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第三章 旅
ロミエール家の嫌がらせ
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リンリンたちは右手になだらかな丘の斜面が続く道を歩いていた。
ルミが敵らしい存在を感知し、メンバーに伝達する。
「500メートル先の右の丘の上に、待ち伏せしていると思われる人の集団がいます。人数は30人以上50人以下です。武器は剣と弓の確認ができましたが、そのほかにも持っている可能性はあります」
全員に緊張感が走る。
フローラがルミに確認する。
「右前方以外に気配はない?」
「はい、今のところ、索敵に反応ありません」
「山賊かしら?」
カトリーヌがヘルメットをかぶり直しながらつぶやく。
「人数的にその線が濃厚だけど、ありとあらゆる状況を想定しましょう。戦闘隊形Aで行くわ」
フローラの決定にチームのメンバーが従う。
先頭はカトリーヌ、その死角を補う形でユカリが続く。2,3歩離れてルミが索敵状態のまま続く。そのすぐ後ろにリンリンが続き、右後方にマリ、しんがりはフローラだ。
戦術指示は、一番戦闘経験のあるフローラが行う。将来はリンリンに司令塔になってほしいが、いきなりはできない。経験を積むまではフローラが指揮することになっていた。
「弓矢発射されます。2時の方向です」
ルミの声が全員の耳に入る。
「迎撃するわ」
フローラが2時の方向に向かって、トルネードを数発放出する。
猛烈な勢いの竜巻がパーティの2時の方向に数発発生し、合体して4つの竜巻となり、飛んできた弓矢をすべて上空に巻き上げていく。
ルミがリンリンとマリの2時方向に位置を移動していて、万一の流れ弾に備えている。
(すっげー、何あの魔法!?)
竜巻はなおも勢いを止めず、弓矢を発射した部隊のあたりで猛威を振るう。魔法で対抗しているらしく、色とりどりの光が見えるが、抵抗虚しく、人も馬も武器もみんな巻き上げられてしまい、数キロ先まで運ばれて行ってしまった。
残った敵が茫然としている様子がここからでもわかった。
「敵残り5名と思われます」
ルミが索敵結果を報告した。
(ほぼ全滅じゃん)
「ユカリ、生け捕りにしてきてくれる?」
「はいっ」
フローラがユカリに指示を出し終わるころにはユカリはすでに走り出していた。
魔法を使っているのだろう、ユカリはものすごいスピードでかけていく。
カトリーヌは守り役なので、持ち場を離れることはない。辺りを油断なく見回している。
あっという間に敵陣に切り込んでいくユカリの姿を確認できた。ユカリが通り過ぎた後に敵が次々と倒れていく。
パーティが敵陣に到着したとき、5人の男が縛り上げられていた。
「リンリン君、お願い」
フローラさんに言われて、俺は気づきの魔法を男たちにかけた。男たちが目を覚ました。
「リンリン君、次お願い」
「はい」
俺はチャームの魔法をかけた。これで何でも教えてくれるはずだ。
5人から聞き出したのは、今回の襲撃はロミエール家からの指示だったということだ。
「ごめんなさいっ」
カトリーヌがみんなに頭を下げている。
「カトリーヌさんが謝ることはないですよ」
リンリンは膝をついて謝っているカトリーヌの肩にポンと手を乗せた。カトリーヌはうっとりとした顔でリンリンを見ている。
フローラがリンリンの手を凝視している。
「いや、フローラさん、これで発動はしませんから」
え? 何がって空気がパーティに流れた。
「そうね、みんなにはきちんと説明しておいた方がいいわね。死人が出る前にね」
「え? そんな大げさな」
「リンリン君はしばらく黙ってそこに座っていてね。ちょっとお姉さんたちは、女同士の話をしてくるから」
「あ、はい」
「マリも来なさい」
リンリンを除いた5人は何の話かとフローラさんについて行った。10メートルぐらい先で円になって話している。
「え~?」とか「まさか」とかいう声が聞こえて来て、何人かが俺の方をちらちらを見ている。
そのうち、一列に並んで、1人ずつフローラさんと話をしているようだ。
一体何の話だろうか?
