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【第7部〜虞美人編〜】
第9話 鴻門の会
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函谷関に着くと門は閉ざされていた。
「函谷関を閉じているだと?おのれ、たかが亭長(宿舎と警察の仕事を兼ねていたが役人の身分としては低い)あがりの分際で、もう関中王になったつもりか?」
激怒した項羽は、全軍で函谷関を打ち破った。難攻不落と謳われた関所をあっさりと突破し、咸陽(秦の都)近くの鴻門に着いて陣取った。
「報!劉邦軍の左司馬・曹無傷の使者からの書状でございます」
項羽は書状を読んで、顔色を変えて怒った。
「これを読んでみろ!」
亜父が読み終わると、私に渡されたので読んだ。書状を読むと、秦王・子嬰を相にして、婦女子を犯す事を禁じ、金銀財宝を封じて全て己の物とした、と書かれていた。そして曹無傷は、自分は項将軍への忠誠心から報せたもので叛意は無いので、自分は見逃して欲しいとも書かれていた。
「ふん、くだらない奴ね。お前の主は劉邦だろうに。主を売るとは、こいつは信用出来ない。劉邦ともども殺しましょう」
「まぁ、そう言うな小虞。殺せば今後こちらに情報を流す者が現れなくなる」
我軍が劉邦を攻める準備を進めていると、夜半に叔父上(もう1人の叔父である項纏伯。項伯として名を知られる)が何処かへ駆けて行ったと報告を受けた。
項羽軍は100万と号して実数40万、劉邦軍は20万と号して実数10万の兵数で、劉邦軍に勝ち目など無かった。
叔父上の項伯が何処かからか戻り、阿籍の幕舎に入って行った。
「こんな夜更けにどうしました、叔父上?」
「覇上(劉邦軍は覇上に陣取っていた)を攻めると聞いて、劉邦軍の中に恩人の張良がいて、彼だけでも助けたいと報せに行って来たのだ」
「ほう、では劉邦軍に行ったのですな?それで?」
「劉邦が言うには、函谷関に入って以来、秦の財物には触れず、蔵を封鎖して項将軍をお待ちしていたのです。関所を守って人を入れなかったのは、盗賊などに備えるためです。昼も夜も将軍のことをお待ちしていたのにどうして私が背くなどということがありましょう?と言っておった。そして明日早朝にお詫びに参ると言っている」
「何?劉邦が来るとな?分かりました叔父上、ありがとうございます」
「劉邦がまず函谷関を破らなければ我々も中には入れなかった。功を立てた者を撃つのは不義になる。ここは厚遇してやった方がよいと思うのだ」
項羽は項伯を下がらせて、亜父を呼んだ。
「ほう、それは願ってもいない機会じゃ。その席で、劉邦を殺してしまいなされ。殺した後は、どうにでも理由はつけられる。手筈は…」
亜父は項羽の耳元で、劉邦を殺す合図等を囁いて、幕舎を出た。
「聞いていたわ、阿籍。劉邦には確かに危険な匂いがする。でも明日、彼を殺す事には反対だわ。あなたは、楚軍100万に号令する大将軍で、実質的な楚王よ。そのあなたが、卑怯にも単身出向いて来た相手を、寄ってたかって殺すと言うの?人はどう思うのか?あなたが劉邦を恐れて殺したと噂するわ。私はあなたの名声が傷付く事を恐れるの」
虞美人が目に涙を浮かべて寄り添うと、項羽は劉邦を殺す気がなくなった。
「確かにそうだ。この俺があんな亭長あがりを恐れたなどと噂されたら、恥ずかしくて生きてはおれんわ」
項羽は自分よりも強く、優れた者など存在しないと思っていた。それ故に小細工を嫌った。小細工を労するのは弱者のする事で、強者は何物も恐れずに正面から堂々と打ち破れば良い。自分にはそれが出来る力がある、そう思っていたのだ。
