にようやく産まれた一粒種だった。男児を欲していた当主は、待望の子供が女児だったことに落胆するが、狂気を宿して、オスカルを男児として育て上げた。
当主が死亡し、束縛から解き放たれたオスカルの意識のなかで、幼い頃から徹底的に殺して来た女性の心が息を吹き返した。
彼女が性格破綻者と誤解されるのは、頭の中に女性と男性が2人いるからである。
思い込みが激しいと誤解されるのは、そうしないと、自分の中で意見が分かれてしまうからだ。
そして、リンリンの洗礼を受けても、自我を保っていられるのは、あのときは女性の心がまだ1割だったおかげであった。
しかし、今回の出来事で、女性部分が一気に浮上し、まだオスカルは気づいていないが、すでに男性部分は先ほど消滅してしまっていた。
でなければ、スカートなんかはいていられないはずなのだ。
オスカルはしばらくぼんやりとしていたが、先ほどからドアをノックする音がしていることにようやく気づいた。
「リーダー、何かあったんですか? リーダーいらっしゃいますか?」
あの声はララ、リリ、ルルの三つ子の姉妹のうちの誰かだ。シックスダイスの後衛3名は彼女たちが担当している。
帰りが遅いので、心配になったのだろう。
「すまん。ちょっと手を貸して欲しい」
あっ、声が聞こえた、リーダーだわ、と話しているのが聞こえる。どうやら3人で来ているようだ。
3人とも容姿も声もそっくりなので、服装を見ないと判別出来ない。
3人が小屋に入って来たようだ。
「こっちだ」
オスカルは呼びかけた。
3人は声を頼りにこちらに向かって来ているようだ。やがて、寝室のドアが開いた。
赤いカチューシャをしているので、ララだ。
ララは
「リーダー」
と言ったまま固まってしまっている。
青いカチューシャのリリ、黄色いカチューシャのルルも入って来たが、同様に固まっていた。
3人とももう18歳なのだが、丸顔に大きな瞳のベビーフェースで、非常に可愛らしい。しかし、小柄なわりに胸は大きく、そのアンバランスさに男性諸君はおおおおぃと絶叫せずにはいられないだろう。
オスカルは3人が固まっている理由に気づいた。
「あ、これね。フローラが貸してくれたみたいなのよ」
3人は再び驚愕する。
「リーダーが、女言葉を使ってる・・・」
「ああ、そうね。何かその、本当の自分に戻れたみたい。ねえ、ララ、リリ、ルル。私と一緒にフローラ達を追いかける旅についてきてくれるかな?」
「それは問題ないですが、理由を教えてくれますか」
リリがたずねた。
「私にフローラ、いいえ、違うわね。私にリンリンが何をしたのか知りたいの。シックスダイスのチームとしての仕事ではなく、私個人の興味のためよ。そうね、私からシックスダイスへの依頼でもいいわ」
「そんな水臭い。私たちもカトリーヌに謝罪したいです。ご一緒します」
長女のララが3人を代表して答えた。
「インストはどうします?」
インストはカトリーヌの代わりに最近入ってきた戦士だ。腕はいいのだが、マイペース過ぎて、さすがのオスカルも手を焼いていた。
「一応声をかけてくれるかしら。来る来ないは本人の意思に任せるわ」
翌日、意外にも参加を表明したピンクの髪のピンクの目をしたインストも一緒になって、剣士がいないままのシックスダイスの5人は、リンリンたちを追いかける旅に出た。
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