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アイドル編
第10話
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「瑞稀、何があったの?」
自宅に戻ると、母は心配して待っていた。
「お母さん…うわあぁぁん」
母の顔を見ると、涙が止まらなくなった。俺は綾瀬と付き合っていた事、その綾瀬が突然に亡くなった事を話した。
「そう…彼氏が…。貴女も、もうすっかり女の子なのね?」
「お母さん…?」
「瑞稀、ずっと言おうと悩んでいたのだけど、本当は、私は貴女のお母さんでは無いのよ」
「えっ?何なの、このタイミングで冗談はよしてよ」
「冗談なんかでは無いわ。貴女も今年で18歳よね?あと2年もすれば記憶が戻るから、それまで待つつもりだったの…。瑞稀、よく聞いて!これから話す話は信じられないかも知れない。でも事実なの」
母の表紙が真剣だったので、割り込まずにまず話しを聞く事にした。
「昔、世界中の人々が、神によってスキルを与えられた事は知っているわよね?」
「知ってるよ。だって歴史の授業で習ったもの。でも500年くらい前の話しだよね?」
「そうよ貴女は、不老不死だったけど、古くなった身体を新しくする為に、500年に1度生まれ変わるのよ」
「ははは、そんな事があるはず無いじゃん。それなら私は人間じゃないじゃん?」
「そうよ貴女は人間では無いの。XNUMX人と言って、地球に来た神様なのよ」
「もういい加減にして!愛する彼が亡くなって、人が悲しんでいるのに、そんな冗談を言うの?お母さんなんて大っ嫌い!」
「瑞稀、お母さんを良く見て!」
母は、いや、母だったものは、ぐにゃぐにゃと身体が変形した何かだった。
「ば、化け物…」
俺は腰を抜かすほど驚いて、床に倒れ、両手でのけ反る様にしながら逃げた。すると、それは再び母の姿になって見せた。
「私の本当の名前は恵留田来夢、貴女が付けてくれた名前よ。だから貴女にはお父さんなんて居ないの、いえ、本当のお父さんとお母さんがいる。私は貴女が成長するまで、母代わりとなって、見守って来たのよ」
俺はこの化け物に、既に母が喰われていて、成りすましているのかと疑った。
「信じられないでしょうね?でもあと2年経ち、貴女が20歳になった時に全て思い出すの。なんで、こんな話しを今したか分かる?貴女が深く傷付いて悲しんでいるからよ。もし、綾瀬くんを生き返らせる事が出来るって言ったら、どうする?」
「方法があるんですか?お願いします。何でもします、何でもしますから、彼を生き返らせて…」
俺は藁にも掴む思いで願った。
「それは貴女にしか出来ない。だから、今から無理矢理に貴女の記憶を戻すわ。苦しいけど、我慢してね?」
母のそれは、俺の手を取ると、何やら身体が熱くなって来た。そう思った瞬間、頭が割れる程の痛みに襲われ、今度は全身が寒気に襲われた。
「うわあぁぁぁ…」
頭を抱えて倒れると、意識を失った。どのくらい気を失っていたのか分からない。
「来夢…?」
「ええ、そうよ。記憶が戻ったのね?」
「私は…そうだ。アナトだ」
『衣装替』
生活魔法で服を着ると、霊安室へと急いだ。しかし、すでに綾瀬の遺体は移されていた。
「瑞稀さんが来られたらこれを、と渡されました」
それは、お通夜の会場が書かれたメモだった。綾瀬が亡くなった事はまだ伏せられていて、ニュースにはなっていなかった。
『影の部屋』
影の中に入って、高速で飛んだ。葬儀場で綾瀬の棺を確認し、トイレで影の中から出た。
「苦しかったね…今、生き返らせてあげる」
『死者蘇生』
手を握っていると、綾瀬は息を吹き返した。
「嘘!お兄ちゃん!」
「そんな…愛の奇跡だわ…。潤、潤!」
妹とお母さんが綾瀬に駆け寄って抱き付き、喜びで泣いた。直ぐにお通夜も葬儀も取り止めとなり、綾瀬は病院へ向かった。