翌朝、劉邦が張良と100人ばかりの従者を連れてやって来た。
「私達は共に反秦の旗を掲げ、手を携えて戦ってきました。将軍は河北で、私は河南で戦い、私の方が運良く先に函谷関に入って秦を倒しました。つまらぬ人間が中傷して、将軍と私を仲違いさせております。これは離間の策です。項将軍は英明でいらっしゃいます。どうかお察し下さい」
劉邦は項羽を見るなり、平伏して詫びて来た。この時、項羽は27歳。劉邦は52歳で、項羽は年長者を敬え、と教育されて育てられた中国の貴族だ。自分より遥かに年長者である劉邦が謙り、生命惜しさに怯えて土下座しているのだ。
項羽は、何故こんな奴を亜父は恐れているのだ?と劉邦を見下し、完全に殺す気は失せた。
「いや何、ワシはそなたを微塵も疑ってなどいなかったのだが、そちの家臣の曹無傷が伝えて来たのだ。叛心ありとな」
「曹無傷が?」
項羽は劉邦への警戒を解いて、思わず口を滑らせた。
「さぁ、どうぞこちらへ」
「お先にどうぞ」
進行方向へ、手を差し伸べて迎えるのが礼儀だ。受けた相手も、「あなたもどうぞ」と言って返礼する。
宴の会場となる幕舎に入った。項羽と項伯は上座となる東面に座り、范増はニの座となる南面に座り、劉邦は北面の三の座に着き、張良は西面して下座に座った。
酒が運ばれて来ると范増は、項羽に目配せして腰に下げている玉(身分を示すアクセサリー的な意味を持つ宝玉だが、分かりやすく言うと大きなキーホルダーの様な物で、玉とは宝石の意味で形が丸い訳ではない)を挙げて劉邦を殺す合図を送ったが、殺す気を失くしている為、合図を無視した。
剛を煮やした范増は、厠を装って幕舎を出ると、項羽の従弟である項荘を呼んだ。
「実は今日、劉邦を殺す手筈となっていたのだが、項将軍は情に脆い所があって、情けをかけられて殺せないでいる。2人の長寿を祝福して祝い酒を飲み、剣舞を披露せよ。その流れで劉邦を討ち取れ!」
「畏まりました」
項荘は幕舎に入り祝い酒を献杯すると、余興と称して剣舞を披露した。
私は阿籍の横でお酒を注いでいたのだが、項荘の全身から立ち昇る殺気を感じて、ギョッとした。そして亜父を見ると、殺意の籠った目で劉邦を見ているので、やったな?と感じた。
すると叔父上の項伯が、剣舞には相手が付き物だと言って劉邦をかばった。鬼気迫る2人の剣舞に、劉邦も張良も冷や汗が流れていた。
張良が席を立って、外に出て戻って来てしばらくすると、幕舎の外で揉めている声が聞こえた後、剣と盾をもって幕舎に乱入して来た者がいた。
項羽は剣の束に手を掛けて「何者だ!?」と聞いた。
「この者は、沛公の家来で樊噲と申します」
張良が答えた。
「ははは、壮士であるな。一献与えよ!」
項羽の家来は一斗(およそ18ℓ)もの酒を与えると、樊噲はたったまま一気に飲み干した。
「ははは、褒美じゃ。今度は、豚の肩肉を与えよ!」
項羽がそう命じると、豚一頭の生肉を与えられた。樊噲は動じずに盾を裏返して生肉を乗せると、それを切り分けて喰らって見せた。
流石に皆んな唖然として、それをただ見つめ、私は気分が悪くなって吐き気を催した。
「ははは、見事だ。壮士よ、まだ飲めるか?」
「私は死ぬ事など恐れてはおりません。ですから、たかが1斗の酒など大した事ではありません。秦の始皇帝は、虎狼の心で天下を治めて人を罰しました。その為に天下は秦に背く様になりました。楚の懐王は『先に咸陽に入った者を関中王とする』と言う約束をしました。沛公は最初に秦を破り咸陽に入ったのに、財物に手をつけず将軍のいらっしゃるのをお待ちしていたのです。それなのに、つまらない人間の讒言に耳を貸し、功はあれども罪の無い沛公の命を奪おうとは。これでは始皇帝の暴虐と変わりありません」
