329 / 618
第二十一章 武器が出来るまで
第三百十九話 自由時間
しおりを挟む
翌日。
イズミが1人まったり朝食を食べていると、マスタングから連絡が入って来た。
「マスター、一度武装の点検をしたいのですが」
「分かった、直ぐに行く」
朝食を食べ終えると、ショルダーバッグを持ってマスタングの待つ馬車置き場に向かう。
馬車置き場に入ると、マスタングのボンネット上で昨日の野良猫が眠っていた。
「野良猫も一緒か」
「昨日の餌が気に入ったと言ってました」
イズミはマスタングのトランクを開けると、ショルダーバッグから武器を1つづつ取り出してはトランク内に並べる。
アサルトライフル、グレネードランチャー、ショットガン、マグナム。
対人戦闘ならば十分過ぎる武装ではある。
しかし、昨日のゴーレムの様な魔物には明らかに威力不足だった。
「あのゴーレムが特殊な魔物だった…なら有り難いな。今まで以上の装備は扱いこなせる自信が無い」
「マスターは冒険者や騎士ではありませんので、巨大な魔物と戦闘をする事がそもそも想定外なのです。旅が目的であって、魔物討伐が目的ではありませんから」
「…そうだな」
トランクを閉めたイズミは小さなため息をつくと、ボンネット上でスヤスヤと眠る野良猫にゆっくりと近付く。
「…グッスリだな」
「起きておるぞ」
野良猫はボンネットから降りると身体を伸ばし、前脚で顔の毛繕いをする。
「ご飯をくれるなら喜んで貰うぞ。なんなら昨日とは違う味が良いし、身もしっかり入っているのが良い」
「大分贅沢な要望だな」
マスタングの助手席を開き別の猫餌を実体化するように頼むと、グローブボックスから新たな小袋と小皿を用意してくれた。
「まさか猫餌の実体化の頻度が増えるとはな」
「猫の情報網は有力です。今後の為にもある程度のストックは必要かと」
小皿に餌を盛り付けたイズミは野良猫の前にゆっくりと小皿を置くと、野良猫は毛繕いを止めて餌の匂いを確かめてからガツガツと食べ始めた。
「さて、ベリアのナイフが出来る迄は自由時間だ。ヒュミトール近辺でも走ってみるか?」
「我々は外部から監視されてますので、下手に動くのは悪手になりかねません」
「俺やベリアを監視した所で、何も美味しい話は湧いてこないのにな」
「それは違います。元いた世界の知識や経験は、この世界でも有用なのです。現にトニックウォーターはラミア族にて生産が始まり、エレナ様は自らの足で歩けるようになりました」
トランクが開いたので、イズミは武器を手に取り状態を確認する。
どうやら安全の為に弾は全て抜かれているようだ。
「マスターの旅路と実績を調べ、そこから金の匂いを察知した者がいれば、間違いなく接触を図るべく行動するでしょう」
「考え過ぎ、では無さそうだな」
「冒険者ギルドや貴族、商人ギルドは必ず嗅ぎつけると想定していなければ、動けば動く程に様々な話を持ち込まれるかと」
「商売の経験は元いた世界でも…無いに等しいから、何とも言えないな」
自分が会社で働いていた時の事を思い出してみるが、物の売り買いや仕入れに関する知識等は少ないのだ。
出来れば商人ギルドとは関わりを持ちたくは無い。
武器に弾を込めてセイフティを掛け、ショルダーバッグへと収納する。
「それに女神様達も我々に興味を持っています」
「それだ。マスタングには女神様から連絡が来てるのか?」
「はい」
マスタングは即答した。
「近くに寄ったら、挨拶程度の顔見せに来て欲しいとの事でした」
「ついでにお供え物か」
「そうです」
気楽な旅に女神様への挨拶回り、冒険は偶にあれば良しで、戦闘は極力避けたい…そんな我儘な人生は送れそうにない。
そんな事を考えながらマグナムへの弾込めを済ませると、ショルダーホルスターに仕舞う。
「お代わりニャ」
「おっ、もう食い終わったのか」
イズミは野良猫の催促に答えるように小皿に餌を入れると、マスタングの洗車をしようと思い立ち一度屋敷へと戻るのだった。
イズミが1人まったり朝食を食べていると、マスタングから連絡が入って来た。
「マスター、一度武装の点検をしたいのですが」
「分かった、直ぐに行く」
朝食を食べ終えると、ショルダーバッグを持ってマスタングの待つ馬車置き場に向かう。
馬車置き場に入ると、マスタングのボンネット上で昨日の野良猫が眠っていた。
「野良猫も一緒か」
「昨日の餌が気に入ったと言ってました」
イズミはマスタングのトランクを開けると、ショルダーバッグから武器を1つづつ取り出してはトランク内に並べる。
アサルトライフル、グレネードランチャー、ショットガン、マグナム。
