忘れられない君の香

秋月真鳥

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アレクシス(受け)視点

12.共に過ごすヒート

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 ずぶずぶと愛液のぬめりを借りてヴォルフラムの中心がアレクシスの中に入ってくる。内壁を擦り上げられるだけで気持ち良すぎて、アレクシスは視界が白く明滅した。
 ラットに入っていて余裕がないはずなのに、ヴォルフラムはゆっくりとアレクシスに負担が少ないように腰を進める。それがじれったくて、アレクシスは尻を揺らしてしまう。

「ヴォルフラム……あっ!? うぁっ!?」
「アレクシス! アレクシス!」

 こつんと壁に当たるような感触があって、ヴォルフラムの動きが止まったかと思った瞬間、ヴォルフラムがアレクシスの腰を掴んで更に奥へと壁をこじ開けた。ずぷりと壁を抜けた感触にアレクシスは声も出ない。
 アレクシスの中心からとぷとぷと白濁が吐き出されていた。

「ベータの男なら、ここまでは届かないだろう。アレクシス、おれのものだ」

 背中にのしかかるようにしてぐぷぐぷと最奥の更に奥を突き上げるヴォルフラムに、アレクシスは中でも前でも達していた。生理的な涙がアレクシスの頬を濡らす。

「中、うねってすごい……持って行かれそうだ」
「ヴォルフラム……ふっ! ふぁっ!」

 ぐぷぐぷと最奥を犯していたヴォルフラムの中心が質量を増し、ぎちぎちとアレクシスの中を圧迫する。
 腰から外した手をヴォルフラムがアレクシスのうなじに這わせた。襟足は少し長めにしているが、短く切っているアレクシスの灰色がかった白い髪は、うなじを隠せる長さではない。

「アレクシス、ここ、噛んでいいか?」
「ヴォルフラム?」
「おれのものにしていいよな?」

 番になることは結婚したときに交わした契約書に書かれていた。
 それでもまだ、ヴォルフラムはラット状態に入って瞳孔も縦長になって、理性を忘れそうになっているはずなのに、最後までアレクシスの意思を確認する。

「噛んでください、ヴォルフラム。おねがい……」

 ヒートで快楽に落とされているアレクシスに拒むという選択肢はなかった。

「あなたのものにして……あぁぁぁっ!?」

 答えた瞬間、ヴォルフラムの鋭い尖った歯がアレクシスのうなじに突き刺さる。皮膚を突き破って血が滲むほどに噛まれた瞬間、アレクシスの中でヴォルフラムの中心は弾けた。どくどくと大量に注ぎ込まれる白濁の熱さに身もだえしながら、アレクシスはヴォルフラムの熱を受け入れていた。

 ヒートの間中、契約書通り寝室は共にしたが、夫夫のために用意された寝室ではなかった。
 ヴォルフラムはアレクシスが集めたヴォルフラムの匂いのするシャツやジャケットに埋もれたアレクシスのベッドを気に入ってしまって、そのままそこでヒートの期間を過ごした。
 アレクシスのベッドは一人用だったが、アレクシス自身が非常に体が大きいので広いものを使っている。そこに成人男性の中でも大柄な方に入るアルファのヴォルフラムが一緒に寝るのだから、体を密着させなければベッドから落ちてしまうような状況だった。
 初めはアレクシスを気遣ってくれたヴォルフラムだったが、二回目からはラット状態が進んでしまったのだろう、がつがつとアレクシスを求め、情熱的にアレクシスを抱いた。
 アレクシスも体力はある方なので気を失ったりしなかったが、求められるのが嬉しくて、気持ちよくてヴォルフラムの精をたっぷりと胎に注ぎ込まれた。

 ベッドサイドのテーブルに置いてあった水差しから水分補給はしていたが、ヒートの最初の三日間は侍女すらも近寄らせず、ヴォルフラムとアレクシスはひたすらに抱き合った。お互いに体力があったので信じられない回数交わってしまった。
 三日たってやっと体を清めたり、食事を摂ったりする余裕が出て来てから、アレクシスは獣のように交わっていた自分が恥ずかしくてヴォルフラムの顔を見ることができなくなってしまった。ヴォルフラムはアレクシスの部屋についているバスルームに一緒に入って、アレクシスの体を洗ってくれたり、髪を洗ってくれたり、非常に優しかった。

