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第1部 大韓の建国
【由子と趙嬋③】
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遼は、かつて燕雲十六州と呼ばれた領土からモンゴル近くまでの広大な領土を有してはいたが、北方は荒れ果てた荒野であった。その為、首都は幽州の燕京(現在の北京市)に置き、副都は雲州に西京を置いていた。
由子達一行は、燕京の端にようやく入った。この辺りまで来ると、膝下まで埋まっていた雪も足首程度となり、歩きやすくなっていた。この分だと、明日の昼頃には城下町に入れるかも知れない。
日が暮れる前に、そろそろ野営の準備に取り掛からなければならない。食事の準備をする為に、水を汲みに行った者が、まだ戻って来ない。そう遠くまで行ってないはずだと、1人が探しに行った。すると、叫び声が聞こえた。声が聞こえた方へ駆け付けると、仲間はヒグマに咥えられて、引き裂かれている所だった。片目が潰れているのを確認した。あの時のヒグマだ。知識の広い由子も、ヒグマの習性を知らなかった様だ。ヒグマは、一度でも餌だと認識した獲物は自分のモノであり、異常に執着する。このヒグマは、由子達が2人の遺体を燕京で埋葬する為に担いで来ていたが、ヒグマにとっては既に自分の餌である。奪われた餌を取り戻す為に、臭いを嗅いで後を付けて来たのだ。
1970年に起きた、「福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件」などは、その良い例だろう。日高山脈カムイエクウチカウシ山の標高1900m地点でテントを張ると、一匹のヒグマが現れて大学生5人の荷物を漁り出した。その為、音を立てて追い払って荷物を取り戻した。しかしその夜、ヒグマは再びやって来てテントに穴を開けて荷物を漁ろうとした。身の危険を感じて、一晩中ラジオをかけっ放しにして見張っていると、その晩は現れなかった。鳥取大学のテントに避難する為に出発したが、ヒグマ出没を聞いた彼らはすでに下山していた。その為、夜道を歩いているとヒグマが現れて襲い掛かり1人は目の前で牙と爪で引き裂かれて殺された。パニックになって他の4人は散り散りとなり、翌朝、1人下山している所にヒグマが現れると、ズタズタに引き裂かれて殺された。他の2人は一緒になって、命からがら下山に成功する。ダムの工事現場に逃げ込んで、車を借りて駐在所に駆け込み、助けを求めた。はぐれた最後の1人は、テントの中に逃げ込んで隠れていたが、結局は見つかって殺された。最後の1人は、殺される直前までメモに状況などを書き残していた。救助隊によって3人の遺体は発見され、ハンター10人による一斉射撃によってヒグマは射殺された。このヒグマを解剖すると、胃の中からは大学生らを食べた形跡は全く見つからなかった。自然界の生き物は、基本的に食べる為に殺す。このヒグマは、彼らを食べてはいない。これが意味するのは、大学生らの荷物の中には食料が入っていた。ヒグマが一度手にした餌を、何度も彼らによって取り戻された。その為、ヒグマは自分の獲物を守る為に、敵認識した彼らを襲って殺し、自分の獲物を守ろうとしたのだ。臭いを追ってまで1人ずつ追い詰めて、殺害する執念深さがヒグマの習性だ。また、ヒグマは自分を撃ったハンターの顔を覚えていて、10年以上前に仕留め損ねたヒグマが現れて、他のハンターに目もくれず、自分を撃ったハンターだけに攻撃を加えて殺害すると、姿を消したと言う事件もある。
ヒグマは、餌を取り戻しに来ただけでは無く、前脚と右目を奪った由子に報復する為に、付け狙って追って来たのだ。
由子達一行は、燕京の端にようやく入った。この辺りまで来ると、膝下まで埋まっていた雪も足首程度となり、歩きやすくなっていた。この分だと、明日の昼頃には城下町に入れるかも知れない。
日が暮れる前に、そろそろ野営の準備に取り掛からなければならない。食事の準備をする為に、水を汲みに行った者が、まだ戻って来ない。そう遠くまで行ってないはずだと、1人が探しに行った。すると、叫び声が聞こえた。声が聞こえた方へ駆け付けると、仲間はヒグマに咥えられて、引き裂かれている所だった。片目が潰れているのを確認した。あの時のヒグマだ。知識の広い由子も、ヒグマの習性を知らなかった様だ。ヒグマは、一度でも餌だと認識した獲物は自分のモノであり、異常に執着する。このヒグマは、由子達が2人の遺体を燕京で埋葬する為に担いで来ていたが、ヒグマにとっては既に自分の餌である。奪われた餌を取り戻す為に、臭いを嗅いで後を付けて来たのだ。
1970年に起きた、「福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件」などは、その良い例だろう。日高山脈カムイエクウチカウシ山の標高1900m地点でテントを張ると、一匹のヒグマが現れて大学生5人の荷物を漁り出した。その為、音を立てて追い払って荷物を取り戻した。しかしその夜、ヒグマは再びやって来てテントに穴を開けて荷物を漁ろうとした。身の危険を感じて、一晩中ラジオをかけっ放しにして見張っていると、その晩は現れなかった。鳥取大学のテントに避難する為に出発したが、ヒグマ出没を聞いた彼らはすでに下山していた。その為、夜道を歩いているとヒグマが現れて襲い掛かり1人は目の前で牙と爪で引き裂かれて殺された。パニックになって他の4人は散り散りとなり、翌朝、1人下山している所にヒグマが現れると、ズタズタに引き裂かれて殺された。他の2人は一緒になって、命からがら下山に成功する。ダムの工事現場に逃げ込んで、車を借りて駐在所に駆け込み、助けを求めた。はぐれた最後の1人は、テントの中に逃げ込んで隠れていたが、結局は見つかって殺された。最後の1人は、殺される直前までメモに状況などを書き残していた。救助隊によって3人の遺体は発見され、ハンター10人による一斉射撃によってヒグマは射殺された。このヒグマを解剖すると、胃の中からは大学生らを食べた形跡は全く見つからなかった。自然界の生き物は、基本的に食べる為に殺す。このヒグマは、彼らを食べてはいない。これが意味するのは、大学生らの荷物の中には食料が入っていた。ヒグマが一度手にした餌を、何度も彼らによって取り戻された。その為、ヒグマは自分の獲物を守る為に、敵認識した彼らを襲って殺し、自分の獲物を守ろうとしたのだ。臭いを追ってまで1人ずつ追い詰めて、殺害する執念深さがヒグマの習性だ。また、ヒグマは自分を撃ったハンターの顔を覚えていて、10年以上前に仕留め損ねたヒグマが現れて、他のハンターに目もくれず、自分を撃ったハンターだけに攻撃を加えて殺害すると、姿を消したと言う事件もある。
ヒグマは、餌を取り戻しに来ただけでは無く、前脚と右目を奪った由子に報復する為に、付け狙って追って来たのだ。
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