対人戦闘ならば十分過ぎる武装ではある。
しかし、昨日のゴーレムの様な魔物には明らかに威力不足だった。
「あのゴーレムが特殊な魔物だった…なら有り難いな。今まで以上の装備は扱いこなせる自信が無い」
「マスターは冒険者や騎士ではありませんので、巨大な魔物と戦闘をする事がそもそも想定外なのです。旅が目的であって、魔物討伐が目的ではありませんから」
「…そうだな」
トランクを閉めたイズミは小さなため息をつくと、ボンネット上でスヤスヤと眠る野良猫にゆっくりと近付く。
「…グッスリだな」
「起きておるぞ」
野良猫はボンネットから降りると身体を伸ばし、前脚で顔の毛繕いをする。
「ご飯をくれるなら喜んで貰うぞ。なんなら昨日とは違う味が良いし、身もしっかり入っているのが良い」
「大分贅沢な要望だな」
マスタングの助手席を開き別の猫餌を実体化するように頼むと、グローブボックスから新たな小袋と小皿を用意してくれた。
「まさか猫餌の実体化の頻度が増えるとはな」
「猫の情報網は有力です。今後の為にもある程度のストックは必要かと」
小皿に餌を盛り付けたイズミは野良猫の前にゆっくりと小皿を置くと、野良猫は毛繕いを止めて餌の匂いを確かめてからガツガツと食べ始めた。
「さて、ベリアのナイフが出来る迄は自由時間だ。ヒュミトール近辺でも走ってみるか?」
「我々は外部から監視されてますので、下手に動くのは悪手になりかねません」
「俺やベリアを監視した所で、何も美味しい話は湧いてこないのにな」
「それは違います。元いた世界の知識や経験は、この世界でも有用なのです。現にトニックウォーターはラミア族にて生産が始まり、エレナ様は自らの足で歩けるようになりました」
トランクが開いたので、イズミは武器を手に取り状態を確認する。
どうやら安全の為に弾は全て抜かれているようだ。
「マスターの旅路と実績を調べ、そこから金の匂いを察知した者がいれば、間違いなく接触を図るべく行動するでしょう」
「考え過ぎ、では無さそうだな」
「冒険者ギルドや貴族、商人ギルドは必ず嗅ぎつけると想定していなければ、動けば動く程に様々な話を持ち込まれるかと」
「商売の経験は元いた世界でも…無いに等しいから、何とも言えないな」
自分が会社で働いていた時の事を思い出してみるが、物の売り買いや仕入れに関する知識等は少ないのだ。
出来れば商人ギルドとは関わりを持ちたくは無い。
武器に弾を込めてセイフティを掛け、ショルダーバッグへと収納する。
「それに女神様達も我々に興味を持っています」
「それだ。マスタングには女神様から連絡が来てるのか?」
「はい」
マスタングは即答した。
「近くに寄ったら、挨拶程度の顔見せに来て欲しいとの事でした」
「ついでにお供え物か」
「そうです」
気楽な旅に女神様への挨拶回り、冒険は偶にあれば良しで、戦闘は極力避けたい…そんな我儘な人生は送れそうにない。
そんな事を考えながらマグナムへの弾込めを済ませると、ショルダーホルスターに仕舞う。
「お代わりニャ」
「おっ、もう食い終わったのか」
イズミは野良猫の催促に答えるように小皿に餌を入れると、マスタングの洗車をしようと思い立ち一度屋敷へと戻るのだった。
31
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
血染めの世界に花は咲くか
巳水
ファンタジー
かつて英雄に憧れ、裏切られ、奪われ、復讐にとりつかれた果てに、ひとつの国を血に沈めた。そして「血塗れ夜王」は、敬愛する師匠によってその生を終えた。
しかし、滅びたはずの魂は再び生れ落ちる――すべての記憶を抱えたままに。
新たな名と姿でこの世界に生を受けた彼は、前世の記憶と力、罪業を背負い、少年として新たな人生を歩み始める。
その先あるのは贖いか、それともさらなる血の罪か。二度目の命に意味はあるのか――。
本作品は「小説家になろう」にも投稿しております。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!
yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。
だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。
創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。
そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる