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第2章 魔術学院受験専門塾
18 玉座
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幻影の中で現代日本の医学部受験専門塾にいたユキナガの意識は、光の差す神聖な空間で目覚めた。
クリーム色の広大な床に立っている自らの姿はスーツを着た中年男性のままで、ここが「審判」の間であるということはすぐに思い出せた。
視界の向こうにある一段高い場所には玉座のような大きな椅子が置かれていて、そこでは美しい女性が寝息を立てている。
彼女ならそういうこともあるだろうと瞬時に理解して、ユキナガは短い階段を上って玉座まで歩いた。
「すみません、ソフィアさんですよね」
「ふにゃ……んっ、あ、ごめんなさい!!」
薄い緑色の羽衣をまとった長身の美しい女性はユキナガの声に驚いて目覚めた。
羽衣には涎が少し垂れていて、薄紫色の綺麗な長髪は玉座の背もたれに擦られて乱れている。
玉座から飛び起きて慌てて姿勢を正すと、その女性はこほんと咳払いをしてから話し始めた。
「お久しぶりです、冥府の女神ソフィアです。今回もオオワダ・ユキナガさん、あなたの審判と転生を担当します」
「こちらこそお久しぶりです。ご就寝中に申し訳ありません」
「いえっ、実は今回は遅刻しないように早めに神殿まで来てたんですけど、早く着きすぎたので玉座で一休みしてしまって。それで眠くなって……」
「なるほど……」
前回の転生の時から冥府でどれだけの時間が経っているのかは分からないが、女神ソフィアの特に変わりない様子からするとそう長い時間は経っていないらしい。
生身の人間ではないが今の自分からすると娘でもおかしくない年齢に見える女性なので、ユキナガは特に何とも思わず女神と会話を続けた。
「前回ご説明させて頂いた通り、転生については前回と同様に異世界エデュケイオンに20代前半の教育者として生まれ変わることになります。もしご希望があれば、条件を変えることもできますけど……」
「いえ、そのままでお願いします。私は次の人生も教育者として生きたいのです」
「流石はユキナガさんですね。それでは前回と同様の条件で魔法陣の準備をします」
女神はそう言うと持っていた冊子をめくって何やら操作し始め、これは現代日本における電子端末のようなものなのだろうかとユキナガは思った。
クリーム色の広大な床に立っている自らの姿はスーツを着た中年男性のままで、ここが「審判」の間であるということはすぐに思い出せた。
視界の向こうにある一段高い場所には玉座のような大きな椅子が置かれていて、そこでは美しい女性が寝息を立てている。
彼女ならそういうこともあるだろうと瞬時に理解して、ユキナガは短い階段を上って玉座まで歩いた。
「すみません、ソフィアさんですよね」
「ふにゃ……んっ、あ、ごめんなさい!!」
薄い緑色の羽衣をまとった長身の美しい女性はユキナガの声に驚いて目覚めた。
羽衣には涎が少し垂れていて、薄紫色の綺麗な長髪は玉座の背もたれに擦られて乱れている。
玉座から飛び起きて慌てて姿勢を正すと、その女性はこほんと咳払いをしてから話し始めた。
「お久しぶりです、冥府の女神ソフィアです。今回もオオワダ・ユキナガさん、あなたの審判と転生を担当します」
「こちらこそお久しぶりです。ご就寝中に申し訳ありません」
「いえっ、実は今回は遅刻しないように早めに神殿まで来てたんですけど、早く着きすぎたので玉座で一休みしてしまって。それで眠くなって……」
「なるほど……」
前回の転生の時から冥府でどれだけの時間が経っているのかは分からないが、女神ソフィアの特に変わりない様子からするとそう長い時間は経っていないらしい。
生身の人間ではないが今の自分からすると娘でもおかしくない年齢に見える女性なので、ユキナガは特に何とも思わず女神と会話を続けた。
「前回ご説明させて頂いた通り、転生については前回と同様に異世界エデュケイオンに20代前半の教育者として生まれ変わることになります。もしご希望があれば、条件を変えることもできますけど……」
「いえ、そのままでお願いします。私は次の人生も教育者として生きたいのです」
「流石はユキナガさんですね。それでは前回と同様の条件で魔法陣の準備をします」
女神はそう言うと持っていた冊子をめくって何やら操作し始め、これは現代日本における電子端末のようなものなのだろうかとユキナガは思った。
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