大和田行長の無限転生記 ~異世界受験ゴールデンメソッド~

輪島ライ

文字の大きさ
上 下
19 / 49
第2章 魔術学院受験専門塾

19 二大予備校

しおりを挟む
「転生後は記憶が失われますけど、せっかくなので今のエデュケイオンの状況を簡単にご説明しますね。ユキナガさんは科学界での生涯で得た知識と経験を活かし、異世界エデュケイオンに『獅子の門』という世界初の予備校を誕生させました。厳密には、お亡くなりになった後に塾長のリナイさんが予備校にまで発展させたんですけどね」
「なるほど、私の目標は無事に叶えられたのですね。リナイ先生のことも覚えています」

 冥府という世界と世界の中継点のような場所にいるからか、今のユキナガは大和田行長として生きた科学界の記憶と転生者ユキナガとして生きた異世界エデュケイオンの記憶の両方を保持していた。

「あれから異世界エデュケイオンでは『修練の台地』という新たな予備校も台頭し、今では『獅子の門』と『修練の台地』が二大予備校として大陸の各地に校舎を展開しています。ですが、上級学校の中でも特に魔術学院の受験には十分に対応できていない状況です」
「そうなのですね。前回の生涯では魔術学院の受験に携わることはできませんでしたが、今回は機会を頂きたいものです」

 異世界エデュケイオンには科学界の大学に相当する学校として士官学校、魔術学院、商業学校、工業学校といった各種の学校が存在し、それらは上級学校と総称される。

 前回の生涯では士官学校専門塾であった「獅子の門」の発展を通じて異世界エデュケイオンに「偏差値」や「模擬試験」といった概念を導入するに留まり士官学校以外の受験指導には直接携われなかったが、今回はぜひ挑戦してみたいと思った。


「それでは転生の準備が整いました。もうちょっとユキナガさんとお話していたいですけど、他の転生者もお待ちですのでここでお別れになります。次に会えるのが現地の時間で何十年先になるか分かりませんけど、異世界でのご活躍をお祈りしています」
「ありがとうございます。また次の転生でもよろしくお願いします」

 冥府における「審判」そして「転生」とはあくまで事故や犯罪、戦争に巻き込まれて死亡し、天寿を全うしていない死者のためのものであるから次なる人生でユキナガが天寿を全うすれば本来は女神ソフィアに再び会うことはない。

 ただし、ユキナガは異世界エデュケイオンの教育制度を発展させるために女神ソフィアから「無限復活」の超能力を与えられている。

 死亡する度に20代前半の若者の姿で再びエデュケイオンに転生できる自分はこれから何度でも女神ソフィアのもとに戻り、転生を繰り返していくのだ。


 次なる人生でも異世界エデュケイオンに新たな教育文化を根付かせてみせると決意した時、ユキナガの足元に魔法陣が展開された。

 魔法陣からまばゆい光が溢れ、ユキナガの存在は再び異世界へと飛ばされていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ウェブ小説家見習いの第117回医師国家試験受験記録

輪島ライ
エッセイ・ノンフィクション
ウェブ小説家見習いの現役医学生が第117回医師国家試験に合格するまでの体験記です。 ※このエッセイは「小説家になろう」「アルファポリス」「カクヨム」「エブリスタ」に投稿しています。 ※このエッセイの内容は一人の医師国家試験受験生の受験記録に過ぎません。今後国試を受験する医学生の参考になれば幸いですが実際に自分自身の勉強法に取り入れるかはよく考えて決めてください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...