精密検査を受け、健康体であるとの検査結果が出ると、医者は首を傾げ、一言「奇跡としか言いようが無い」と呟やいた。
「綾瀬…」
「瑞稀…」
綾瀬のご家族や医者がいる前だったが、感極まって抱き合い、口付けを交わした。
「まるで映画の1シーンみたいね」と、お母さんや妹は、ステキと言っていたが、お父さんの咳払いで離れた。
「綾瀬さん、少し宜しいですかな?」
警察官が、綾瀬に事情を聞いていた。綾瀬は、大和に文句を言いに行こうとしたが、門前払いを受け、ヤケ酒を飲んで足を滑らせて川に落ちたと話した。
警察から解放されると、「家族に心配かけて申し訳ない」と謝って別れた。私は、綾瀬が嘘をついていると感じたので聞いた。
「俺が大和のマンションに行くと、黒ずく目の男達がいた。力で押さえ付けられ、酒を流し込まれると、数人がかりで水を張ったお風呂に沈められたんだ」
「お風呂に?川に沈んでいたと聞いたわ」
「その後、川に捨てたんだろう?それで何で生きているのか分からないな」
私が居なければ、絶対にそのまま死んでいた。まさか殺すなんて。絶対に許さない、思い知らせてやる。怒りに震える私はトイレと言って離れ、『影の部屋』を唱えて大和のマンションに来た。部屋には若い女性がバスローブを纏っており、大和はシャワーを浴びていた。
私は大和の男根を、影の中から斬り落とした。
「ギャァー!」
女性が風呂場のドアを開けて見たものは、大和が血塗れになった股間に手をやり、絶叫しながら転げ回っている姿だった。
私はまた影の中を移動して、綾瀬のマンションに戻った。
「よくも私を犯し、綾瀬まで殺してくれたな。だがこれでもう2度とHは出来ない。お前に犯され、訴える事も出来なかった女性達の仇でもある。思い知ったか!」
私は満足そうにトイレから出て、綾瀬に甘えた。何度も唇を重ね、激しく抱き合った。
「綾瀬、心配したんだから…」
「俺もだ。もう2度と瑞稀とHが出来ないかと思ったよ」
これでまた平穏な生活が戻って来る、そう思った。
自宅に戻ると、母は心配して待っていた。
「お母さん…うわあぁぁん」
母の顔を見ると、涙が止まらなくなった。俺は綾瀬と付き合っていた事、その綾瀬が突然に亡くなった事を話した。
「そう…彼氏が…。貴女も、もうすっかり女の子なのね?」
「お母さん…?」
「瑞稀、ずっと言おうと悩んでいたのだけど、本当は、私は貴女のお母さんでは無いのよ」
「えっ?何なの、このタイミングで冗談はよしてよ」
「冗談なんかでは無いわ。貴女も今年で18歳よね?あと2年もすれば記憶が戻るから、それまで待つつもりだったの…。瑞稀、よく聞いて!これから話す話は信じられないかも知れない。でも事実なの」
母の表紙が真剣だったので、割り込まずにまず話しを聞く事にした。
「昔、世界中の人々が、神によってスキルを与えられた事は知っているわよね?」
「知ってるよ。だって歴史の授業で習ったもの。でも500年くらい前の話しだよね?」
「そうよ貴女は、不老不死だったけど、古くなった身体を新しくする為に、500年に1度生まれ変わるのよ」
「ははは、そんな事があるはず無いじゃん。それなら私は人間じゃないじゃん?」
「そうよ貴女は人間では無いの。XNUMX人と言って、地球に来た神様なのよ」
「もういい加減にして!愛する彼が亡くなって、人が悲しんでいるのに、そんな冗談を言うの?お母さんなんて大っ嫌い!」
「瑞稀、お母さんを良く見て!」
母は、いや、母だったものは、ぐにゃぐにゃと身体が変形した何かだった。
「ば、化け物…」
俺は腰を抜かすほど驚いて、床に倒れ、両手でのけ反る様にしながら逃げた。すると、それは再び母の姿になって見せた。
「私の本当の名前は恵留田来夢、貴女が付けてくれた名前よ。だから貴女にはお父さんなんて居ないの、いえ、本当のお父さんとお母さんがいる。私は貴女が成長するまで、母代わりとなって、見守って来たのよ」