山賊の5人に聞いてみたが、当たり前だが、見当もつかないとのことだった。
ルミが敵らしい存在を感知し、メンバーに伝達する。
「500メートル先の右の丘の上に、待ち伏せしていると思われる人の集団がいます。人数は30人以上50人以下です。武器は剣と弓の確認ができましたが、そのほかにも持っている可能性はあります」
全員に緊張感が走る。
フローラがルミに確認する。
「右前方以外に気配はない?」
「はい、今のところ、索敵に反応ありません」
「山賊かしら?」
カトリーヌがヘルメットをかぶり直しながらつぶやく。
「人数的にその線が濃厚だけど、ありとあらゆる状況を想定しましょう。戦闘隊形Aで行くわ」
フローラの決定にチームのメンバーが従う。
先頭はカトリーヌ、その死角を補う形でユカリが続く。2,3歩離れてルミが索敵状態のまま続く。そのすぐ後ろにリンリンが続き、右後方にマリ、しんがりはフローラだ。
戦術指示は、一番戦闘経験のあるフローラが行う。将来はリンリンに司令塔になってほしいが、いきなりはできない。経験を積むまではフローラが指揮することになっていた。
「弓矢発射されます。2時の方向です」
ルミの声が全員の耳に入る。
「迎撃するわ」
フローラが2時の方向に向かって、トルネードを数発放出する。
猛烈な勢いの竜巻がパーティの2時の方向に数発発生し、合体して4つの竜巻となり、飛んできた弓矢をすべて上空に巻き上げていく。
ルミがリンリンとマリの2時方向に位置を移動していて、万一の流れ弾に備えている。
(すっげー、何あの魔法!?)
竜巻はなおも勢いを止めず、弓矢を発射した部隊のあたりで猛威を振るう。魔法で対抗しているらしく、色とりどりの光が見えるが、抵抗虚しく、人も馬も武器もみんな巻き上げられてしまい、数キロ先まで運ばれて行ってしまった。
残った敵が茫然としている様子がここからでもわかった。
「敵残り5名と思われます」
ルミが索敵結果を報告した。
(ほぼ全滅じゃん)
「ユカリ、生け捕りにしてきてくれる?」
「はいっ」
フローラがユカリに指示を出し終わるころにはユカリはすでに走り出していた。
魔法を使っているのだろう、ユカリはものすごいスピードでかけていく。
カトリーヌは守り役なので、持ち場を離れることはない。辺りを油断なく見回している。
あっという間に敵陣に切り込んでいくユカリの姿を確認できた。ユカリが通り過ぎた後に敵が次々と倒れていく。
パーティが敵陣に到着したとき、5人の男が縛り上げられていた。
「リンリン君、お願い」
フローラさんに言われて、俺は気づきの魔法を男たちにかけた。男たちが目を覚ました。
「リンリン君、次お願い」
「はい」
俺はチャームの魔法をかけた。これで何でも教えてくれるはずだ。
5人から聞き出したのは、今回の襲撃はロミエール家からの指示だったということだ。
「ごめんなさいっ」
カトリーヌがみんなに頭を下げている。
「カトリーヌさんが謝ることはないですよ」
リンリンは膝をついて謝っているカトリーヌの肩にポンと手を乗せた。カトリーヌはうっとりとした顔でリンリンを見ている。
フローラがリンリンの手を凝視している。
「いや、フローラさん、これで発動はしませんから」
え? 何がって空気がパーティに流れた。
「そうね、みんなにはきちんと説明しておいた方がいいわね。死人が出る前にね」
「え? そんな大げさな」
「リンリン君はしばらく黙ってそこに座っていてね。ちょっとお姉さんたちは、女同士の話をしてくるから」
「あ、はい」
「マリも来なさい」
リンリンを除いた5人は何の話かとフローラさんについて行った。10メートルぐらい先で円になって話している。
「え~?」とか「まさか」とかいう声が聞こえて来て、何人かが俺の方をちらちらを見ている。
そのうち、一列に並んで、1人ずつフローラさんと話をしているようだ。
一体何の話だろうか?
山賊の5人に聞いてみたが、当たり前だが、見当もつかないとのことだった。
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