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第2章 幼年編
522 ソーセージ工房
しおりを挟むできたよ!普通のソーセージ、ピリ辛のソーセージ、チーズ入ソーセージ。それと生ハム。
「どうシルフィ?」
「ウマッ!」
「ホントだ!うまいね!我ながらグッジョブだ!」
「コレなら天下獲れるぞアレク!」
「なんの天下だよ?!」
「ソーセージ王に俺はなるだ!」
「シルフィさん‥‥」
―――――――――――――――
「もう‥‥ゆる‥‥ください‥‥」
「「「オンナー今日も楽しもうぜー」」」
ガハハハハハ
ガフッガフッ
シャーーッッ
▼
「あの3人もう10日も休んでるわよ」
「ほっときなさいよ。あんな3人なんか」
「そうよ。そんなことより今日は新しいパンが出るらしいわよ」
「聞いた聞いた!そうせぇじぱんよね」
「かれえ入なんだって」
「かれえが何か知らんけど」
「「「‥‥急がなきゃ!」」」
「「「そうよね!」」」
―――――――――――――――
「おギン先輩。名簿がまだ揃わないクラスが3つもあります」
「わかったわアリサちゃん。仕方ないわね。私から催促しとくわね」
「お願いしますおギン先輩」
共済保険に先立って。まずは学園生全員の名簿作成に取り組んでいるんだ。名簿からナンバリングして認識票も作成するし。
認識票とは別に、緊張時の連絡先も構築しなきゃいけない。それと通学経路と学年学級問わずに、親しい友人の名前も記載する欄。
(元の世界だったら俺、親しい友人なんて1人もいなかったんだけどね‥‥)
認識票のベースとなるのは現時点での①所属団体、②生年月日、③学年、クラス、④性別、⑤出身地区(出身国)⑥任意保険の加入の有無なんだ。これをまとめて認識票のたたき台にするために11桁の数字をおこしたんだ。
11桁にした理由?それはもちろん‥‥気分だよ!
表計算ソフトなんかはもちろんないけど気分だけは11桁あるっていう認識なんだよ。
「個人番号から何を検索するんだよ!?だって手書きだろ?思いっきりアナログじゃねぇか!」
「シルフィさん‥‥あなたは異世界の中でも夢のある存在なんですよ……」
「何言ってんだよ。べらんめぇ」
「‥‥」
俺が元いた世界では個人情報についてはだんだんと過敏?過剰になっていったんだよね。
人のことは知っちゃいけないって。
それこそ都心では隣に住んでる人の名前はおろか下手すりゃ性別さえもわかんないくらいに。
個人情報、プライバシーは守りましょう、ていうのがいつのまにかなによりも大事って国民に刷り込まれてたんだもんな。
でもこっちの世界では違うよ。もちろん個人情報を悪用しないのは当たり前だよ。
だけどさ、隣の人、周りの人が何をやってる人なのかを知ってるって大事なことなんだと思うんだよね。
人間関係が希薄にならないっていうの?そんなことから隣の人を大事に思いやれなくなるんだよ。
爺ちゃんや婆ちゃんもよく言ってたんだ。
「遠くの親戚より近くの他人だ」って。
―――――――――――――――
パン工房の隣りにソーセージ工房も作ったんだ。こっちにはイートインは要らないし、加工肉を作るだけだから窓口販売くらいで店内スペースもなくていいかなって。
作るのはいくつか味の違うソーセージに生ハムくらいかな。
あっ!忘れるところだった。あと焼豚(チャーシュー)もだ。
ソーセージ工房自体はイートインもないからパン工房の1/4もあれば充分のこじんまりとしたお店だよ。
ブッヒーに魔獣にと、肉を無駄なくいただいたら当然最後に骨が残ってくるよね。
残った骨も無駄なく使いきるとしたら、そりゃもう1択だよな。これは購買やパン工房みたく居住区アポロにじゃなくって、商業区アテナに堂々とした店舗を構えるべきだよな。スタッフも真面目な大人を集めて。
ヴィンサンダー領でもヴィヨルド領でも仲間の親がやってる食堂との関係があったけど、帝国にはそうした繋がりもないからね。ついにというか、ようやくというか、俺がやりたい食堂をやるんだ。
まあ始めるのは夏休み明けからだな。
▼
パン工房にハム工房。
そんでも2軒のお店が並ぶと壮観だよ。
「なんかお店屋さんが2軒も並んでおもしろいねお兄ちゃん」
「だろ。ここ土地は広いからまだあと2、3軒は作れそうだな」
「次はなにかなぁ」
クスクス笑いながらアリサが言った。
「団長どんどん作りましょう。金の匂いしかしないやつを!」
「「ハチ‥‥」」
―――――――――――――――
「おいゴリ」
「なんだウマ」
「オンナの歯抜いてくれよ。噛まれると痛いからさ」
「オメー。ウマ並ってよく言ったもんだなギャッギャッギャッ」
「よし任せとけ」
「口開けとけよ」
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
ボキッッ
「ンアアーーーーッッッ‥‥‥‥」
「あまりの痛さに気絶したかよヒヒーーーンッッ」
「んじゃ俺の番だな」
―――――――――――――――
―――――――――――――――
いよいよ夏休みだ。
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