樊噲の生命を賭けた言葉は突き刺さった。項羽はこう言う生命知らずな馬鹿が好きだった。恐らく劉邦軍の中では1番の使い手だろう。それでも自分の敵では無い事は一目で分かる。ほんの数合で討ち取れるだろう。この余裕が項羽に寛大さを生んだ。
「座れ!」
項羽は樊噲の言葉には答えず、この場にいる事を許して席を設けさせた。身分不相応な樊噲の同席を許したのは、先の酒と豚肉を喰らった事による褒美である事が分かる。普通なら狼藉を働いた事によって斬首されるところだ。
この珍事によって興が削がれ、范増も項荘も劉邦を殺す機会を失った。
その後劉邦が厠に立って、幕舎を出ると、すぐに外に出てきた張良に、玉一対と玉の酒器を項羽と范増への土産として渡し、「取り繕っておいてくれ」と言って、項羽の陣営から急いで立ち去った。
張良は、劉邦が酔って具合が悪くなり帰ったと伝え、お詫びの品を渡してくれと言われましたと、項羽に玉一対と范増に玉の酒器を渡した。
「おお、何と見事な玉よ。亜父にもあるぞ、この見事な玉の酒器が」
そう言って酒器を亜父に渡すと、怒った范増は項羽の目の前で、玉の酒器を叩き壊して不満を露わにした。
「全く情け無い。千載一遇の機会を失ったわぃ。将来、項将軍の天下を奪う者は、劉邦に違いない」と吐き捨てる様に言った。
「危なかったわ…まだ龍の力が足りぬ。今の項羽にはまだ勝てぬわぃ。それにしても曹無傷の奴め…」
劉邦は陣営に帰るなり、曹無傷を捕えると即座に斬首して首を晒した。
項羽は咸陽に入ると、既に降伏していた三世皇帝・子嬰を斬首し、秦の王宮であった阿房宮を焼き払った。その火は3ヶ月消えなかったと言う。
こうして完全に、秦帝国は滅亡した。
「函谷関を閉じているだと?おのれ、たかが亭長(宿舎と警察の仕事を兼ねていたが役人の身分としては低い)あがりの分際で、もう関中王になったつもりか?」
激怒した項羽は、全軍で函谷関を打ち破った。難攻不落と謳われた関所をあっさりと突破し、咸陽(秦の都)近くの鴻門に着いて陣取った。
「報!劉邦軍の左司馬・曹無傷の使者からの書状でございます」
項羽は書状を読んで、顔色を変えて怒った。
「これを読んでみろ!」
亜父が読み終わると、私に渡されたので読んだ。書状を読むと、秦王・子嬰を相にして、婦女子を犯す事を禁じ、金銀財宝を封じて全て己の物とした、と書かれていた。そして曹無傷は、自分は項将軍への忠誠心から報せたもので叛意は無いので、自分は見逃して欲しいとも書かれていた。
「ふん、くだらない奴ね。お前の主は劉邦だろうに。主を売るとは、こいつは信用出来ない。劉邦ともども殺しましょう」
「まぁ、そう言うな小虞。殺せば今後こちらに情報を流す者が現れなくなる」
我軍が劉邦を攻める準備を進めていると、夜半に叔父上(もう1人の叔父である項纏伯。項伯として名を知られる)が何処かへ駆けて行ったと報告を受けた。
項羽軍は100万と号して実数40万、劉邦軍は20万と号して実数10万の兵数で、劉邦軍に勝ち目など無かった。
叔父上の項伯が何処かからか戻り、阿籍の幕舎に入って行った。
「こんな夜更けにどうしました、叔父上?」
「覇上(劉邦軍は覇上に陣取っていた)を攻めると聞いて、劉邦軍の中に恩人の張良がいて、彼だけでも助けたいと報せに行って来たのだ」
「ほう、では劉邦軍に行ったのですな?それで?」
「劉邦が言うには、函谷関に入って以来、秦の財物には触れず、蔵を封鎖して項将軍をお待ちしていたのです。関所を守って人を入れなかったのは、盗賊などに備えるためです。昼も夜も将軍のことをお待ちしていたのにどうして私が背くなどということがありましょう?と言っておった。そして明日早朝にお詫びに参ると言っている」
「何?劉邦が来るとな?分かりました叔父上、ありがとうございます」
「劉邦がまず函谷関を破らなければ我々も中には入れなかった。功を立てた者を撃つのは不義になる。ここは厚遇してやった方がよいと思うのだ」
項羽は項伯を下がらせて、亜父を呼んだ。
「ほう、それは願ってもいない機会じゃ。その席で、劉邦を殺してしまいなされ。殺した後は、どうにでも理由はつけられる。手筈は…」
亜父は項羽の耳元で、劉邦を殺す合図等を囁いて、幕舎を出た。
「聞いていたわ、阿籍。劉邦には確かに危険な匂いがする。でも明日、彼を殺す事には反対だわ。あなたは、楚軍100万に号令する大将軍で、実質的な楚王よ。そのあなたが、卑怯にも単身出向いて来た相手を、寄ってたかって殺すと言うの?人はどう思うのか?あなたが劉邦を恐れて殺したと噂するわ。私はあなたの名声が傷付く事を恐れるの」
虞美人が目に涙を浮かべて寄り添うと、項羽は劉邦を殺す気がなくなった。
「確かにそうだ。この俺があんな亭長あがりを恐れたなどと噂されたら、恥ずかしくて生きてはおれんわ」
項羽は自分よりも強く、優れた者など存在しないと思っていた。それ故に小細工を嫌った。小細工を労するのは弱者のする事で、強者は何物も恐れずに正面から堂々と打ち破れば良い。自分にはそれが出来る力がある、そう思っていたのだ。
翌朝、劉邦が張良と100人ばかりの従者を連れてやって来た。
「私達は共に反秦の旗を掲げ、手を携えて戦ってきました。将軍は河北で、私は河南で戦い、私の方が運良く先に函谷関に入って秦を倒しました。つまらぬ人間が中傷して、将軍と私を仲違いさせております。これは離間の策です。項将軍は英明でいらっしゃいます。どうかお察し下さい」
劉邦は項羽を見るなり、平伏して詫びて来た。この時、項羽は27歳。劉邦は52歳で、項羽は年長者を敬え、と教育されて育てられた中国の貴族だ。自分より遥かに年長者である劉邦が謙り、生命惜しさに怯えて土下座しているのだ。
項羽は、何故こんな奴を亜父は恐れているのだ?と劉邦を見下し、完全に殺す気は失せた。
「いや何、ワシはそなたを微塵も疑ってなどいなかったのだが、そちの家臣の曹無傷が伝えて来たのだ。叛心ありとな」
「曹無傷が?」
項羽は劉邦への警戒を解いて、思わず口を滑らせた。
「さぁ、どうぞこちらへ」
「お先にどうぞ」
進行方向へ、手を差し伸べて迎えるのが礼儀だ。受けた相手も、「あなたもどうぞ」と言って返礼する。
宴の会場となる幕舎に入った。項羽と項伯は上座となる東面に座り、范増はニの座となる南面に座り、劉邦は北面の三の座に着き、張良は西面して下座に座った。
酒が運ばれて来ると范増は、項羽に目配せして腰に下げている玉(身分を示すアクセサリー的な意味を持つ宝玉だが、分かりやすく言うと大きなキーホルダーの様な物で、玉とは宝石の意味で形が丸い訳ではない)を挙げて劉邦を殺す合図を送ったが、殺す気を失くしている為、合図を無視した。
剛を煮やした范増は、厠を装って幕舎を出ると、項羽の従弟である項荘を呼んだ。
「実は今日、劉邦を殺す手筈となっていたのだが、項将軍は情に脆い所があって、情けをかけられて殺せないでいる。2人の長寿を祝福して祝い酒を飲み、剣舞を披露せよ。その流れで劉邦を討ち取れ!」