 ヒート前のぎこちなさが嘘のように優しいヴォルフラムに戻ってくれてアレクシスは安心していたのだが、問題はアレクシスの首周りだった。
 アルファはオメガのうなじに執着するとは聞いていたが、最初にうなじを噛んで番になった後も、ヴォルフラムは執拗にアレクシスの首周りに歯を立ててきた。体中に吸い跡や噛み跡があるのだが、アレクシスは肌の色が濃いのでそれほど目立たない。
 ただ、うなじの噛み跡と首周りの噛み跡はどうしても目立ってしまっていた。

「ヴォルフラム様、見えるところに噛み跡をつけるのは控えてもらえますか?」
「すまない。アレクシスがおれのものになったと思うと嬉しくて、加減ができなくなっていた」

 ヒートが終われば執務にも出るのに噛み跡を見せつけるような様子ではアレクシスも恥ずかしい。
 それにしても、アレクシスを抱くたびにヴォルフラムは「愛してる」とか「好きだ」とか甘い言葉を囁いてくる。
 閨での作法なのかもしれないが、それを嬉しいと思っている自分がいることにアレクシスは驚いていた。

 二人でバスルームに入っている間に色んな体液でどろどろになっていたベッドが整えられていたが、バスローブを着てベッドに戻ってきたヴォルフラムはそれが気に入らなかったようだった。

「アレクシスがせっかく巣作りをしてくれていたのに」
「あの……無断でヴォルフラム様のものを借りていてすみませんでした」
「いいんだ。嬉しかった。おれのものがよく見当たらなくなると思っていたが、アレクシスだったんだな。今後は、おれのものを借りたければ、部屋から自由に持って行っていいから」
「いいんですか?」
「番のオメガの巣作りを嫌がるアルファはいないよ」

 やはりアレクシスがやっていたことはオメガの巣作りだったようだ。
 まるでヴォルフラムのことが好きでやっていたように勘違いされている気がして、弁解しようとしたが、何をどう説明していいのかアレクシスには分からない。

 十一年前に出会った初恋の少女がいて、その少女とヴォルフラムが同じ香りを放っているので、ついヴォルフラムのものを集めて巣作りをしてしまったなどと言っても、信じてもらえないだろう。

 何より、アレクシスの体は素直で、ヒートでヴォルフラムを求めていた。
 多分、アレクシスはヴォルフラムが好きなのだ。
 最初は少女と同じ香りを求めていた気がするが、その優しさと気遣い、真摯なところに触れて、アレクシスはヴォルフラムのことを想うようになっていた。

 ヴォルフラムの方はアレクシスのことをどう思っているのか分からないが、ラット状態になったときには「愛している」と言ってくれた。「おれのものだ」と言ってくれた。フェロモンに当てられて理性がなくなっていただけかもしれないが、アレクシスはヴォルフラムと番になったのだし、愛されたいと思うようになってしまった。

 ベッドに横になると、ヴォルフラムがアレクシスの豊かな胸筋に顔を埋めてくる。性的な意図がなくても触れられると治まりかけているヒートの熱がくすぶって、後孔が疼き、胎がヴォルフラムの長大な中心を求めてしまう。

「ヴォルフラム様……あまり触らないでください」
「嫌か?」
「また欲しくなってしまいます」

 正直に答えると、ヴォルフラムがアレクシスの唇を塞ぐ。舌を絡められて、吸われると、頭の芯がじんと痺れてくる。

「欲しいだけ与えてやりたいが、食事をしないといけないな」
「そうですね」

 三日間水しか飲んでいないので、アレクシスもヴォルフラムもいい加減腹が減っていた。
 アレクシスの机の上にはバスルームで体を清めている間に侍女が持って来ていた食事のトレイが置かれていた。

「まずは腹ごしらえか。それが終わったら、またアレクシスのここをたっぷり満たしてやる」

 バスルームの合わせから手を入れて腹筋を撫でられてアレクシスは変な声が出そうになって必死で堪える。
 机に置いてあるトレイには、サンドイッチとティーセット、それにドライフルーツを入れたヨーグルトが用意されていた。
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