俺はこの化け物に、既に母が喰われていて、成りすましているのかと疑った。
「信じられないでしょうね?でもあと2年経ち、貴女が20歳になった時に全て思い出すの。なんで、こんな話しを今したか分かる?貴女が深く傷付いて悲しんでいるからよ。もし、綾瀬くんを生き返らせる事が出来るって言ったら、どうする?」
「方法があるんですか?お願いします。何でもします、何でもしますから、彼を生き返らせて…」
俺は藁にも掴む思いで願った。
「それは貴女にしか出来ない。だから、今から無理矢理に貴女の記憶を戻すわ。苦しいけど、我慢してね?」
母のそれは、俺の手を取ると、何やら身体が熱くなって来た。そう思った瞬間、頭が割れる程の痛みに襲われ、今度は全身が寒気に襲われた。
「うわあぁぁぁ…」
頭を抱えて倒れると、意識を失った。どのくらい気を失っていたのか分からない。
「来夢…?」
「ええ、そうよ。記憶が戻ったのね?」
「私は…そうだ。アナトだ」
『衣装替』
生活魔法で服を着ると、霊安室へと急いだ。しかし、すでに綾瀬の遺体は移されていた。
「瑞稀さんが来られたらこれを、と渡されました」
それは、お通夜の会場が書かれたメモだった。綾瀬が亡くなった事はまだ伏せられていて、ニュースにはなっていなかった。
『影の部屋』
影の中に入って、高速で飛んだ。葬儀場で綾瀬の棺を確認し、トイレで影の中から出た。
「苦しかったね…今、生き返らせてあげる」
『死者蘇生』
手を握っていると、綾瀬は息を吹き返した。
「嘘!お兄ちゃん!」
「そんな…愛の奇跡だわ…。潤、潤!」
妹とお母さんが綾瀬に駆け寄って抱き付き、喜びで泣いた。直ぐにお通夜も葬儀も取り止めとなり、綾瀬は病院へ向かった。
精密検査を受け、健康体であるとの検査結果が出ると、医者は首を傾げ、一言「奇跡としか言いようが無い」と呟やいた。
「綾瀬…」
「瑞稀…」
綾瀬のご家族や医者がいる前だったが、感極まって抱き合い、口付けを交わした。
「まるで映画の1シーンみたいね」と、お母さんや妹は、ステキと言っていたが、お父さんの咳払いで離れた。
「綾瀬さん、少し宜しいですかな?」
警察官が、綾瀬に事情を聞いていた。綾瀬は、大和に文句を言いに行こうとしたが、門前払いを受け、ヤケ酒を飲んで足を滑らせて川に落ちたと話した。
警察から解放されると、「家族に心配かけて申し訳ない」と謝って別れた。私は、綾瀬が嘘をついていると感じたので聞いた。
「俺が大和のマンションに行くと、黒ずく目の男達がいた。力で押さえ付けられ、酒を流し込まれると、数人がかりで水を張ったお風呂に沈められたんだ」
「お風呂に?川に沈んでいたと聞いたわ」
「その後、川に捨てたんだろう?それで何で生きているのか分からないな」
私が居なければ、絶対にそのまま死んでいた。まさか殺すなんて。絶対に許さない、思い知らせてやる。怒りに震える私はトイレと言って離れ、『影の部屋』を唱えて大和のマンションに来た。部屋には若い女性がバスローブを纏っており、大和はシャワーを浴びていた。
私は大和の男根を、影の中から斬り落とした。
「ギャァー!」
女性が風呂場のドアを開けて見たものは、大和が血塗れになった股間に手をやり、絶叫しながら転げ回っている姿だった。
私はまた影の中を移動して、綾瀬のマンションに戻った。
「よくも私を犯し、綾瀬まで殺してくれたな。だがこれでもう2度とHは出来ない。お前に犯され、訴える事も出来なかった女性達の仇でもある。思い知ったか!」
私は満足そうにトイレから出て、綾瀬に甘えた。何度も唇を重ね、激しく抱き合った。
「綾瀬、心配したんだから…」
「俺もだ。もう2度と瑞稀とHが出来ないかと思ったよ」
これでまた平穏な生活が戻って来る、そう思った。
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