「畏まりました」
項荘は幕舎に入り祝い酒を献杯すると、余興と称して剣舞を披露した。
私は阿籍の横でお酒を注いでいたのだが、項荘の全身から立ち昇る殺気を感じて、ギョッとした。そして亜父を見ると、殺意の籠った目で劉邦を見ているので、やったな?と感じた。
すると叔父上の項伯が、剣舞には相手が付き物だと言って劉邦をかばった。鬼気迫る2人の剣舞に、劉邦も張良も冷や汗が流れていた。
張良が席を立って、外に出て戻って来てしばらくすると、幕舎の外で揉めている声が聞こえた後、剣と盾をもって幕舎に乱入して来た者がいた。
項羽は剣の束に手を掛けて「何者だ!?」と聞いた。
「この者は、沛公の家来で樊噲と申します」
張良が答えた。
「ははは、壮士であるな。一献与えよ!」
項羽の家来は一斗(およそ18ℓ)もの酒を与えると、樊噲はたったまま一気に飲み干した。
「ははは、褒美じゃ。今度は、豚の肩肉を与えよ!」
項羽がそう命じると、豚一頭の生肉を与えられた。樊噲は動じずに盾を裏返して生肉を乗せると、それを切り分けて喰らって見せた。
流石に皆んな唖然として、それをただ見つめ、私は気分が悪くなって吐き気を催した。
「ははは、見事だ。壮士よ、まだ飲めるか?」
「私は死ぬ事など恐れてはおりません。ですから、たかが1斗の酒など大した事ではありません。秦の始皇帝は、虎狼の心で天下を治めて人を罰しました。その為に天下は秦に背く様になりました。楚の懐王は『先に咸陽に入った者を関中王とする』と言う約束をしました。沛公は最初に秦を破り咸陽に入ったのに、財物に手をつけず将軍のいらっしゃるのをお待ちしていたのです。それなのに、つまらない人間の讒言に耳を貸し、功はあれども罪の無い沛公の命を奪おうとは。これでは始皇帝の暴虐と変わりありません」
樊噲の生命を賭けた言葉は突き刺さった。項羽はこう言う生命知らずな馬鹿が好きだった。恐らく劉邦軍の中では1番の使い手だろう。それでも自分の敵では無い事は一目で分かる。ほんの数合で討ち取れるだろう。この余裕が項羽に寛大さを生んだ。
「座れ!」
項羽は樊噲の言葉には答えず、この場にいる事を許して席を設けさせた。身分不相応な樊噲の同席を許したのは、先の酒と豚肉を喰らった事による褒美である事が分かる。普通なら狼藉を働いた事によって斬首されるところだ。
この珍事によって興が削がれ、范増も項荘も劉邦を殺す機会を失った。
その後劉邦が厠に立って、幕舎を出ると、すぐに外に出てきた張良に、玉一対と玉の酒器を項羽と范増への土産として渡し、「取り繕っておいてくれ」と言って、項羽の陣営から急いで立ち去った。
張良は、劉邦が酔って具合が悪くなり帰ったと伝え、お詫びの品を渡してくれと言われましたと、項羽に玉一対と范増に玉の酒器を渡した。
「おお、何と見事な玉よ。亜父にもあるぞ、この見事な玉の酒器が」
そう言って酒器を亜父に渡すと、怒った范増は項羽の目の前で、玉の酒器を叩き壊して不満を露わにした。
「全く情け無い。千載一遇の機会を失ったわぃ。将来、項将軍の天下を奪う者は、劉邦に違いない」と吐き捨てる様に言った。
「危なかったわ…まだ龍の力が足りぬ。今の項羽にはまだ勝てぬわぃ。それにしても曹無傷の奴め…」
劉邦は陣営に帰るなり、曹無傷を捕えると即座に斬首して首を晒した。
項羽は咸陽に入ると、既に降伏していた三世皇帝・子嬰を斬首し、秦の王宮であった阿房宮を焼き払った。その火は3ヶ月消えなかったと言う。
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